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秋久ルート
第4.5話
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「悪かったな、急ぎで仕事を頼んで」
彼女が部屋に戻ったのを確認して、夕方の町に繰り出す。
今夜は久しぶりに4人で会合しようという話になり、今は残りのメンバーを待っている最中だ。
「アッキーの頼みだからね…。それに、色々とやばかったって話は花菜から聞いたよ」
「…そうか」
お嬢ちゃんの家は、おおよそ家と呼べる状態ではなかった。
彼女の親は自分たちの遺伝子が流れているであろう兄だか弟だかに異常な執着を見せつけ、近所の人間でさえ彼女の存在を知らない者の方が多い。
どこかから預かっているという話を聞かされた者もいたようだ。
「お嬢ちゃんの答えも聞いたことだし、あとは春人に頼むだけだ」
「そっか…。だったら1度うちに買い物に来てよ。安くするからさ」
「悪いな」
「困ってるんだったら放っておけないし、そんな家に戻れだなんて地獄発言はできないでしょ?」
「そうだな」
夏彦の表情は、とても明るいものではなかった。
「…で、ふたりはいつまで立ってるんだ?」
「ごめん、話しこんでるみたいだから待ってようって春人さんと話して…」
「全員揃ったし、【カルテット】としての報告会を始めるか」
最近追っているのは、貧困にあえぐ若者に声をかけてはドラッグを配る組織だ。
下っ端3人は捕まえたものの、まだ上層部に辿りつけていない。
「リーダー、僕は何を作っておけばいいですか?」
「春人にはお嬢ちゃんのものとこっちの事件の潜入に使えそうなものを頼みたい。
修理屋がどたばたしてるなら後回しで構わない。ただ、できるだけ急ぎでこのリストに載っているものを用意してほしい」
「分かりました」
「夏彦には引き続き情報収集を頼む。…で、冬真はいつもどおりにな」
「了解!」
「分かった」
冬真がやや不服そうな顔をしているのを見逃さなかった。
「悪いな。だが、これからもう少し忙しくなるだろうから、冬真にはそれから頼みたいんだ」
「僕、ちゃんと分かってるから…」
「…じゃあ、今日はこれで解散」
特に進展したわけでもないので、こんな話程度で終わってしまう。
更に、帰り道で嫌なものを目にした。
「…こんばんは」
「あ、ああ…こんばんは」
相手はにこやかだが、その表情は穏やかなものではない。
まだお嬢ちゃんをどうこうするつもりなら、ここで見なかったことにはできないが大事にするつもりはなかった。
「それでは」
そう話して歩き出したところに、先程から少し離れてついてきていた夏彦が駆け寄ってくる。
「…アッキー怖っ!」
「次はおまえ相手に同じような視線を向けてやるよ」
「それは勘弁!」
「今のは冗談だ。…今はな」
「え?」
「ほら、急いで帰らないと新作の服を仕上げるんだろ?」
「そうだった…」
夏彦の背中を見送りながら、無意識に呟いた。
「…おまえならどう切り抜けてただろうな」
彼女が部屋に戻ったのを確認して、夕方の町に繰り出す。
今夜は久しぶりに4人で会合しようという話になり、今は残りのメンバーを待っている最中だ。
「アッキーの頼みだからね…。それに、色々とやばかったって話は花菜から聞いたよ」
「…そうか」
お嬢ちゃんの家は、おおよそ家と呼べる状態ではなかった。
彼女の親は自分たちの遺伝子が流れているであろう兄だか弟だかに異常な執着を見せつけ、近所の人間でさえ彼女の存在を知らない者の方が多い。
どこかから預かっているという話を聞かされた者もいたようだ。
「お嬢ちゃんの答えも聞いたことだし、あとは春人に頼むだけだ」
「そっか…。だったら1度うちに買い物に来てよ。安くするからさ」
「悪いな」
「困ってるんだったら放っておけないし、そんな家に戻れだなんて地獄発言はできないでしょ?」
「そうだな」
夏彦の表情は、とても明るいものではなかった。
「…で、ふたりはいつまで立ってるんだ?」
「ごめん、話しこんでるみたいだから待ってようって春人さんと話して…」
「全員揃ったし、【カルテット】としての報告会を始めるか」
最近追っているのは、貧困にあえぐ若者に声をかけてはドラッグを配る組織だ。
下っ端3人は捕まえたものの、まだ上層部に辿りつけていない。
「リーダー、僕は何を作っておけばいいですか?」
「春人にはお嬢ちゃんのものとこっちの事件の潜入に使えそうなものを頼みたい。
修理屋がどたばたしてるなら後回しで構わない。ただ、できるだけ急ぎでこのリストに載っているものを用意してほしい」
「分かりました」
「夏彦には引き続き情報収集を頼む。…で、冬真はいつもどおりにな」
「了解!」
「分かった」
冬真がやや不服そうな顔をしているのを見逃さなかった。
「悪いな。だが、これからもう少し忙しくなるだろうから、冬真にはそれから頼みたいんだ」
「僕、ちゃんと分かってるから…」
「…じゃあ、今日はこれで解散」
特に進展したわけでもないので、こんな話程度で終わってしまう。
更に、帰り道で嫌なものを目にした。
「…こんばんは」
「あ、ああ…こんばんは」
相手はにこやかだが、その表情は穏やかなものではない。
まだお嬢ちゃんをどうこうするつもりなら、ここで見なかったことにはできないが大事にするつもりはなかった。
「それでは」
そう話して歩き出したところに、先程から少し離れてついてきていた夏彦が駆け寄ってくる。
「…アッキー怖っ!」
「次はおまえ相手に同じような視線を向けてやるよ」
「それは勘弁!」
「今のは冗談だ。…今はな」
「え?」
「ほら、急いで帰らないと新作の服を仕上げるんだろ?」
「そうだった…」
夏彦の背中を見送りながら、無意識に呟いた。
「…おまえならどう切り抜けてただろうな」
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