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春人ルート
第99話
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「すごい、これが海…」
「やっぱり来たの初めてだったんだ」
私には、こういう場所とはずっと縁なんてないと思っていた。
この先も見ることはないだろうと思っていたのに、どうして春人はここに連れてきてくれたんだろう。
「…写真集、よく読んでたから。こういうところが好きなんじゃないかと思ったんだ。
俺は人付き合いが上手い方じゃないし、相手の気持ちを読み間違えてることもあるからこれでいいか分からないけど…」
「ありがとうございます。1度でいいから見てみたいと思っていたんです」
春人の心遣いが嬉しかった。
今日こうして一緒に出掛けられただけで充分だ。
「…あ」
「どうかした?」
「いえ、その、綺麗だなって思って…」
「それはシーグラス。加工すればアクセサリーにはできるかもしれない」
「そうなんですね…」
それからしばらく砂浜を歩いてみたり、近くのお店で食べ物を買ってもらったり…とにかく楽しく過ごせた。
「今日はありがとうございました。すごく楽しかったです」
「…そう」
「あ、あの…」
もう暗くなってきているし、そろそろ帰らないと心配をかけてしまう。
そう思ったけれど、何故か春人は私の手を握ったまま動こうとしない。
「春人…?」
「俺は、自分の気持ちを組み立てるのに時間がかかる。時々言葉が足りてないし、割りと無茶苦茶な仕事をしていることもある。
だけど、君のことを離したくないと思ってしまった。怪我の責任もだけど、それだけじゃなくて…君のことが、好きなんだ」
ざあ、と波の音がする。
しばらく思考停止していたけれど、だんだん頬が熱くなっていく。
春人と目を合わせると、黒柿色の髪が夕陽を浴びてきらきらと輝いていた。
「私には、できることが少なくて、まだまだ知っていることも多くないです。
だけど、いつの間にか春人と一緒にいたいと思うようになっていました」
自分の気持ちを素直に伝えて…そんな雪乃の言葉が頭に浮かんで、自分でも吃驚するほどすらすらと想いが零れていく。
「怪我をしたからとか、そういうのじゃなくて…好きだから、一緒にいたいです。これからも、側にいていいですか?」
「俺は君がいいんだ。君は俺が好き?」
「す、好きです」
「…そっか。安心した」
優しく抱き寄せられて、そのままされるがままになる。
そうしているうちに、頬に手が添えられた。
「…月見」
「は、はい」
「これから先も、俺の隣で人生を歩んでくれる?」
「わ、私でよければ…頑張ります」
「側にいてくれればそれでいいのに」
なんだか不思議だ。
ふわふわした思いに包まれながら、どこかへ飛んでいってしまいそうなくらい体が軽く感じる。
春人に好きって言ってもらえて嬉しかった。
──これからもきっと、私のなかの感情の歯車は忙しく動き続けるだろう。
「やっぱり来たの初めてだったんだ」
私には、こういう場所とはずっと縁なんてないと思っていた。
この先も見ることはないだろうと思っていたのに、どうして春人はここに連れてきてくれたんだろう。
「…写真集、よく読んでたから。こういうところが好きなんじゃないかと思ったんだ。
俺は人付き合いが上手い方じゃないし、相手の気持ちを読み間違えてることもあるからこれでいいか分からないけど…」
「ありがとうございます。1度でいいから見てみたいと思っていたんです」
春人の心遣いが嬉しかった。
今日こうして一緒に出掛けられただけで充分だ。
「…あ」
「どうかした?」
「いえ、その、綺麗だなって思って…」
「それはシーグラス。加工すればアクセサリーにはできるかもしれない」
「そうなんですね…」
それからしばらく砂浜を歩いてみたり、近くのお店で食べ物を買ってもらったり…とにかく楽しく過ごせた。
「今日はありがとうございました。すごく楽しかったです」
「…そう」
「あ、あの…」
もう暗くなってきているし、そろそろ帰らないと心配をかけてしまう。
そう思ったけれど、何故か春人は私の手を握ったまま動こうとしない。
「春人…?」
「俺は、自分の気持ちを組み立てるのに時間がかかる。時々言葉が足りてないし、割りと無茶苦茶な仕事をしていることもある。
だけど、君のことを離したくないと思ってしまった。怪我の責任もだけど、それだけじゃなくて…君のことが、好きなんだ」
ざあ、と波の音がする。
しばらく思考停止していたけれど、だんだん頬が熱くなっていく。
春人と目を合わせると、黒柿色の髪が夕陽を浴びてきらきらと輝いていた。
「私には、できることが少なくて、まだまだ知っていることも多くないです。
だけど、いつの間にか春人と一緒にいたいと思うようになっていました」
自分の気持ちを素直に伝えて…そんな雪乃の言葉が頭に浮かんで、自分でも吃驚するほどすらすらと想いが零れていく。
「怪我をしたからとか、そういうのじゃなくて…好きだから、一緒にいたいです。これからも、側にいていいですか?」
「俺は君がいいんだ。君は俺が好き?」
「す、好きです」
「…そっか。安心した」
優しく抱き寄せられて、そのままされるがままになる。
そうしているうちに、頬に手が添えられた。
「…月見」
「は、はい」
「これから先も、俺の隣で人生を歩んでくれる?」
「わ、私でよければ…頑張ります」
「側にいてくれればそれでいいのに」
なんだか不思議だ。
ふわふわした思いに包まれながら、どこかへ飛んでいってしまいそうなくらい体が軽く感じる。
春人に好きって言ってもらえて嬉しかった。
──これからもきっと、私のなかの感情の歯車は忙しく動き続けるだろう。
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