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夏彦ルート
第8話
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沢山のお客さんに、それぞれの人たちに似合いそうな洋服を選ぶ店員さんたち…。
けれど、その中心にいるのは夏彦だった。
「店長」
「どうかした?」
「先程のお客様、洋服に合うアクセサリーもお探しとのことでして…」
「それなら、向こうのプチプラコーナーのものを勧めてみて!多分ああいう揺れるのを探してると思うから」
「店長、ほつれを直してほしいってお客様がいらしてます!」
「うちの店のじゃないな…。保証適応外になるけどもし直せそうなら引き受けて。
1週間で仕上げられる?」
「任せてください!」
雑貨に小物…やっぱり私とは遠い場所にあるものばかりだ。
少し居心地悪く感じていると、小さな女の子が泣きそうな顔で夏彦の服を掴んでいる。
「どうかしたのかな、小さいお姫様?」
「あの、この子治りますか?」
女の子が鞄から取り出したのは小さなぬいぐるみで、包帯が痛々しく巻かれている。
恐らく、応急処置の為につけられたものなのだろう。
「この子か…困ったな…」
さっきまであんなにてきぱきと動いていた夏彦の動きが鈍る。
包帯の下はとても悲惨な状態になっていて、たしかに治すのは難しそうだ。
「大切なお友だちなの。お願いします…!」
「できる限りのことはやってみる。だから、そっちでお洋服を見ててもらってもいいかな?」
女の子は今にも泣き出しそうな表情で頼みこんでいた。
…それだけ大切なものなら治したい。
「あの、夏彦」
「どうかした?」
ぬいぐるみを連れて戻ってきた彼に、思いきってお願いしてみることにする。
「その子、私が治してもいいですか?」
「ここまでの状態だけど、治せるそう?」
「…やってみます。裁縫はできるので」
傷を隠す為に、何か洋服を着せることになるのは違いないだろう。
それでも、あれだけ大切に思ってくれている人の側にいられればこの子だって幸せなはずだ。
裁縫道具は家を出たとき荷物に入れてきていて、今も持ち歩いている。
「…よし」
流石にプロの人たちくらい上手にはできないだろう。
それでもいいから、とにかくぼろぼろになっている部分を少しずつ治していく。
あの場所では、自分の服を縫って直すのが当たり前だった。
それが幸か不幸か今ここで生かせている。
「…できました」
「……」
「夏彦、できました」
「ごめん、すごすぎて言葉を失ってた。本当にプロの仕事だね!」
まさか褒めてもらえるとは思っていなかったので、少し動揺しながら夏彦に手渡す。
「ただ、傷があるから小さい洋服を沢山作った方がいいかもしれない、です」
「了解、洋服は俺に任せて!」
それからはあっという間だった。
夏彦の手からはどんどん洋服ができあがっていき、数着仕上がったところで小走りで女の子に渡しに行っている。
その手は最早、魔法の手としか表現できなかった。
けれど、その中心にいるのは夏彦だった。
「店長」
「どうかした?」
「先程のお客様、洋服に合うアクセサリーもお探しとのことでして…」
「それなら、向こうのプチプラコーナーのものを勧めてみて!多分ああいう揺れるのを探してると思うから」
「店長、ほつれを直してほしいってお客様がいらしてます!」
「うちの店のじゃないな…。保証適応外になるけどもし直せそうなら引き受けて。
1週間で仕上げられる?」
「任せてください!」
雑貨に小物…やっぱり私とは遠い場所にあるものばかりだ。
少し居心地悪く感じていると、小さな女の子が泣きそうな顔で夏彦の服を掴んでいる。
「どうかしたのかな、小さいお姫様?」
「あの、この子治りますか?」
女の子が鞄から取り出したのは小さなぬいぐるみで、包帯が痛々しく巻かれている。
恐らく、応急処置の為につけられたものなのだろう。
「この子か…困ったな…」
さっきまであんなにてきぱきと動いていた夏彦の動きが鈍る。
包帯の下はとても悲惨な状態になっていて、たしかに治すのは難しそうだ。
「大切なお友だちなの。お願いします…!」
「できる限りのことはやってみる。だから、そっちでお洋服を見ててもらってもいいかな?」
女の子は今にも泣き出しそうな表情で頼みこんでいた。
…それだけ大切なものなら治したい。
「あの、夏彦」
「どうかした?」
ぬいぐるみを連れて戻ってきた彼に、思いきってお願いしてみることにする。
「その子、私が治してもいいですか?」
「ここまでの状態だけど、治せるそう?」
「…やってみます。裁縫はできるので」
傷を隠す為に、何か洋服を着せることになるのは違いないだろう。
それでも、あれだけ大切に思ってくれている人の側にいられればこの子だって幸せなはずだ。
裁縫道具は家を出たとき荷物に入れてきていて、今も持ち歩いている。
「…よし」
流石にプロの人たちくらい上手にはできないだろう。
それでもいいから、とにかくぼろぼろになっている部分を少しずつ治していく。
あの場所では、自分の服を縫って直すのが当たり前だった。
それが幸か不幸か今ここで生かせている。
「…できました」
「……」
「夏彦、できました」
「ごめん、すごすぎて言葉を失ってた。本当にプロの仕事だね!」
まさか褒めてもらえるとは思っていなかったので、少し動揺しながら夏彦に手渡す。
「ただ、傷があるから小さい洋服を沢山作った方がいいかもしれない、です」
「了解、洋服は俺に任せて!」
それからはあっという間だった。
夏彦の手からはどんどん洋服ができあがっていき、数着仕上がったところで小走りで女の子に渡しに行っている。
その手は最早、魔法の手としか表現できなかった。
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