王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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白鳥 雪 続篇

第8話

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○「渚にからかわれて、疲れていませんか?」
「全然疲れてない。...寧ろ楽しかったよ」
全く知らない雪の姿を知ることができた。
それが黒羽にとって、何より嬉しいことだった。
○「それならいいのですが...」
雪はまだ何か言いたげにしていた。
「どうしたの?」
○「その、聞いてもいいでしょうか...?」
「何を?」
○「あなたの、昔の話を知りたいのです」
先程は渚の前だったので言えなかったが、雪は黒羽の話が気になるらしい。
黒羽は少し迷ったあと、話すことにした。
(私だけ話さないのはズルいような気がする)
「面白くないと思うよ?」
○「いいんです。教えてください」
「小さい頃から歌うのが好きで、よく歌っていたよ。でも、人魚には掟があって...二十になるまで陸を見ることは許されないの」
○「では、あのとき...出会ったあの日は偶然陸に?」
黒羽は頷いた。
「それまで、海のなかの世界しか知らなかったの」
海では母親が話してくれた。
陸には危険なものがあること。
海より綺麗なものもあること。
本当は人間に見つかってはいけないこと。
黒羽は色々なことを雪に話した。
その間、雪は黙って聞いていた。
黒羽が雪のことを知りたかったように、雪もまた、黒羽のことを知りたかったのだ。
「ごめんなさい、調子に乗って話しちゃった...」
○「いえ、とても楽しい話が聞けてよかったです。...もしかすると、幼少期に嫌な思い出があって話したくないのではと思っていたので、そうではなかったことが分かってほっとしました」
雪は温かな笑みを黒羽に向けた。
「心配してくれてありがとう」
○「これくらい当然のことです」
顔を見あわせ、二人でしばらく笑いあった。
(穏やかで幸せだな)
このとき、黒羽は母親が死んだことを話さなかった。
...雪に辛い思いをさせたくなかった。
そして、
黒羽自身もまた、苦いものを思い出したくなかったのだ。
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