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茶園 渚篇
第28話
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▼「...やっとうるさいやつらが帰ったか」
渚はため息をついた。
「でも...みんな楽しそうだったよ?渚も、楽しそうだったよ?」
▼「あれのどこがだ...」
渚はあの後全員から質問攻めを喰らうことになり、雪が制止するまで答え続けたためにボロボロだった。
「たまには楽しいんじゃないかな?」
▼「何がだ」
「ああやって、みんなでわいわいするの」
▼「おまえや雪がいればいいだがまあ...悪くはなかった」
(『悪くはなかった』?もしかして照れてる?)
「そう言いながら楽しそうだったよ?」
▼「うるせー」
そう言って渚は照れたように下を向く。
「...雪と渚は、本当に仲良しなんだね」
▼「まあな」
「少し羨ましい」
▼「...?おまえ、海では人気者の歌姫だったらしいじゃねえか」
「魔王がそう言ってたの?」
▼「...ああ」
渚がしまったという顔をしている。
「...あのね、たしかに人気?はあったかもしれない。でも...それは私以外に歌が上手な人がいれば、その人のところに行ってしまうのでしょう?私じゃなくても、いいんだよ...」
▼「俺はおまえがいい」
渚は黒羽を抱きしめながら言う。
▼「他のやつじゃ、ダメなんだ。俺が一緒にいてほしいのはおまえだけだ。俺はおまえ以外は嫌なんだ...」
「渚...」
黒羽はぱっと顔をあげて、ゆっくり答える。
「私たちは、案外似た者同士なのかもしれないね...」
▼「はあ?」
「だって、渚も前に言ってたでしょう?『本当に俺でいいのか』って...」
▼「あの時はまだ迷ってたからな...」
「私も思ってたよ。渚は優しいし、人の事ばかり考える努力家だから...私じゃ絶対に釣り合わないと思ってた。でも、私も渚がいい。渚じゃないと嫌なの...」
▼「可愛いことばっかり言いやがって...」
渚は黒羽の顎を持ち上げて、口づけた。
「ん...」
▼「...他のやつの前では絶対そんなこと言うなよ」
(...?今なんて言ったんだろう?)
「あの、渚...今なんて」
▼「もう黙れ」
「んんっ...!」
先程よりも深い口づけに、黒羽の身体は震えはじめる。
▼「そのまま俺だけ見てろ...」
そのまま何度も何度も口づけ、二人の瞳にはお互いの姿しか見えていなかった...。
渚はため息をついた。
「でも...みんな楽しそうだったよ?渚も、楽しそうだったよ?」
▼「あれのどこがだ...」
渚はあの後全員から質問攻めを喰らうことになり、雪が制止するまで答え続けたためにボロボロだった。
「たまには楽しいんじゃないかな?」
▼「何がだ」
「ああやって、みんなでわいわいするの」
▼「おまえや雪がいればいいだがまあ...悪くはなかった」
(『悪くはなかった』?もしかして照れてる?)
「そう言いながら楽しそうだったよ?」
▼「うるせー」
そう言って渚は照れたように下を向く。
「...雪と渚は、本当に仲良しなんだね」
▼「まあな」
「少し羨ましい」
▼「...?おまえ、海では人気者の歌姫だったらしいじゃねえか」
「魔王がそう言ってたの?」
▼「...ああ」
渚がしまったという顔をしている。
「...あのね、たしかに人気?はあったかもしれない。でも...それは私以外に歌が上手な人がいれば、その人のところに行ってしまうのでしょう?私じゃなくても、いいんだよ...」
▼「俺はおまえがいい」
渚は黒羽を抱きしめながら言う。
▼「他のやつじゃ、ダメなんだ。俺が一緒にいてほしいのはおまえだけだ。俺はおまえ以外は嫌なんだ...」
「渚...」
黒羽はぱっと顔をあげて、ゆっくり答える。
「私たちは、案外似た者同士なのかもしれないね...」
▼「はあ?」
「だって、渚も前に言ってたでしょう?『本当に俺でいいのか』って...」
▼「あの時はまだ迷ってたからな...」
「私も思ってたよ。渚は優しいし、人の事ばかり考える努力家だから...私じゃ絶対に釣り合わないと思ってた。でも、私も渚がいい。渚じゃないと嫌なの...」
▼「可愛いことばっかり言いやがって...」
渚は黒羽の顎を持ち上げて、口づけた。
「ん...」
▼「...他のやつの前では絶対そんなこと言うなよ」
(...?今なんて言ったんだろう?)
「あの、渚...今なんて」
▼「もう黙れ」
「んんっ...!」
先程よりも深い口づけに、黒羽の身体は震えはじめる。
▼「そのまま俺だけ見てろ...」
そのまま何度も何度も口づけ、二人の瞳にはお互いの姿しか見えていなかった...。
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