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追暮篇(おいぐらしへん)
ちょっとしたサプライズ
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七海の表情を見る限り、今回は成功したらしい。
「バレンタイン、色々もらって嬉しかったから...」
僕にとっては初体験で、どんなことをすればいいのか分からずじまいだった。
だから、色々な人の意見を取り入れた結果がサプライズ形式だ。
気づかれないように料理を作ってみたり、ちょっとした飾りつけをしてみたり。
「僕ひとりじゃ絶対にできなかったよ。ここを留守にしている間に、シェリやノワールが手伝ってくれたんだ。
あんなふうにしてもらえたのは初めてだったから、本当にささやかなものしか用意できなかったんだけど...ごめんね」
七海は首を横に降ると、ゆっくりと席に着く。
「ありがとう。こんなに素敵なものをもらったのは初めて。
...友人以外からもらったのも初めてだよ」
「喜んでもらえたならよかった」
両手を合わせ、ふたりで黙々と食べ始める。
お腹がすいていたからか、間に会話はなかった。
ただ、それだけ美味しそうに食べてくれたので喜んでもらえたのは間違いなさそうだ。
「それから、明後日予定が入ってないみたいだったからデートしようと思ったんだけど...都合は大丈夫ですか?」
「勿論です」
お互いわざと敬語を使って笑いあう。
そんなくだらないことでさえ、僕にとってはただ嬉しかった。
一緒にいられる、側で笑いあえる。
その小さなことがやはり得難いもののように感じられた。
こんなふうに誰かの近くにいられる日がくるなんて全く思っていなかっただけに、感情が爆発している。
「木葉」
「どうしたの?」
「本当にありがとう。...自分のことを想ってくれる人がいるのは、やっぱり幸せなことだね」
その言葉に強く頷き、それが合図だったようにだんだんと会話も増えていく。
「...本当はセッティングまでちゃんと全部自分でやりたかったんだけど、どうしても間に合わなかったんだ」
「美桜さんのこともラッシュさんに頼んでくれたり、あとは一緒に荷物を運んで中身を整理したり...あんなに沢山手伝ってもらえるとは思ってなかったから、嬉しかったよ」
その言葉だけで胸が熱くなっていく。
今すぐ跳ねてしまいたくなるほど、僕の心は舞いあがっていた。
「本当によかった...」
「私、木葉にしてもらえたことならどんなことだって嬉しいよ」
「ありがとう。僕、やっぱり七海のことを愛してる」
「いきなりは狡い...。でも、私も愛してる」
どちらからともなく唇が重なる。
その味はやはり甘くて頭がくらっとなりそうなものだったが、なんとか耐えた。
今はただ、七海の笑顔を目に焼きつけておきたい。
...これからきっと、少しだけ長い戦いがはじまるから。
「続き、ちゃんと食べちゃおうか」
「うん」
再び箸をすすめながら、ゆっくり話をする。
こんな平和な時間が何よりも幸せだと感じた。
「バレンタイン、色々もらって嬉しかったから...」
僕にとっては初体験で、どんなことをすればいいのか分からずじまいだった。
だから、色々な人の意見を取り入れた結果がサプライズ形式だ。
気づかれないように料理を作ってみたり、ちょっとした飾りつけをしてみたり。
「僕ひとりじゃ絶対にできなかったよ。ここを留守にしている間に、シェリやノワールが手伝ってくれたんだ。
あんなふうにしてもらえたのは初めてだったから、本当にささやかなものしか用意できなかったんだけど...ごめんね」
七海は首を横に降ると、ゆっくりと席に着く。
「ありがとう。こんなに素敵なものをもらったのは初めて。
...友人以外からもらったのも初めてだよ」
「喜んでもらえたならよかった」
両手を合わせ、ふたりで黙々と食べ始める。
お腹がすいていたからか、間に会話はなかった。
ただ、それだけ美味しそうに食べてくれたので喜んでもらえたのは間違いなさそうだ。
「それから、明後日予定が入ってないみたいだったからデートしようと思ったんだけど...都合は大丈夫ですか?」
「勿論です」
お互いわざと敬語を使って笑いあう。
そんなくだらないことでさえ、僕にとってはただ嬉しかった。
一緒にいられる、側で笑いあえる。
その小さなことがやはり得難いもののように感じられた。
こんなふうに誰かの近くにいられる日がくるなんて全く思っていなかっただけに、感情が爆発している。
「木葉」
「どうしたの?」
「本当にありがとう。...自分のことを想ってくれる人がいるのは、やっぱり幸せなことだね」
その言葉に強く頷き、それが合図だったようにだんだんと会話も増えていく。
「...本当はセッティングまでちゃんと全部自分でやりたかったんだけど、どうしても間に合わなかったんだ」
「美桜さんのこともラッシュさんに頼んでくれたり、あとは一緒に荷物を運んで中身を整理したり...あんなに沢山手伝ってもらえるとは思ってなかったから、嬉しかったよ」
その言葉だけで胸が熱くなっていく。
今すぐ跳ねてしまいたくなるほど、僕の心は舞いあがっていた。
「本当によかった...」
「私、木葉にしてもらえたことならどんなことだって嬉しいよ」
「ありがとう。僕、やっぱり七海のことを愛してる」
「いきなりは狡い...。でも、私も愛してる」
どちらからともなく唇が重なる。
その味はやはり甘くて頭がくらっとなりそうなものだったが、なんとか耐えた。
今はただ、七海の笑顔を目に焼きつけておきたい。
...これからきっと、少しだけ長い戦いがはじまるから。
「続き、ちゃんと食べちゃおうか」
「うん」
再び箸をすすめながら、ゆっくり話をする。
こんな平和な時間が何よりも幸せだと感じた。
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