【R18】夜の帳に聖なる契り 『転生後の異世界で、腐女子のわたしがBLネタにしていた推しに喰われる漫画を描く罰ゲーム』

DAKUNちょめ

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22話◆両手にバナナ。ベッドにバナナ。泣いても笑ってもバナナ。

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「あはは!笑ったら駄目なんだけど、メグミン、貴女面白いわ!サイモンに女がいるかもと大泣きしながら、両手にバナナ!こんな令嬢見た事無いわよ!!あはは!」



バナナを両手に持ちながら大号泣するわたしは、笑いが止まらなくなる程面白い顔をしている様だ。

だって、令嬢らしくハンカチ持ってシクシク物悲しく泣く余裕なんて無いわ!



「あー久しぶりに大笑いさせて貰ったわ。でもね、メグミン。サイモンにはほんとにメグミンしか居ないわよ?自分の息子だから擁護する訳じゃなく、あの子はほんとに病気だから。」



そういや、サイモンて病的な位に一途で、ストーカー気質なヤバイ奴だったなぁ…設定としては



と、冷静に考えるわたしの思考と共に、



じゃあ、指輪何なのよ!わたしより、カチュアを妻にしたいって意味じゃないの!!わたしより…わたしよりも…あぁ!サイモン…なぜなの!と悲しみと嫉妬に苛まれる女としての、わたしの感情がある。



その2つの思考と感情が表に出ると、バナナ握って大号泣という面白可笑しい泣き方になるようだ。



「ぶえぇああぁ!指輪ぁ!」



「あはははは!メグミン、ブッサイクだわ!貴女、ブサイクで可愛い!!」



幽霊に抱き締められ、頬にキスされる。

意味が分からん。

ブサイクで可愛いなんて理由で義母の幽霊に気に入られ過ぎて。



「あっはっは…メグミンの言っている、指輪の意味は分からないんだけどね…何で、そんなもの気にするかなぁ?たかが指輪でしょう?」



気にするでしょう!わたしが、サイモンから指輪を貰ってないのに!カチュアには指輪をあげた!指にはめた!

プロポーズみたいじゃないの!



わたしは無言で頬をフグみたいに膨らませ、涙目のまま、ぷるぷる震えて義母を見る。



「えーと…メグミンにとっては、許せない大事な事なのね?その指輪がどうのこうのは…。だったら、ちゃんとサイモンに話さないと伝わらないでしょう?」



「…………」



「会いたくないと?あらあら、いつまでも、そんな態度をとっていたら、その内サイモンに捕まって、どこかに監禁されるわよ?」



げ!!それは…有り得る……だ、だが!サイモンにはカチュアが居るではないか!



「いっそ、監禁されちゃえば?メグミンの誤解が解けるまでどろどろに愛して貰えばぁ?」



義母がニヤニヤ笑いながら、抱き締めていた無言のわたしを解放する。

わたしは、無言フグのままぷるぷる震えて首を左右に振る。



「黙りこくっていても、何を考えているのか分かりやすいわね、メグミンは。素直で可愛い子ねぇ!貴女がサイモンの妻になってくれて、私も嬉しいのよ。うふふ…逃がさないわ…!」



逃がさない?ど、どういう意味ですか!?お義母様!!









わたしは、温室から無事帰還させて貰えたようだ。

南国風な葉っぱで編まれた手提げに果物をいっぱい入れて貰い、渡され…「また来てね!約束よ?メグミン!」と、見送られた。



取り憑かれは…しなかったようだ。

逃がさないって…何だったんだ?





温室から中庭を歩いて邸に着く。

ずっと暗い場所に居たせいで、目が暗い場所に慣れたわたしは、邸に入る前にランタンの火を消して手提げに入れた。

ドアを開け邸に入ると邸内は思った以上の暗闇で、ドアを背にしたままのわたしは、目が慣れるまで身動きが取れなくなってしまった。



「ッきゃ…!」



暗闇で腕を掴まれ、声をあげそうになった口を手で塞がれた。

果物とランタンが入った手提げが床に落ちる。



見えないけど分かる。

わたしに触れる、その触れ方、手の感じ、体格、呼吸、香り、見えないのに分かってしまう。

サイモンだ。

浅い息遣いと共に、声を殺すように小さく静かなサイモンの声を聞いた。



「…なぜ……俺を避ける……?理由を知りたい……」



入って来たばかりのドアに背を押し付けられ、わたしは口を塞がれている。



「体調の悪い君に無理をさせたからか…?いや、違うな…その後…俺は何をした?…頼む…メグミン…教えてくれ…」


わたしは無言を貫く。

言いたい事は有りすぎて。でも言いたくない。

声を出したら、みっともなく喚いてしまいそう。

そんなわたしを見せたくないって気持ちと、喚いてしまった後に

「なんだ、そんな事?」



なんて言われたりしたら、どうして良いか分からないからと。

いろんな思いと感情がぐるぐるして、わたしは動けない。



「なぜ、急に心が離れる?なぜ…俺は…君に……例え君を抱けなくなっても、君の心は俺だけのものであって欲しい…そう言った…俺と閨を共にするのが嫌だと言うなら、もう……」



「君の心は俺だけのもの?サイモンの心は、わたしだけのものじゃないのに?」



塞がれたサイモンの手の内側でボソッと呟く。



「…え?…ど、どういう…意味…うわ…!」



困惑しているサイモンを思い切り突き飛ばす。

ラガーマンのタックル並みに。

これくらいしないと、身体を鍛えているサイモンには効きやしない。



少し身体が離れたのを感じ取り、隙を見て足元の手提げを拾い上げ、何となく暗闇に慣れたっぽいわたしは、時々壁にぶつかり、ゴン、ガン、と音を立てながら寝室に走った。



寝室に辿り着いたわたしは部屋に鍵を掛け、大きなベッドにダイブする。



「サイモン…サイモン…!サイモンの馬鹿ぁ…!コブ出来た!デコが痛い!…ぶぇえ…!」



ベッドの上で泣きじゃくるわたしの回りには



ぶちまけた手提げから放り出された、大量のバナナが散乱していた。







翌朝



サイモンは休暇が終わり、王城に出向いた。

わたしは見送らなかった。



夕方、帰宅する時も出迎えるつもりはない。

使用人一同門の手前のアプローチに並んでサイモンを送り出し、出迎える。

サイモンの妻でありながら、その場に現れないわたしを、みんなはどう思うのだろう。



でも、知ったこっちゃねぇ。

寝室の窓から遠く離れた門を見ながら、わたしはモギュモギュとバナナを食べていた。



サイモンが門から離れ姿が見えなくなると、使用人達が邸に戻って来る。



その使用人の中に、カチュアの姿を見付けてしまった。

赤い髪は太陽に当たり輝き、姿勢正しく凛と歩く姿が侍女の服を着ているのに何だかかっこいい。

……ん?…かっこいいのか…?

美人だけど…綺麗とかでなくて、何で今、かっこいいなんて思ったのかしら。













「兄さん、絶対に逃がさないでね。」



「此処で、その呼び方はなりません…奥様。」



「じゃあ、スチュワート。わたし、あの子が気に入ったのよ!サイモンの妻でいるのは、あの子しか許さないわ。後のヒールナー伯爵夫人は、あの子しかいないのよ。」



「左様で御座いますか。奥様。…私も、ミランダ様を気に入っております。…ゆえに…」



「逃がさないで。あの子の立場を、命を脅かす者を見過ごさないで。私は、あの子がこの邸から居なくなるのを許さないわ。」



「畏まりました。亡き、ヒールナー伯爵夫人…グレイス様。……それにしても若奥様は…バナナがお好きなんですなぁ…。」



「あっはっは!そうなのよ!両手にバナナ持って、うきゃきゃって言ってたのよ!最高だわ!おしとやかなフリして、腹の中じゃ何を思ってんだか分からない、そこいらの貴族令嬢なんかと違ってね!」



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