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フリアダビア前哨基地編
阿羅亀噛の強化
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「さぁて、阿羅亀噛の強化やっちまおうか!」
追加の肉団子スープ100人分を作り終え、炊き出しの任を解かれたノアは、つい先程起きたヴァンディットと共にドワーフ達の元を訪れた。
バドは未だテラヴァジアで隊員達と共に鉱脈探索に行っているらしく、ルドとロイが仮設の鍛治場にいた。
取り敢えず先程作った肉団子スープとコロッケをドワーフ2人とヴァンディットに渡し、軽い食事とした。
そして一段落した所でいよいよ阿羅亀噛の強化、と言うか『俺』の力を通す事になった。
「ほいじゃあ、阿羅亀噛をこの盤の上に置いちょくれ。
柄の部分は盤からはみ出す様にしちょくれ。」
ロイがアイテムボックスから取り出したのは金属盤を二つ折りにした様な物だった。
言われた通り柄の部分をはみ出す様にして置く。
すると、ガシャガシャと音を立て、阿羅亀噛の刀身の形に沿って金属盤が展開。
少しすると、すっぽりと刀身が収まってしまった。
そして蓋をする様に上側の金属盤も下げると、ガシャガシャと音を立て刀身の形に収まる。
「これはブロクトル鉱石と言う、魔力を内部と外部とで完全に遮断する特性を持った特殊な鉱石で作った金属盤での、剣に魔力を通すには打ってつけの代物じゃ。
そいじゃあ、柄を持って力を流してみ?」
ロイに促されたので表に『俺』を呼び出す。
ちなみにこの場には、ドワーフやヴァンディットの他にミユキや、ユグ、妖精2人にバラス、アルキラー、ベルドラッドやライリまでいる。
見世物じゃないのだがなぁ…
ズズズ…
ノアが徐々に赤黒いオーラを纏い始め、目も赤黒く染まっていく。
その光景を見ていたベルドラッドは背中に冷や汗が流れる感覚を覚えていた。
ガシッ!『そんじゃあ行くぜ?』
『俺』が徐々に力を込めると赤黒いオーラが手に集まって行く。
次に赤黒いオーラが紫電混じりの炎に変わり、柄が赤熱した様に光輝いていく。
パキッ…パキキッ…
「ね、ねぇ…何か割れる音聞こえない…?」
「あれは力を流しとる音じゃのう…
しかもかなり力業で強引に流し込んどる。
並の剣じゃ直ぐに木っ端微塵じゃろう、一体どんな事になるのやら…」
ドワーフでさえどうなるか分からないと言った感じである。
1~2分程すると徐々に光が収まっていく。
『うん、大体こんな物じゃないかな。』
『俺』としても納得が行ったのかニヤリと笑って金属盤を外す。
すると黒い刀身に血管の様に張り巡らされた赤黒い模様に、刃の部分も同様に赤黒く染まっている。
「黒に赤黒だと何かいまいち変化が分かり辛いわね。」
『まぁ普通に使う分にはそれで良いだろうな。
だがこうして魔力を流してやると…』
『俺』が阿羅亀噛に魔力を流すと、赤黒い模様と刃の部分が溶けた鉄の様に赤熱化。
周囲に熱風を撒き散らす。
「うわっ、熱っ!」
「おーおー、たたら場の様じゃわい。」
「炎属性を付与した様じゃのう。」
『ふふん、只の炎じゃないぜ、『俺』の炎だ。
どんな奴だろうが瞬時に灰と化すだろうぜ。』
そう言って『俺』は近くにあった大岩に行き、刃をコツンと当てると魔力を流す。
瞬時にドロリと溶け、水溜まりの様に広がった。
「おぅ…何つう温度じゃ、軽く1000度はいっとるじゃろな…
破壊不可で、何でもぶった斬る剣とは…ほぼ魔剣じゃな…」
『はは!街で『俺』…ノアが戦ってる時に弾かれたりしてたのが気に食わなくてな。
これさえありゃ、物理攻撃が効かない幽鬼、霊ですら屠れるだろうぜ!』
『俺』が満足したのでもう一本の阿羅亀噛も同様の行程で力を流す。
これにて強化が終わったので赤黒いオーラは消え、普段のノアに戻る。
「何か凄い事になったな…」ボフッ!
ノアが改めて魔力を流すと周囲から再び「熱い」と悲鳴が上がる。
が、ノアは熱を感じていない様だ。
「使用者特典みたいな物じゃ、やはり魔剣の類じゃな。
その武器の説明はどないなっちょるか?」
バドに促されたので剣の説明を見てみる事に。
これが以前までの阿羅亀噛の説明。
『阿羅亀噛(アラキガミ)』…『阿羅亀』の素材のみで作られた超重量高硬度の二刀。
対にすると圧倒的な重量と物理破壊力でどんな物でも噛み砕く『阿羅亀』が模される。
そして強化後の説明がこちら。
『荒鬼神(アラキガミ)』…『阿羅亀』の素材のみで作られた超重量高硬度の二刀に、『鬼神』の力を無理矢理注ぎ込んで出来た森羅万象全ての物を破壊する魔剣。
この魔剣を振るった戦場は、荒れ狂う鬼神が暴れたのかと錯覚する程の焦土と化し、その光景を見た者は畏怖すら覚えるであろう。
「おおー!『荒鬼神』に変化してるし、説明にも『魔剣』って出てるー!」
(でも何で説明の中に僕の二つ名の『鬼神』が入ってるんだろう、力を流し込んだのは『俺』なのに…)
気になる所はあるが、以前よりも大幅に強化された為、ドワーフ達に感謝を述べる事に。
「ありがとうございます、かなり強化されました。
ちなみに普通の剣と魔剣だと何が違うのでしょうか?」
「そっか、魔剣自体初めてじゃったな。
魔剣の場合、スキルとかと同様に熟練度の様な物がある。
今は魔力を流さんとその炎は出ん様じゃが、使っていけば魔力無しでも発動出来るかもな。
じゃがわしとしては、その火力を無尽蔵に出せたら恐ろしくて敵わんがな。」
「はは、確かに。」
その後、少し開けた場所でいつも通り振ってみたり、投げてみたりしたが、耐久性は以前と変わり無い様であった。
ちなみに魔力の消費量は、瞬間的に斬る時は極少量でも良いが、炎を出し続ける場合は継続的に消費する様だ。
まぁ、この力を使わなければいけない様な相手と戦うのは出来れば御免被りたい。
「あ、ノア君ここに居られましたか。」
声のした方を見ると、商人のバラガスが立っており、手には指輪を持っていた。
「彫金加工職人にお願いしていた、余剰魔力を溜めておける装飾品です。
魔力が枯渇しても、身に付けて頂ければ自身に還元されます。」
「え?もう出来たのですか?」
「ええ、職人の皆様大変満足されてまして、凄まじい速さでお作りになられましたよ。
ですが性能は保証します。
ただ、作り過ぎて20点程になりますが如何致しましょう?」
「いや、全て戴きます。ちなみにこれで幾ら位になりますか?」
「大体2000万ガル程かと。」
「ひょええ~。」
「では隠れ蜥蜴の代金から引かせて頂いて、後日ギルド等から支払われると思います。
どうぞお受け取り下さい。」
バラガスから装飾品を戴いたノアは早速指に嵌め、残りはアイテムボックスへと仕舞った。
「余剰魔力が溜まりましたら嵌め込まれている宝石が赤く染まりますので、それが目安となります。
あと指輪は全て自動で指の大きさに合わせられる様になっております。
ですので御付きのお嬢さんでも装着出来ますよ。」
「なるほど、色々と手を尽くして頂いてありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ、良い商いが出来ました。またどこかで会える事を楽しみにしています。」
そう言ってバラガスは街の中へと消えていった。
「さてと、それじゃあ…」
「こ、これを私が身に付けて良いのですか?」
「うん、僕だけじゃ魔力もそんなに無いし、宝の持ち腐れだからね。」
ノアに促され、指輪を装着したヴァンディット。
今まであまり指輪を装飾品等着けた事が無かったのだろう、色んな方向から眺め、うっとりとしていた。
用途としては余剰魔力を溜めておく為の物だが、装飾もゴテゴテしておらず、普段使いも可能な感じに仕上がっている。
「お似合いですよ、お嬢様。」
「ほあっ!?」
本人も大層気に入ったのか、朝になるまでの間、うっとりとしたり、ニマニマと朗らかな笑顔で眺め続けていた。
追加の肉団子スープ100人分を作り終え、炊き出しの任を解かれたノアは、つい先程起きたヴァンディットと共にドワーフ達の元を訪れた。
バドは未だテラヴァジアで隊員達と共に鉱脈探索に行っているらしく、ルドとロイが仮設の鍛治場にいた。
取り敢えず先程作った肉団子スープとコロッケをドワーフ2人とヴァンディットに渡し、軽い食事とした。
そして一段落した所でいよいよ阿羅亀噛の強化、と言うか『俺』の力を通す事になった。
「ほいじゃあ、阿羅亀噛をこの盤の上に置いちょくれ。
柄の部分は盤からはみ出す様にしちょくれ。」
ロイがアイテムボックスから取り出したのは金属盤を二つ折りにした様な物だった。
言われた通り柄の部分をはみ出す様にして置く。
すると、ガシャガシャと音を立て、阿羅亀噛の刀身の形に沿って金属盤が展開。
少しすると、すっぽりと刀身が収まってしまった。
そして蓋をする様に上側の金属盤も下げると、ガシャガシャと音を立て刀身の形に収まる。
「これはブロクトル鉱石と言う、魔力を内部と外部とで完全に遮断する特性を持った特殊な鉱石で作った金属盤での、剣に魔力を通すには打ってつけの代物じゃ。
そいじゃあ、柄を持って力を流してみ?」
ロイに促されたので表に『俺』を呼び出す。
ちなみにこの場には、ドワーフやヴァンディットの他にミユキや、ユグ、妖精2人にバラス、アルキラー、ベルドラッドやライリまでいる。
見世物じゃないのだがなぁ…
ズズズ…
ノアが徐々に赤黒いオーラを纏い始め、目も赤黒く染まっていく。
その光景を見ていたベルドラッドは背中に冷や汗が流れる感覚を覚えていた。
ガシッ!『そんじゃあ行くぜ?』
『俺』が徐々に力を込めると赤黒いオーラが手に集まって行く。
次に赤黒いオーラが紫電混じりの炎に変わり、柄が赤熱した様に光輝いていく。
パキッ…パキキッ…
「ね、ねぇ…何か割れる音聞こえない…?」
「あれは力を流しとる音じゃのう…
しかもかなり力業で強引に流し込んどる。
並の剣じゃ直ぐに木っ端微塵じゃろう、一体どんな事になるのやら…」
ドワーフでさえどうなるか分からないと言った感じである。
1~2分程すると徐々に光が収まっていく。
『うん、大体こんな物じゃないかな。』
『俺』としても納得が行ったのかニヤリと笑って金属盤を外す。
すると黒い刀身に血管の様に張り巡らされた赤黒い模様に、刃の部分も同様に赤黒く染まっている。
「黒に赤黒だと何かいまいち変化が分かり辛いわね。」
『まぁ普通に使う分にはそれで良いだろうな。
だがこうして魔力を流してやると…』
『俺』が阿羅亀噛に魔力を流すと、赤黒い模様と刃の部分が溶けた鉄の様に赤熱化。
周囲に熱風を撒き散らす。
「うわっ、熱っ!」
「おーおー、たたら場の様じゃわい。」
「炎属性を付与した様じゃのう。」
『ふふん、只の炎じゃないぜ、『俺』の炎だ。
どんな奴だろうが瞬時に灰と化すだろうぜ。』
そう言って『俺』は近くにあった大岩に行き、刃をコツンと当てると魔力を流す。
瞬時にドロリと溶け、水溜まりの様に広がった。
「おぅ…何つう温度じゃ、軽く1000度はいっとるじゃろな…
破壊不可で、何でもぶった斬る剣とは…ほぼ魔剣じゃな…」
『はは!街で『俺』…ノアが戦ってる時に弾かれたりしてたのが気に食わなくてな。
これさえありゃ、物理攻撃が効かない幽鬼、霊ですら屠れるだろうぜ!』
『俺』が満足したのでもう一本の阿羅亀噛も同様の行程で力を流す。
これにて強化が終わったので赤黒いオーラは消え、普段のノアに戻る。
「何か凄い事になったな…」ボフッ!
ノアが改めて魔力を流すと周囲から再び「熱い」と悲鳴が上がる。
が、ノアは熱を感じていない様だ。
「使用者特典みたいな物じゃ、やはり魔剣の類じゃな。
その武器の説明はどないなっちょるか?」
バドに促されたので剣の説明を見てみる事に。
これが以前までの阿羅亀噛の説明。
『阿羅亀噛(アラキガミ)』…『阿羅亀』の素材のみで作られた超重量高硬度の二刀。
対にすると圧倒的な重量と物理破壊力でどんな物でも噛み砕く『阿羅亀』が模される。
そして強化後の説明がこちら。
『荒鬼神(アラキガミ)』…『阿羅亀』の素材のみで作られた超重量高硬度の二刀に、『鬼神』の力を無理矢理注ぎ込んで出来た森羅万象全ての物を破壊する魔剣。
この魔剣を振るった戦場は、荒れ狂う鬼神が暴れたのかと錯覚する程の焦土と化し、その光景を見た者は畏怖すら覚えるであろう。
「おおー!『荒鬼神』に変化してるし、説明にも『魔剣』って出てるー!」
(でも何で説明の中に僕の二つ名の『鬼神』が入ってるんだろう、力を流し込んだのは『俺』なのに…)
気になる所はあるが、以前よりも大幅に強化された為、ドワーフ達に感謝を述べる事に。
「ありがとうございます、かなり強化されました。
ちなみに普通の剣と魔剣だと何が違うのでしょうか?」
「そっか、魔剣自体初めてじゃったな。
魔剣の場合、スキルとかと同様に熟練度の様な物がある。
今は魔力を流さんとその炎は出ん様じゃが、使っていけば魔力無しでも発動出来るかもな。
じゃがわしとしては、その火力を無尽蔵に出せたら恐ろしくて敵わんがな。」
「はは、確かに。」
その後、少し開けた場所でいつも通り振ってみたり、投げてみたりしたが、耐久性は以前と変わり無い様であった。
ちなみに魔力の消費量は、瞬間的に斬る時は極少量でも良いが、炎を出し続ける場合は継続的に消費する様だ。
まぁ、この力を使わなければいけない様な相手と戦うのは出来れば御免被りたい。
「あ、ノア君ここに居られましたか。」
声のした方を見ると、商人のバラガスが立っており、手には指輪を持っていた。
「彫金加工職人にお願いしていた、余剰魔力を溜めておける装飾品です。
魔力が枯渇しても、身に付けて頂ければ自身に還元されます。」
「え?もう出来たのですか?」
「ええ、職人の皆様大変満足されてまして、凄まじい速さでお作りになられましたよ。
ですが性能は保証します。
ただ、作り過ぎて20点程になりますが如何致しましょう?」
「いや、全て戴きます。ちなみにこれで幾ら位になりますか?」
「大体2000万ガル程かと。」
「ひょええ~。」
「では隠れ蜥蜴の代金から引かせて頂いて、後日ギルド等から支払われると思います。
どうぞお受け取り下さい。」
バラガスから装飾品を戴いたノアは早速指に嵌め、残りはアイテムボックスへと仕舞った。
「余剰魔力が溜まりましたら嵌め込まれている宝石が赤く染まりますので、それが目安となります。
あと指輪は全て自動で指の大きさに合わせられる様になっております。
ですので御付きのお嬢さんでも装着出来ますよ。」
「なるほど、色々と手を尽くして頂いてありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ、良い商いが出来ました。またどこかで会える事を楽しみにしています。」
そう言ってバラガスは街の中へと消えていった。
「さてと、それじゃあ…」
「こ、これを私が身に付けて良いのですか?」
「うん、僕だけじゃ魔力もそんなに無いし、宝の持ち腐れだからね。」
ノアに促され、指輪を装着したヴァンディット。
今まであまり指輪を装飾品等着けた事が無かったのだろう、色んな方向から眺め、うっとりとしていた。
用途としては余剰魔力を溜めておく為の物だが、装飾もゴテゴテしておらず、普段使いも可能な感じに仕上がっている。
「お似合いですよ、お嬢様。」
「ほあっ!?」
本人も大層気に入ったのか、朝になるまでの間、うっとりとしたり、ニマニマと朗らかな笑顔で眺め続けていた。
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