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第八戦:小熟女ヒロインは実家のブラック企業の危急存亡にたちあがらんとし…
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――――数日後、郁子の実家の合成樹脂会社ハイクオリティでは、重大な会議が催されている。
「この度、わが社の窮状を脱するため、なけなしの内部留保をなげうち、地方向け限定コマーシャルを作ることにした!!」
と、高らかに宣言するのは、社長にして郁子の祖父、越後音吉である。
御年92歳にして、いまだ現役、生涯ワンマンを宣言している昭和一桁の御仁である。
「ちょっと、ちょっと、おじいちゃま、そんなゆとり、うちの会社にはなくってよ!」
と、役員兼経理部長を請け負う郁子が慌ててとりなす。
「いぃや、流行り病が終焉に向かい、アクリルボードの売り上げも急下降した今、わが社がその名を轟かすチャンスは今しかないのだ」
ハイクオリティは業界ではなかなか名の知れた合成樹脂会社ではある。
しかし、中小企業の域は出ず、感染症飛沫ボードの売り上げが激減した今、業績悪化が著しいと言わざるを得なかった。
「でもだからって、今更CM作ったところで業績は変わらんでしょ」
と、郁子の兄貴にしてバカ殿ともっぱらの評判の紳次郎が能天気に宣う。
「まあ、確かに都会の大企業ならばともかく、田んぼのど真ん中に本社工場のある、中小企業がTVで宣伝していてもなぁ」
と、今度は郁子のパパで、この地に似つかわしくない洗練された入り婿専務、紳一郎がため息交じりに言う。
「ぶわっかもおおおぉぉぉ~~~~ん!!」
と、久々に大雷が降りかかる。
地震・雷・火事・親父を体現したような昭和気質の音吉翁がキレたら、もう話は成立しない。
「我が越後家は、上杉謙信公にお仕えして以降、この地を賜り、その立場を揺るぎないものとしてきたのだ。不況や苦境など何のその、戦国時代の武田軍の来襲に比べれば屁でもないわ!!」
と、御先祖自慢が始まると、その勢いはとどまるところを知らなくなる。
黒いモノも白いといわねば、社員たちはその立場が危うくなり、場合によってはクビも覚悟せねばならないという、ある意味超ブラック体質のハイクオリティだ。
「今日の午後にも、地元映像制作会社ポニック・アートとやらの社員が来ることになっておる! 郁子、柏森、それに…出来損ないの婿…洋助だったな! お前たち三人がこのプロジェクトに当たるのだ!」
と、孫娘の結婚相手をいまだに軽くディスる癖が抜けない音吉翁。
(柏森さんかあ…なんか嫌な予感がするなあ)
郁子は憂鬱な表情を浮かべる。
柏森とは、古株の技術開発部長であり、温厚な紳一郎次期社長失脚を―――といっても大した会社の後継者争いでもないというのに大仰ではあるが―――狙うという、会社の黒幕と洋助ともども踏んでいる仇敵(?)である。
しかも、郁子がビューティ・マダムであることを車内で唯一知る人物で、ますます油断がならない相手なのだ。
「ごめんね、よーちゃん」
と、少々申し訳なさげに小声でぺこりと謝る愛妻に、洋助は嬉しくもなった様子だ。
「でも、変なことになっちゃったよね、CMとかマジで作る気なのかな?」
すぐに困惑顔も作る郁子だ。
「ま、いいじゃん。その映像制作会社の話っていうのも聞いてみようぜ」
洋助はなかなかミーハーなノリで応じた。
「この度、わが社の窮状を脱するため、なけなしの内部留保をなげうち、地方向け限定コマーシャルを作ることにした!!」
と、高らかに宣言するのは、社長にして郁子の祖父、越後音吉である。
御年92歳にして、いまだ現役、生涯ワンマンを宣言している昭和一桁の御仁である。
「ちょっと、ちょっと、おじいちゃま、そんなゆとり、うちの会社にはなくってよ!」
と、役員兼経理部長を請け負う郁子が慌ててとりなす。
「いぃや、流行り病が終焉に向かい、アクリルボードの売り上げも急下降した今、わが社がその名を轟かすチャンスは今しかないのだ」
ハイクオリティは業界ではなかなか名の知れた合成樹脂会社ではある。
しかし、中小企業の域は出ず、感染症飛沫ボードの売り上げが激減した今、業績悪化が著しいと言わざるを得なかった。
「でもだからって、今更CM作ったところで業績は変わらんでしょ」
と、郁子の兄貴にしてバカ殿ともっぱらの評判の紳次郎が能天気に宣う。
「まあ、確かに都会の大企業ならばともかく、田んぼのど真ん中に本社工場のある、中小企業がTVで宣伝していてもなぁ」
と、今度は郁子のパパで、この地に似つかわしくない洗練された入り婿専務、紳一郎がため息交じりに言う。
「ぶわっかもおおおぉぉぉ~~~~ん!!」
と、久々に大雷が降りかかる。
地震・雷・火事・親父を体現したような昭和気質の音吉翁がキレたら、もう話は成立しない。
「我が越後家は、上杉謙信公にお仕えして以降、この地を賜り、その立場を揺るぎないものとしてきたのだ。不況や苦境など何のその、戦国時代の武田軍の来襲に比べれば屁でもないわ!!」
と、御先祖自慢が始まると、その勢いはとどまるところを知らなくなる。
黒いモノも白いといわねば、社員たちはその立場が危うくなり、場合によってはクビも覚悟せねばならないという、ある意味超ブラック体質のハイクオリティだ。
「今日の午後にも、地元映像制作会社ポニック・アートとやらの社員が来ることになっておる! 郁子、柏森、それに…出来損ないの婿…洋助だったな! お前たち三人がこのプロジェクトに当たるのだ!」
と、孫娘の結婚相手をいまだに軽くディスる癖が抜けない音吉翁。
(柏森さんかあ…なんか嫌な予感がするなあ)
郁子は憂鬱な表情を浮かべる。
柏森とは、古株の技術開発部長であり、温厚な紳一郎次期社長失脚を―――といっても大した会社の後継者争いでもないというのに大仰ではあるが―――狙うという、会社の黒幕と洋助ともども踏んでいる仇敵(?)である。
しかも、郁子がビューティ・マダムであることを車内で唯一知る人物で、ますます油断がならない相手なのだ。
「ごめんね、よーちゃん」
と、少々申し訳なさげに小声でぺこりと謝る愛妻に、洋助は嬉しくもなった様子だ。
「でも、変なことになっちゃったよね、CMとかマジで作る気なのかな?」
すぐに困惑顔も作る郁子だ。
「ま、いいじゃん。その映像制作会社の話っていうのも聞いてみようぜ」
洋助はなかなかミーハーなノリで応じた。
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