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14.勇者様、冥土の土産
しおりを挟む「何で譲っちゃうのよこのヘタレ!そこは俺の物って見せつけるとこでしょうが!」
「いやいや、俺の物じゃないし……」
逃げた先はクレアの元で、事情説明すると何故か叱責された。
ジェイミー様に恋心を寄せる女は全て排除すべき!というのが彼女の考えだから俺の行動はクレアからしたら到底受け入れられないのだろう。
しかし、俺はクレアとは違い可愛くも無いし身分も低くジェイミー様とは釣り合わない。それに、店の為にもちょうど彼から離れる良い機会だ。
ここ最近の記憶は冥土の土産としよう。孫の代まで語れる。ありがとうジェイミー様。この思い出は一生忘れません。
「ちょっと、安心しきった雰囲気出してるけどこれで終わりとか絶対無いからね?あんたの話によると多分その女は聖女様でしょ?」
「聖女様って、あの魔王討伐の?」
「もう、ミルったら演劇だって何回見てきたのに本当にジェイミー様以外興味無いんだから」
呆れたようにクレアが息を吐いた。
そして眉を吊り上げて舌打ちを打つ。
「あの女、聖女に選ばれただけのぽっと出のくせにジェイミー様に擦り寄って鬱陶しいのよ。婚約候補に入ってた姫様は魔王討伐の褒美に選ばれなかったから諦めたらしいけど、今度はあの女が本命じゃないかって言われてるの。本当に気に食わないわ!」
本命にしてはジェイミー様の様子は特に異変が無かったけれど、彼女がジェイミー様に思いを寄せているのは確実だ。
クレアの瞳の中には炎が燃えているが、正直俺は幸せならOKですタイプのオタクだからジェイミー様が好きな人ならば結ばれて欲しいし特に不満は無い。寧ろそれでジェイミー様の笑顔が見れるなら最高だ。
「あの女のどこが良いのよ!私達には喧嘩売ってくるのにジェイミー様の前では猫被って殴ってやりたいと思うわ」
「可愛いから?」
そう言うとクレアは拗ねたように口を尖らせた。
「私より可愛いって言う気?」
「ええ?俺はクレアの方が可愛いと思うよ」
「だよね!ジェイミー様と付き合えると思う?」
「うんうん」
頷くとクレアはお気に召したように微笑みながら鼻歌を歌った。上機嫌の時と不機嫌の時との差が激しいな……。
そして俺はこの日からジェイミー様と関わらないように昼食の時間帯は直ぐにクレアの方へ向かった。ジェイミー様はお忙しい方だから当然それから会わなくなった。
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