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第六章 【二つの世界】

6-328 専属

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「……わかりましたでは普段の捜索は警備兵たちに任せましょう。それで、この城内に部屋を借りたいというのは……本当ですか?」


「あぁ……アタシにはこの世界で知り合いが少ないからね、泊まるところもないんだ。まぁ、無きゃ内でいいんだけど……それよりもあんた達とすぐ連絡が取れた方が、何か起きた時のために対応が早くできるじゃない?だからここにどこか部屋を貸してほしいんだ……ダメか?」


「い、いえ!?ダメなことなどございません……そうですよね?近くにいた方が何かと連絡も付きやすいですし……ぜ、ぜひこの城に!……おい、すぐにサヤ様の部屋をご用意するのだ!」


「――は、はい!?」




ステイビルが壁に立っていたメイドの一人に告げると、慌てて頭を下げて部屋を飛び出していく。




「え?……あ、悪い……ね?」


「いえ、何をおっしゃいますか。サヤ様はこの国……いえ、私たちにとっても大切なお方!精一杯のお手伝いをさせていただきます!!」


「あ……あ、そう?」




サヤは、いつもと違う落ち着きのないステイビルを見て唖然とする。
嫌がる素振りを見せると思っていたステイビルが、なぜこんなにも自分に協力的……いやそれ以上の対応をしてくれるのかサヤにはさっぱりわからなかった。

そんなことを考えているうちに、先ほど出ていったメイド――一旦この場を離れたため既に落ち着きを取り戻していた――が、本来の優雅な動き室内へと戻ってきた。そして、命令されたステイビルへと近づき、部屋の用意が整ったことを伝えた。その報告を受け取ったステイビルは、サヤに快適に過ごしてもらうためにある一つの考えを思いつく。



「誰かサヤ様に、専属のメイドを付けてくれ……そうだな、常に一人は傍にいられるように二人交代でお願いしたいが、だれかちょうど良い者はおらぬか?」




その言葉を受けたメイドは、少し目を閉じてステイビルの命令に沿うものを探している。
だが、その者が浮かぶ様子が無かったため、壁で待機をしていたもう一人のメイドがステイビルに詫びながら前に出てきた。



「それについては、わたくしからご提案がございます……」



そう告げて、ステイビルの問題を解決させた。
その女性は耳打ちで、同僚のメイドにその説明をした。その名を聞いたメイドも、その者たちであれば問題ないとステイビルに伝える。

ステイビルは、メイドたちの詳しい事情はその職に就いている者たちにしかわからないため、その提案を許可するだけしかできない。
だが、この場にいるメイドは、同じ職の中でも上位に位置する者たちで、国王の傍にいても問題ないメイドたちだ。
その者たちが”問題ない”と言えば、ステイビルからはこれ以上何も言うことはなかった。



「わかった……ではサヤ様をそちらに案内して差し上げて欲しい」



二人のメイドはステイビルの言葉に頭を下げ、部屋を用意したメイドがサヤの案内役を務める。

サヤも、メイドに促されその後を付いていく。
そして、二階ほど上がった場所にある部屋に案内をされた。この階はステイビルの私室がある階と同じ場所にあった。



「それでは失礼します……」



案内を終えたメイドは、サヤがソファーに腰かけたことを確認し退室した。
そして、すぐにサヤの世話を任されるメイドたちが入ってきた。



――コンコン


「失礼します」



扉が開くと、二人の女性が部屋の中に入ってきた。




「――あ」



その姿を見たサヤの口から、そんな言葉漏れていた。



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