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第六章 【二つの世界】
6-156 見覚えのある者2
しおりを挟む「この者は、”メイヤ”と言ってフリーマス家のメイドです」
ステイビルから紹介された女性は、ハルナが知るメイヤとの姿に違和感を覚えていた。
その姿はあまりにも弱々しく、普通にいるメイドの一人として変わりがない。
それは決して、自らの町からここまで歩いてきた疲労を差し引いても、ハルナの記憶にある負けなどを知らないメイドの姿ではなかった。
「う……うぅん」
「大丈夫か?この声が聞こえるか?」
ステイビルは、メイヤの容態を気にしつつ覚醒したか確認する。
「……こ、ここは?」
「ここは、グラキース山の麓のステイビル様が治めている町でございます」
視点の定まらないメイヤの問いかけに、ステイビルを呼びにきたドワーフの給仕が代わりに答えた。
「――うぅっ!」
メイヤはステイビルという名を聞き、横にしていた身体を起こそうとした……が、思うように身体が動かずに再びフカフカの枕の中に後頭部を埋めてしまった。
サヤの魔法のおかげかそれともエルフの秘薬の香か。
頭が感じている身体の状態と実際の身体の疲労の差があり、メイヤの身体は自分のモノではない気がしていた。だが、それはここに来るまでに身体を酷使したことの反動であるということは自分の中で理解していた。
「そのままでいい……無理をするな。それよりそのような状態になるまで、ここに来なければならなかった理由を聞かせてもらえないか?」
メイヤはステイビルの言葉に反応するために声を出そうとしたが、身体ががうまく働かずに咳き込んでしまった。
メイヤは身体を起こした方が楽だと判断し、身体を起こそうとするも力が足りずに崩れそうになる。
それをドワーフが手を貸して、メイヤの上半身を起こすことを手伝った。そうしてメイヤは、無事に話をできる状態になった。
「はい。まずはステイビル様の……」
ステイビルはメイヤの言葉の途中で、掌をさしだし止める。
「無意味な挨拶は貴重な時間を消費する、何があってここに来たのかを教えてくれ」
「はい……それでは」
メイヤの話によると、数日前にエレーナとアルベルトの元に王国から通達が来たとのことだった。
その内容は、ステイビルの捕獲および討伐という内容であった。
そのことを聞き、ステイビルは思うところがあるが、メイヤの言葉をそのまま待つ。
その通達によってエレーナは、その王国からの要請を拒否しようとした。
だが、それをアルベルトが制止したという。
メイヤもそのことには賛成し、エレーナをなだめるように説得した。
メイヤはエレーナの側近のメイドでありながら、頭脳においても重要な役目を果たしていた。
エレーナの母であるアーテリアの頃から、メイヤとその双子のマイヤの意見はフリーマス家をここまでの地位に引き上げてきた。
そのことはアーテリアもエレーナも認める事実であり、フリーマス家にとってなくてはならない存在となっていた。
メイヤはエレーナの異動と共に、フレイガルへと移住した。
姉のマイヤは、アーテリアの傍にいるためにラヴィーネの町に残っていた。
今回、メイヤはステイビルの元にこの事実を伝えに言ってほしいと頼まれてここまで来たのだと言う。
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