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第六章 【二つの世界】
6-19 大きな袋、小さな袋
しおりを挟む「よっし。これで決まりだね」
「それじゃあステイビルさん、これからよろしくお願いしますね!」
「あぁ、こちらこそよろしくお願いします……それより、斬新なアイデアですね。それはそちらの国では普通のことなのですか?」
「ん?まぁ、そうだね。そういう”サービス”もあるってこった」
「さ……サービスですか?その言葉はよくわかりませんが、画期的な契約形態ですね」
聞きなれない言葉に戸惑うステイビルだが、サヤから提案された内容はリーズナブルで画期的な物だった。
ステイビルと契約内容を話し合う際に、この世界の価値が判断できないためソイに同席してもらった。
それはハルナからの依頼で、ステイビルがハルナたちに支払う金額は通常の価値以上の額を提示する可能性があったからだ。
そのため、その金額の妥当性をソイに判断してもらうことにした。
もちろんステイビルは元ではあるが王家の者であるため、本来であれば通常よりも価値は高くそれが価格に反映されるはずだった。
だが、今回は前もってステイビルは王家を外された人物であることを条件に一般の価格を適用してほしいと、ソイにお願いをした。
その横でサヤは少し悔しそうな顔をしていたが、ハルナはそれを見て見ぬ振りをした。
この世界では、一日当たりに支払われる額を依頼業務内容によって決められていた。
依頼内容によって人選が行われ、剣士、精霊使い、馬を扱う御者、調理人、薬草師などが選ばれていた。
もし、剣士以外の者を雇って想定外のことが起きたとしても、それはそのメンバーの中で対応しなければならず、最悪戦闘が苦手な調理人が戦闘に加わるという事態も起きた。
それは依頼した側の問題でもあるが、その条件で承諾した料理人にも責任がある。
そのため、様々な事態を想定した一日当たりの金額で契約することが一般的であり、旅に同行するとなると金額もその分高めに設定されていることが多かった。
今回ステイビルは、グラキース山に行きたいと言った。
そこで亜人と人間の間で争いが起こっており、王国としても兵士や精霊使いが幾人もやられているため見過ごせない状況となっているとステイビルは説明する。
そこにいって、その争いの種を作った自分が責任を取らなければならないため、どうしてもそこへ行きたいのだと言った。
ハルナはそこでも、自分が知っている世界とは違う状況に不安を感じたが、ここではまだ黙っていた。
そうなれば、人の命に大いに関わる旅であることは間違いなく、ステイビルは再び大きい方の袋を提示した。
だが、それを止めたのはソイだった。
一般人として、”その場所まで同行するというだけ”という者であれば、通常中から上級の剣士と精霊使いを一人ずつ雇っても、その金額は法外だという。
ハルナはどのくらいが妥当か聞いたところ、剣士と精霊使いを二人雇っても王宮金貨一枚は高すぎると言った。
モイスティアからグラキース山までは、途中の危険度を考慮しても二人の日当だけで王宮金貨で四、五枚程度が妥当だという。
大きな袋の中には王宮金貨がその百倍は入っているため、その額は公正に判断しても高過ぎであるとソイは説明する。
そこでサヤは、ある提案をする。
一日当たりの基本賃金とそこで何か起きた場合の対処をした際に、その案件の難易度によって金額を追加していくという案だった。
その話しは、経営者の視点から判断してもソイが納得できる内容だった。
そこから難易度に付いては五段階に分け、その金額をこの世界の妥当な判断で決めていった。
こうして、ステイビルがハルナたちに支払う報酬の金額が決定され、正式にステイビルに同行することが決まった。
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