問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第四章  【ソイランド】

4-79 指令本部での攻防8

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「……さあ、立て。お前の生き様をその剣で俺に示してみろ!!」




クリミオは寒さか恐怖か判らないが、自分の歯がカチカチと音を立てているのがわかる。
そして、この場からはどうあがいても逃げ出せないことも……

クリミオは手にした剣をグラムに向けたことを悔やんだ、相手に向けなければ敵対する気持ちがないことに”誘導”できたかもしれない。
この状況では、既に起死回生の一手を打つことが難しいことはわかっている。
今までのように、言葉だけで状況を好転させることはできない。

クリミオは剣を床に立て、杖代わりにゆっくりと立ち上がって見せた。
その姿を見て、グラムの後ろで聞こえていたアルベルトとエレーナに抵抗していた音が消えた。

この場にいる仲間の視線が、一気にグラムと自分の方へ集まっていくのをクリミアは感じている。
そしてクリミオは悟った、”これは自分の力で切り抜けるしかない”と。


剣を両手で握り、剣先をグラムの方へと向ける。
剣の重さに耐えられないためか、それともこれから始まる痛みのためか……向けた剣先は小刻みに震えている。
グラムはその様子をじっと見るが、その反応が情けないとも格好悪いとも思っていない。
ただ、この悪党が何を考え何を持って自分の行動をとっているのかを剣を通して知りたかった。

だが、いつまで待ってもクリミオは差し出した剣を振るうことはない。
グラムは何度か、隙を見せ打ち込んでくることを期待したがそれに乗ってくることはなかった。


(ヤレヤレ……このままでは何も動かないか)


グラムは、剣の柄を半回転させ握り直す。
クリミオの持つ剣の刃が欠けているところに引っ掛からないように、グラムの中で優しめに構えられた剣にたいして横に振り払う。

キーン……!


金属音が静かな部屋の中に響き渡り、グラムとクリミオ以外の者たちがその様子を見守る。



「ほぅ……中々やるな。今の衝撃で剣を手放さなかったことは褒めてやるぞ……だが、お前という”男”はそんなものなのか!?」


「――ぐはぁ!」



グラムは、クリミオとの距離を一瞬にして詰めて腹部の中に拳をねじり込んだ。
クリミオは拳によって息を強制的に吐き出され、そのまま息が出来ず自分の出した嘔吐物との中を転がり悶え苦しむ。


「ちょっと……グラムさん!?」



エレーナがこの状況に対し、不満を覚え込グラムに声を掛ける。
エレーナから見れば、一方的な攻撃にしか見えない。それは、対決というよりも虐めに近い実力差をエレーナは感じていた。
その行為を止めようと、エレーナはグラムに声絵を掛けて近付こうとした。
だが、その行動は近くにいたアルベルトによって止められた。


「な、何よ!?あれじゃ弱い者いじ……ガモっ!」


アルベルトはエレーナの言葉の先を、手によって塞いぎエレーナに告げる。



「まだ、終わっていない。黙ってみているんだ……」


エレーナはアルベルトの言う言葉の意味が分からない。
確かに”終わって”はいないが、この実力差は初めから勝負にも決闘にもなっていない。
始めは相手の実力もわからなかったため、グラムの心配をしていた。いざとなれば、手を出して助けようとも考えていた。
しかし、それもクリミオが剣を手にしてからは、全く心配する必要のない心配だとエレーナは判断した。
現にエレーナとアルベルトが抑え込んでいるクリミオの仲間たちの表情は、エレーナが心配しているお同類の感情だが反対側に位置する者が抱く、これから起こりえる自分たちの身を心配しているような表情だ。



エレーナはアルベルトの言葉に応じ、これ以上行動に起こすことはできなかった。
そのまままた、いち観客となり状況を見守ることにした。




「……さあ、立て。まだやれるのだろう?身体は怯えているようだが、心が負けたくないという目をしているぞ」


クリミオは呼吸を整えながら、口元の汚物を袖で拭う。
先ほどまで感じていた恐怖は、自然と消えてこれからどうするべきかを冷静に判断する余裕が生まれた。


その表情の変化に、グラムは懐かしさを感じ思わず口元が緩みそうになる。
これは、戦いの中で生じる成長……警備兵のなかにいた時に何度も体験し、何度も見てきた変化。



グラムは下げていた剣の先を再び起こし、クリミオに対し意識を向けた。










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