問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

文字の大きさ
374 / 1,278
第三章  【王国史】

3-206 東の王国10

しおりを挟む








あの後変化が見られたのは、セイミの土属性の精霊が人型になり次第に言葉を話せるようになっていった。
それにつられてか、他の精霊たちも人型へと進化し言葉が交わせるようになっていた。

二人はそれぞれの精霊を束ねるもの達の名前をとり、”ウリ”、”ミカ”、”ラプ”、”ガプ”と名付けた。




「ねぇ、エイミ。今日は何をするの?」


「うーん……そうね。セイラ、何かいい案ある?」


「もう、この辺りの森は全て行ったしねぇ……」



「それじゃあ、また最初からいこう!!」



「「ま……またぁ!?」」








精霊たちは、この辺りの森を探索するのことを気に入っており、周囲の森はもう二度も回っており二人は飽きてきていた。

更に理由を告げるなら、二人はもっと前からその森で遊んでいたため何の面白みを感じていなかった。


しかし、結局はまた同じコースを回ることになる。


精霊たちは、村や屋敷の中では自由に動くことができなかった。
それはまだ、精霊たちを両親を含めて他の者に紹介してはいなかったのだった。




だから、精霊たちを満足させるためには離れた場所に行くしかなかった。

それも、毎日出かけることはできない。
二人にも村での役割があり、村長の娘とはいえ遊んでいることはできなかった。




精霊のために付き合いたい気持ちは山々だが、全ての精霊たちの要求に応えることはできない。




精霊たちは自分たちだけで出かけることもできたが、それは二人に言われて禁止されており、みんなそのことを守っていた。



今日は外出できる時間ができたため、村の外に出ることにした。
場所は精霊たちの希望通り、もう一度近くの森を巡ることになった。

二人は最近よく村の外に出ていくことを、両親に指摘されていた。
初めの頃は両親の好きなものを持ち帰ることで誤魔化していたが、その回数は”別な理由がるのではないか”と怪しまれるくらいに達している。


不信感が最高潮に達した食事を終えたある日の夜、二人は父の書斎に呼ばれた。






――コン、コン


「……入りなさい」


「何のご用でしょうか、お父様」







エイミが前を歩いていたため、ドアを開ける。
そこには父と母がいつもとは違う、真剣な表情で並んで座っていた。




「来たか、お前たち。そこに座りなさい……」





エイミとセイラは言われた通りに、父の書斎にあるローテーブルの前の背もたれの付いた木製の長椅子に腰掛けた。


母は二人と自分たちのお茶を用意し、それぞれの前に並べて自分も再び父の隣に腰を下ろした。

目の前のカップから湯気が沸き上がり、鼻の中で香りが留まる。
このお茶の芳醇な香りは本来、気持ちを落ち着かせる作用があるのだが、二人の胸の鼓動はこれからのことを考えると安らぎはしなかった。





(どうしよう……バレたのかしら)



(別に精霊と契約したからってどうってことないと思うけど……)





二人は頭の中で必死に言い訳や、自分を正当化するための思考を巡らせ準備をする。




父親の方は何度か息を深く吸い込み発言をしようとするが、いままでそれは全て空咳に変わっている。




「……ぶふぉっ!?」




五度目の深呼吸で、父は隣の母から肘打で無防備なわき腹に合図をされる。
その驚きと痛みによって、吸い込んだ五度目の息は言葉にもならない変な音に変わってしまった。




六度目の呼吸で、父はようやく言葉を発した。




「お……お前たち。親にその……私たちに話さなければいけないことはないのか?」








その言葉を聞き、二人の心臓が跳ね上がった気がする。

決して悟られない様にと、身体は力を入れて表情など反応を見せない様にしていたが少しだけ動いてしまったかもと反省をする。




「……」





質問をされてから数秒経過したが、お互い何も返答していなかったため怪しまれると判断したエイミが代表をして答える。




「……いいえ、そのようなことは何もございませんよ?お父様」


(返答が少し遅かったかしら……)




返事をしたエイミは、平然を装いつつも身体の震えを必死に堪える。





「そうか……ならば、何故何度も森の奥まで行く必要があるのだ?」


「最初は私たちのために、野草や木の実を取って来てくれているのかとも思ったけど、だいたいあなた達がそうするときは私たちに何かお願いすることがあった時にそういうことをしてたのよ。でも、今回は何もねだってこないし何のお願いもされていない。事の大きさによって私たちの機嫌の具合を伺っているときもあったけど、何も言ってこないじゃない!?」




母の言葉にドキッとする二人。


そう言えば、今までそうやって機嫌を取ったりおねだりして来ていたのは確かで両親はそのことを知っていた。





「あのぉ……」



セイラがこれ以上は隠しごとはできないと思い口を開きかけたその時。




「お前たちがあってるのは、どこの村の誰なのだ?」





「「――はぁ!?」」




二人はその言葉に、口に出して驚きを見せてしまった。





「だって、隠れてお会いするなんて……この村の者ではないのでしょ?それはお父様も私も最初はどうかと思いましたが……」


「うむ、我が子が選んだ者なのだ。間違いはないと信じたいが……どうだ、一度この村に連れて来てみては?」




エイミとセイラは両親の言葉に、なんと返せばよいか分からず口が開いてしまっていた。











しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

処理中です...