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第三章 【王国史】
3-182 エルフの村の防衛3
しおりを挟む「サナ!!!」
その直後、爆風で土埃が舞いサナの上に覆いかぶさったブンデルを通り越して顔に降りかかる。
「ぶ……ブンデル……さん?」
視界が少しずつ回復し、そこには激痛で歪むブンデルの顔がある。
覆いかぶさるブンデルを優しくずらし、状態を見る。
左膝が絶対に曲がらない横方向に曲がっているのが見える。
サナは急いでヒールを唱えて、”ちぎれる”前に何とか元通りにしなければと必死に魔力を高める。
その魔力を感知し、レッサーデーモンは大きな雄叫びをあげる。
先程よりは大きくないが、再度手の中にあの黒い球を作り出している。
危険に感じたナンブルは、再び剣で悪魔の身体を切りつけた。
数回やり取りを行った時、剣は途中から折れてしまう。
そこで体制を崩したナンブルは、レッサーデーモンに弾き飛ばされた。
「――グっ!!」
辛うじて腕に装着していた盾で防御し直接的な接触は免れたが、その威力によって弾き飛ばされてしまった。
その間も、手の中に魔力を込め続けている。
サナはヒールに集中しているため、そのことに気付かない。
ナンブルは、自分に攻撃系の魔法を授からなかったことを恨む。
ナイールが書き出してくれたあの魔法も、仕組みは理解をしている。
しかし、それだけではダメだった。
”神様からの恵み”ともいえる何かを与えられなければ、魔法は使うことができない。
だからこそナンブルは、魔法を調べ身体能力を鍛えた。
だが、この場面ではその成果を出すことはできなかった。
弾かれた衝撃を最大限抑制し、次の動作に瞬時に移れるように体制を立て直す。
いま自分ができることは、この身体で衛ることだけ。
踏ん張る足をバネにして、そのまま蹴り出しブンデルとの距離を縮めようとする。
――悪魔は既に準備が完了し、攻撃の動作に入っていた。
黒い小さな球体は、ゆっくりとブンデルたちに向かっていく。
ナンブルもその方向に駆け寄るが、どう考えても間に合わない。
ナンブルは手を伸ばし、声を掛ける。
「――逃げろぉおぉおおっ!!!!」
しかし、ブンデルとレッサーデーモンの間に入り込み、相手に背を向けて手を広げる人影が入り込む。
――ッン!!!!
黒い球体が着弾し、空気が震え大きな爆発音を響かせた。
舞い上がる土埃が落ち着きを見せ、サナがブンデルとサナを覆いかぶさって守っていた者の姿を確認する。
「さ……サイロン村長!?」
サナは村長の身体を起こそうと手伝うが、それは叶わなかった。
腰から下が、既に分離した状態で覆いかぶさっていた。
「う……うーん」
その衝撃で、ブンデルが意識のない状態から戻ってくる。
真っ先に視界に入ってきたのは、サナの姿だった。
「どうした……サナ?何があっ……」
そう話しかける途中で、記憶を失う直前のことを思い出す。
身体に緊張感が蘇り、今の状況を確認する。
まずはレッサーデーモンの姿を確認した、なにか不機嫌そうに天を仰いで大声で嘶いている。
視線を横にずらせば、ナンブルが信じられないといった顔で動きを止めていた。
そのナンブルの視線の先に、悲しそうな顔をするサナ……ともう一人の姿がみえた。
「……?」
ブンデルは悪魔を警戒しつつ、サナの傍に近寄りその正体を確認した。
「村長!?」
そこに見えたのは、大きなダメージを受けた村長の姿だった。
この状態では、サナのヒールも意味はないと直感的に理解した。
「どうして……」
「私が……注意してなかったから……ブンデルさんに……集中していて……」
サナは泣きながら、途切れ途切れに説明する。
ブンデルは普通に立っているが、自分の膝に血の跡がついていることに気付いた。
服の裂け方からして、相当酷い状態だったと判断した。
サイロンは、口をパクパクと動かし何かを言おうとする。
「ぶじ……か?……ブン……デル」
「村長!?」
「……わ……しは……おま……えに……ひど……い……ことを……し……た……わ……るい……祖……父だ」
「……祖父?」
サイロンの顔は真っしろになり、呼吸が荒く話すのも相当苦しいのだろう。
しかし言葉の中に気になる言葉があり、ブンデルはその単語を復唱した。
「あぁ……お前の……本当の名は……ヒィッ!!!」
「村長さん!?」
サナが、苦しそうにするサイロンに声を掛けた。
だが、サイロンは最後の力を振り絞ってブンデルに語り掛ける。
「お前の……本当の……名……”ナイ……ロン”……だ……許し……て……く」
「村長しっかりしてくれ!!」
「さ……い……最後……に……わし……を……(ゼーゼー)……”おじい……ちゃん”と……呼ん……で……くれ……ん……か?」
ブンデルはサイロンの手を両手で握り、光が消えそうなその目を見つめる。
「……おじいちゃん」
その言葉を聞き、サイロンの両眼から涙が左右に零れ落ちた。
「あり……が……」
握る手に力が伝わらなくなり、支える両手に重みを感じる。
目は明いたまま、生きる者の光が失われていた。
最後まで、孫の姿を目に焼き付けておきたかったのだろう。
「――グゥオオオオオオオオォォオォォォ!!!」
ブンデルの後ろで、喜びのような咆哮が鳴り響く。
ゆっくりと立ち上がり、ブンデルは頭の中に術式を描いて行く。
その魔力の高まりに、レッサーデーモンは本能的に危険を察知して手に魔力を集めていった。
「お前は……この村に酷いことを……」
そして、魔力が流し込まれ術式がブンデルの前に建言する。
「エルフの怒り……思い知れ!!」
その言葉に反応して、レッサーデーモンは再び黒い球体を投げつけた。
「いけ……”マジックアロー”!!!」
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※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
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※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
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