問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第三章  【王国史】

3-72 暗闇の中で

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暗闇の中、うっすらと意識が戻っていく。



「う、うーん……痛っ!」




ハルナは身体を動かそうとしたが、様々な場所を打ち付けたことと、滑り落ちた際に全身に力を込めていたため筋肉痛のような痛みが生じていた。



「ハル姉ちゃん、大丈夫?」



全く周りが見えなかったが、フウカはどこにいるか不思議とわかる。




「うん、大丈夫。フーちゃんは大丈夫……そうだね」





その問いかけに、フウカは問題ないことをハルナに告げた。
ハルナは痛みが落ち着いてきたため、横になっていた身体の上半身を起こす。




「冷たい……濡れてる?」



地面に付いたハルナの手に、濡れた感触とその冷たさが伝わってくる。




やはりハルナが落ちた穴は、エレーナの力によって吹き出した水柱によってできた穴だと確信する。




「フーちゃん。私暗くてよく見えないんだけど、ここ出口があるの?」



「うーん、何だか周りは壁みたい……」



「そうかぁ。こういう時ろうそくがあれば、風の流れがわかってどこかに穴が開いているとか本で見たことが……あっ!」





ハルナはヴィーネが水の元素を読み取り、水脈のわずかな水の流れを読み取っていたことを思い出した。






「ねぇ、フーちゃん。どこか空気の流れで外に通じてそうなところがないかなぁ?」




その言葉を受けて、フウカは風のこの空間の風の流れを読み始めた。




「――!!」



ハルナは驚いた。

フウカが空気の流れを探し始めたと同時に、フウカが感じている情報がハルナの頭の中にも映し出された。



「な、なにこれ!?」



「これがね元素の流れだよ!どうやら、あたしを通してハル姉ちゃんにも見えているみたいだね!」




「ふ……ふーん。あ、ねぇ。ここ、これって何?」





ゆっくりと動く元素の中に、一部分で流れが直線的な元素の流れが見えた。



「そこから風が流れ込んでるみたい。……ちょっと、壁が薄いみたい」



「そこ、崩せる?」



「やってみる!」





フウカはハルナの傍を離れ、目的の場所まで移動した。
フウカが目の前まで行ったのは、フウカら伝わってくる感覚と頭の中に見えている元素の流れでその場所を特定した。



フウカは空気の高圧縮された空気の塊を作り頭上に掲げ、振り下ろして壁にぶつける。




――ドゴン!!……ガララララ






壁が崩れ落ち、底から光が漏れていた。




「あ、出られる!」




久々の光を目の中に入れて、眩しそうに開いた穴を見つめるハルナ。






「あー!!!」






フウカが声を挙げた、何かを見つけたようだ。





「どうしたの、フーちゃん!?」



ハルナはまだ痛む身体に鞭を打って、よろけながらフウカの場所まで歩いて行った。


穴は小さくハルナの身体を通り抜けることはできなかったため、中の様子を覗いてみた。





「――ソフィーネさん!!」




ソフィーネはハルナの声に気付き、閉じた目を開いた。
閉じ込められている部屋の壁の一部に穴が開いていることのを見つけ、そこに見慣れた精霊がいることにも気付いた。




「フウカ様。では、先ほどの声は……」






「ソフィーネさん、大丈夫ですか?今、何とかそっちに行きます!」



ハルナは穴の開いた壁に手を入れ、その手で少しずつ崩していこうとしたが硬くてビクともしなかった。
だが、自分が精霊使いであることを思い出し、その力を使って穴を広げることにした。



周りに無数の空気弾が浮かび上がり、ハルナは穴の周りの壁をめがけて飛していく。

だが、ある程度広がると壁は頑丈になり、穴の大きさを広げるにはかなりの時間がかかる作業となった。





「……フウカ様、お願いがございます。この鎖を切っては頂けませんでしょうか?」





ソフィーネは何者かに囚われており、その四肢は鎖で壁につながれていた。
身の回りの動作をするには不自由のない長さが保たれていたが、逃げ出すことや反抗するようなことは出来そうにない長さにされていた。




フウカは大き目な風の円盤を作り、ソフィーネをつないでいる鎖を切り裂く。

鎖は火花を散らし、徐々に削れていく。


ただ、全てを切り落とすにはかなりの時間がかかりそうだった。



「あ、フウカ様。ちょっと止めて頂けます?」





ソフィーネは、フウカに鎖の切断を一旦中止してもらった。





「はっ!!」




――ギャリン!!!




音ともに、ソフィーネの右腕が自由になる。

頭に付けていたカチューシャを外し、仕込んでいたキーピックを取り出す。


それ使い、左手首に掛けられた鎖を外す。


自由になった左手で、右手首、両足首と外して、ソフィーネの身体は自由になる。
ずっと固定されていた関節に違和感を感じるが、問題ないことを確かめ立ち上がる。



そして、徐々に広がりつつある穴を開けるハルナの顔を確認し無事を喜んだ。






「ハルナ様、少し離れて頂けます?」


「え?あ、はい」



ハルナはソフィーネの言葉の意味を理解し、穴の直進軸から避けた。




ソフィーネは後ろ向きで身をかがめ、力を蓄える。



「はぁっ!!」



身体を起こすバネと回転する速度を、全て左踵裏へ力に変えて後ろ回し蹴りを壁に打ち付ける。



――ボゴンッ!




壁は大きな音と共に崩れ落ち、ハルナが十分に通れるほどの穴が開いた。



そしてハルナが入って来て、ソフィーネの姿を見て心配する。




「どうしたんですか?その傷!?」





身体のあちこちに、傷を負っているのが見えた。





「ここはドワーフの住処です。これは、その者たちにやられたのです」





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