問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第二章  【西の王国】

2-113 犯人

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――ニーナが危ない

その言葉を聞き、カステオの顔つきが変わる。
いろいろとステイビルに聞きたいこともあったが、まずは急ぐステイビルの邪魔をしないようにした。
だが、一言だけ部屋を出て行くステイビルの背中に向かって言葉を掛けた。


「頼む、ニーナを助けてくれ!」





ステイビルは初めて来た場所だが、迷うことなく進んで行く。その速度は落ちることはなく、目的地であるニーナの部屋の扉を勢いよく開けた。




――バン!!




その音に中で待っていた三人は、飛び跳ねて驚く。
ステイビルは何も言わせないように、間を空けずに命令に近い口調で指示をする。




「今すぐ戻るぞ!詳しいことは馬車の中で話す。準備はいいか?」


「「はい!!!」」




三人は有無を言わせないステイビルの勢いにつられ、思わず普段だと恥ずかしく思うくらいの大声で返事をしてしまった。
だが、その返事を恥ずかしく思うものはいない。ステイビルがそう、指示をしたのだから。

ステイビルたちは、お城の裏側に停めていた馬車まで走っていった。その間、様々な人にすれ違ったがその勢いに負けたのか道を譲ってくれた。




しかし――




「……ない。ここに停めていた馬車がありません!」



エルメトは、来るときに乗ってきた馬車がないことを告げる。

アーリスは、馬車の駐車場を管理している警備兵に尋ねた。




「すみません!ここに停めていた馬車を知りませんか!?」


「あぁ、それならついさっき乗っていったね。ボーキンさんの指示で移動させておくとか言ってたよ」




どんな人物が聞いてみたが、防具用のヘルムを被っていたため顔はよくわからなかったようだ。




「……遅かったか」




ステイビルは、すでに手が回っており間に合わなかったことを悔やむ。



管理する兵が言うには、もう少しすれば定期連絡の馬車が戻ってくるとのこと。
だが、すぐには出発できず馬の交代などを行うため十分は準備にかかるようだった。




ステイビルは辺りを見回して、他に使える馬車がないか探した。

奥には馬車につながれていない馬が二頭、水桶から水を飲んで休んでいるのが見えた。
ステイビルは、シュクルスの手を引き馬の方へ走っていく。

馬には蔵が付いておらず、手綱も付いていない。



ステイビルはシュクルスを馬の背に乗せ、自分もそのまま前に飛び乗った。
馬は驚き二人を振り落とそうとするが、ステイビルはたてがみを掴み馬を落ち着かせた。

シュクルスは落とされない様にステイビルの腹部を後ろから手を回し、落とされない様に踏ん張っていた。



ステイビルはそのまま交渉を続けているアーリスとエルメトのところまで行った。




「おい、アンタ!何してるんだ!?」


「悪いが、時間がないのでこの馬を借りる。……エルメト、先に行っているぞ。後から追いかけて来い」





その言葉にエルメトは必ず向かうと返事をし、ステイビルはそのまま馬をボーキンの家に向かい走らせていった。





「い……一体、何が起こっているのですか!?」




シュクルスは酷い向かい風と座り心地の悪い馬の背に振り落とされない様に必死にしがみついたまま、ステイビルに問いかけた。




「ニーナが、また危ない状況にある。しかも、前日の黒い物でニーナを仕留めることができなかったため、直接的に手を掛ける可能性が出てきた」




シュクルスはステイビルの話を聞き、これから起こりそうなことについては理解した。
しかし”誰が”、”何のために”という重要な部分がまだステイビルの頭の中にあるため、そこをどうしても聞き出したかった。
この、酷い揺れと風がなければ……



結局シュクルスは耐えることに必死で、重要な部分を聞くことができず目的地に到着した。




「もう着いていたか……」




ステイビルは、ボーキンの家から少し離れた場所に馬を停めた。


これから入る前に、シュクルスに注意するように促した。




「シュクルスはまず、ハルナたちのところへ。もし、戦闘になったとしてもお前は参加しなくていい。自分の身を守ることに専念しろ……いいな?」


「?……はい、わかりました」





納得がいかないまま、シュクルスはステイビルの命令に返事をする。

ステイビルは正面玄関からシュクルスは裏口から突入させることとし、ステイビルが玄関を入って注意を引いたところで中に入るように指示する。
入り口の扉を調べると、どうやらカギはかかっていなかった。
剣を抜いてドアからやや離れ、ドアを蹴るために十分な距離を取る。




「行くぞ……」




――バァーン!




ステイビルが玄関の扉をわざと大きな音を立てて蹴り開けた。
その音を確認すると同時に、シュクルスは裏口にから突入していった。


ステイビルは反撃されないかを確認し、玄関の中へ注意しながら入っていく。
剣を構えながらゆっくりと進んでいくが、特に変わった様子は見受けられなかった。



足をさらに一歩踏み出そうとしたその時、二階から大きな声が聞こえてきた。
声のする方へと玄関脇の階段を上がると、その声は近づくたびに大きくなっていく。
声の主はエレーナで、ニーナが寝ていた部屋から聞こえる。


どうやら、誰かを説得しているようだった。
部屋の前にたどり着くと同時に、シュクルスも同じ場所にたどり着いていた。


シュクルスに後ろに付くように促し、ステイビルはドアを開けた。


そこには、エレーナとハルナに対峙するようにニーナを人質にするボーキンの姿があった。





「やはり、あなたか?ボーキン殿……」




ステイビルは残念そうに、その名を告げた。





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