問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第二章  【西の王国】

2-49 協力依頼

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レイビルは、今起きた出来事を理解するのに必死だった。

なぜ今まで、こんな技能をもった精霊使いが王宮精霊使いを目指していなかったのか。
この実力ならば王宮の中でも、すぐに上にいけるくらいの実力だ。


(――実績がないのか?)



レイビルはそう思い、ある案件が頭に浮かぶ。
警備兵から依頼されていた、精霊使いの協力案件だった。



(この者たちなら、充分に役目を果たすことが出来る。そして、王宮精霊使いの地位も……)



そう考え、レイビルはハルナ達に告げる。




「お前たちの実力はわかった。早速だが、その力を試してみないか?とっておきの案件があるのだが……」



「……お伺いしましょうか?」



ルーシーが、その問いかけに返答する。


レイビルの話しは、こうだった。





最近、西の王国との往来に使用していた道が魔物によって塞がれてしまっていた。


そのルートは、高いディヴァイド山脈の中で比較的に通りやすいとされているルートだった。
次の山越えに最適な場所になると、そこから更に一日以上先に進んだ場所になる。


たった一日の差だが商売では大きな影響が出てしまうため、遠回りのルートは敬遠されている。
商人たちがバラバラになって移動していたのではコストがかさむことと、必要な警備隊が足りなくなってしまうため、現在ではある数の商人たちが一緒に行動している。
しかし、警備隊にも食料が必要になるためどうしてもコストがかかり過ぎてしまう。
この状況に小さなの商人は悲鳴をあげている。


魔物も強さや出現場所など一定ではないため、安定した兵が送り出せない。
中にはやや知能を持つ魔物もいるため、対策が容易ではなかった。


そこで、戦力の強化のため王宮精霊使いにも魔物討伐への協力要請が来ていたのだった。





だが、そこまで自信を持って送り出せる人物がいなかった。
レイビルは上の貴族からいろいろ言われていたのだが、人員が足りないとのことで何とか断っていた。





――実力のない者を危険な目にあわすことはできない




普段は口うるさいレイビルだが、相手をよく気遣っていた。
だからこそ、厳しい訓練にも全員レイビルを慕って付いて行くのだった。



この者たちなら、問題ない。


そう思い、ハルナ達に告げた。




エレーナは考える。
この依頼を受けること自体は問題がない。
一緒に行くメンバーがと事前の情報収集が重要と判断した。




ラヴィーネの一件で、王国の警備隊のレベルについては疑問がある。
かといって、技能が高い人物であっても切迫した状態ではうまく連携できるかが不安だった。



そのことを頭の中でまとめ、口にしようとしたその時。




「わかりました。まずは、経験者の方に情報をお聞きしてもよろしいでしょうか。あと、同行もお願いします。あと、参加メンバーはこちらの信頼置ける人物で構成させて頂いてもよろしいでしょうか?」



そう告げたのは、ルーシーだった。
エレーナも同じことを告げようとしていた。




レイビルは、腕を組んで考えている。
ルーシーの発言について、どのような意図があるのかを。

その結論としては、問題がなかった。




だが、実際に討伐できるかどうかは行ってみないと判断できない。
出来ないにしても、この者たちなら何らかの情報を持ち帰り、無事に生還できるであろう。




「――わかった。では、こちらからは、遭遇した経験のある警備兵をまず召集しておこう。その間お前たちは別の準備をしているがいい。何かあれば、リリィに言うといい」


そして、レイビルはまた考え込む。
何か違和感があるが、気付かない。


「そういえば……お前たちの名を聞いてなかったな」



ルーシーたちは、レイビルに名前を告げていく。



「……む、どこかで聞いたことのある名前な気がするのだが。思い出せん、いろいろと人と合うと名前を思い出せん」




「そこまでお気になさらずとも結構です。では、私たちは準備などありますのでこれで……」



「分かった。何か困ったことがあれば、何でも言うといい」



ルーシーはお辞儀をして感謝の意を示し、そのまま退室する。
ハルナ達も、ルーシーの後を追って退室していった。




「大変なことになりましたねぇ」




クリエは、おどおどする。




「今後この中で二人ずつ分かれるのだから、ここでそれぞれの実力を見ておくのもいいのでは?」



ルーシーが平気な顔をして告げる。


「私もルーシーと同じ意見だわ」


エレーナが賛同する。



「とにかく、我々付き添いの者も協力し合わないと危険かもしれませんね。特に精霊使い以外の方のお力もお借りしたいところです」




カルディはそう告げて、参加の意を示した。



「おーい、カルディじゃないか」



遠くからカルディを呼ぶ声がした。
アリルビートだった。


その後ろには、ソルベティ、アルベルトとシュクルスがいる。


「シュクルス……あなたどうしたの?」


ルーシーは、少し様子のおかしいシュクルスをみて驚く。



「実は……」



言いづらそうにしているシュクルスに代わり、ソルベティが今までの経緯を説明した。


「それに関しては、私に非があります。迂闊な行動をしてしまったためにシュクルス殿を巻き込んでしまったのです……」



アリルビートが、ルーシーに詫びた。



「アリルビートさんの責任は、私にもあります……シュクルスさん、ごめんなさい」



クリエも、シュクルスとルーシーにお詫びした。




「いいえ。今のシュクルスの実力で連れてきたのは、私の責任です。お気になさらないでください」



ルーシーは、クリエとアリルビートの言葉に対して応えた。




「申し訳ございません……僕が弱かったばっかりに、皆様に迷惑をお掛けしてしまいました」



シュクルスが、自分のことでこの協力し合わなければならない関係に問題を生じさせてしまったのではないかという思いで、ここにいる全員に謝罪した。




「それで、いまは騎士団長の返事待ちってことなのね」


この流れを一度切ろうとして、エレーナは話題を変えようとした。



「ところで、そちらは何をされていたんですか?」



その意図を感じてか、アルベルトが話しを切り出す。



「それはですね……」



オリーブが説明を始めようとしたその時。




「あ。ハルナさん!こちらにいらしたのですね。警備兵の方たちがお話しできる準備ができたそうです」




リリィが、ハルナ達を呼びに来た。
早速、情報収集の場を手配してくれていた。




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