79 / 1,278
第二章 【西の王国】
2-48 王宮精霊使い2
しおりを挟むハルナ達はリリィに連れられて、別の部屋へ向かう。
「次はどこへ行くんですか?」
ハルナはリリィに問いかけた。
「次は、訓練室へご案内させて頂きます。そこには指導員の方もいらっしゃいますし、いろいろと活動状況なども聞けると思います」
「わかりました、リリィさん。よろしくお願いします」
ルーシーは、これから何が起こるか分からない状況に少し興奮している。
ハルナ達は、ある部屋の扉の前に到着した。
何を言っているか分からないが、大きな声が扉越しから聞こえてくる。
リリィは扉の前で取っ手に手を掛け、扉を開けるのを待っている。
ハルナ達はその様子を不思議に思ったが、ここはリリィに任せることにした。
リリィは中の様子を音で伺い、そのタイミングを待つ。
ほんのわずかに音が止み、リリィはドアを開けた。
「ご指導中、失礼します」
「おぉ、リリィか。ようやく入室のタイミングがわかってきたようだな。そのタイミングを忘れるでないぞ」
「お褒め頂き有難うございます、レイビル様」
訓練中は、どうしても指導する側も受ける側も集中しているため悪いタイミングで邪魔を入れたくないという思惑だった。
リリィも見習いとなってから何度か怒られていたため、比較的早くそのタイミングをつかむことが出来たのだった。
「で、その者たちはなんだ?……あ、その者たちが上から聞いていた新しく入ってきた者だな!?よし、こちらへ来い」
リリィは否定しようしたが、ルーシーに止められた。
そしてルーシーが最初に、レイビルという指導員の元へ近づいていく。
ハルナ達もルーシーの後に続いた。
そして、六人が横に並ぶ。
「よし、お前たちの属性を告げよ」
順番にルーシーが火、エレーナが水、ハルナが風、クリエが土、オリーブが土、カルディが水であることをレイビルに告げた。
「よし、ではお前たちの実力を見せてもらうか!」
そいうとレイビルは、標的とろうそくの炎と木の棒を立てた。
「まずは火の者よ、その線から火の玉を出しあのろうそくを倒さずに点けてみるがいい!」
そういわれて、ルーシーは落ち着いた表情で線の前に立つ。
そして、人差し指をろうそくの芯に向け、小さな火の玉を放った。
――ボっ
一瞬にしてろうそくに火が灯る。
「ん?」
レイビルは目の前で起きたことが少し信じられなかった。
「うむ、もう一回見せてもらってもいいか?ま……偶然(まぐれ)の可能性もあるしな」
レイビルは、震える声を押さえながら、ルーシーに命令する。
その命令に応えるべく、もう一本の火の灯っていないろうそくに人差し指を向けて構える。
そして
――ボっ
またしても、小さな火の玉がすごい速さでろうそくに火を灯した。
小さな炎でターゲットに向かって性格に飛ばす技術は、初心者にできるようなものではない。
レイビルは、なかなか目の前で起きたことが信じられずにいた。
「うむ、まあそんなものだろうよ。では、次は水の者よ。あのろうそくを倒さずに炎だけを消してみるがいい」
早くなった心拍数を押さえて平然を装いながら、エレーナとカルディに課題を与えた。
二人は、どちらが先にやるかを視線で会話していた。
結局、カルディが先にやることになった。
カルディは、ヤレヤレといった態度で線の前に立つ。
掌を上に向けて、ビー玉程度の小さな水の球を作り上げる。
カルディアその状態で腕を引き、ワンハンドスローの動作で水の球をとばす。
――ジュッ
一瞬音を立てて炎は消え、白い煙が昇っている。
またしても、信じられない正確さに言葉を失うレイビル。
「次は、私ね……」
そういうとエレーナは杖を取り出しその先を遠くの炎へ向ける。
杖の先には、氷の粒が一つ浮かんでいた。
片目を瞑り、狙いを定める。
エレーナは意識して、氷の粒を飛ばした。
「えいっ」
――カン!
氷の粒は、炎を消した後解けずに向こう側の壁にぶつかった。
「よ……よし。次は土の者よ。そこのテーブルの上に石を積み上げてみせよ」
本来は的に対して石を当てさせるつもりだったが、ここまでくると初期の訓練のようなものは簡単にこなしてしまいそうで難易度を上げてみた。
まずはオリーブからやることになった。
オリーブは机の上で石垣のようなものを作って苦も無く見せた。
バランスよく組み立てていくことのセンスが問われる技術だった。
次に、クリエ。
クリエはテーブルの上に小さなピラミッドを作って見せた。
小さなブロックをしたから積み上げていきピラミッドを完成させた。
その様子を見て、レイビルは黙ってしまった。
「で……では、最後に風の者よ。あの木の柱を風で切ってみせよ」
ハルナは、いいところを見せようと鼻息を荒くして線の前に立つ。
「あ。あたしがやりたい!」
と姿を見せるフウカ。
――!?
レイビルは、口をパクパクさせて何かを言おうとしているが言葉が出ない。
「いいけど、失敗しないでよね?私たちだけ失敗するとかっこ悪いよ?」
「まっかせてー!」
フウカは両手を上にあげると、フウカは頭の上に二つの風の円盤を作る。
「それっ!」
掛け声とともに、その円盤を着の柱に向かって投げた。
――ザン!……カラカラカラ
木の柱は二つの円盤に三棟分され、地面に転がった。
「やったー!!」
フウカはハルナに褒めてもらいたそうに、クルクルとハルナの周りをまわる。
「よくできたわね!偉いわ、フーちゃん!」
時々は褒めてあげないと、機嫌が悪くなると思いハルナはフウカを褒めた。
「えへへへへ……」
照れるフウカは、ハルナの頭の上に乗った。
「あの……今ので大丈夫ですか?」
ハルナは口が開いたままのレイビルに声を掛けた。
その声に正気を取り戻し、止まっていた呼吸を再開する。
「な……何なのあなたたちは!?」
「ただの……精霊使いですわ」
ルーシーは意地悪に笑いながら、応えた。
0
あなたにおすすめの小説
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【作家日記】小説とシナリオのはざまで……【三文ライターの底辺から這い上がる記録】
タカハシU太
エッセイ・ノンフィクション
書けえっ!! 書けっ!! 書けーっ!! 書けーっ!!
*
エッセイ? 日記? ただのボヤキかもしれません。
『【作家日記】小説とシナリオのはざまで……【三文ライターの底辺から這い上がる記録】』
カクヨムの週間ランキング1位(エッセイ・ノンフィクション部門)獲得経験あり。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
戦姫のトロイメライ~断罪される未来が視えたので先に死んだことにしました
志熊みゅう
恋愛
十三歳の誕生日、侯爵令嬢エディット・ユングリングは、自分が死ぬ瞬間を"夢"に視た。
卒業舞踏会で、婚約者であるフィーラ帝国・第一皇子マティアス殿下から、身に覚えのない罪で断罪され、捕らえられる。傍らでは見知らぬピンクブロンドの令嬢が不敵に微笑む。貴族牢のある北の古城に連行される途中、馬車ごと“死の谷”へと落ちていった――そんな妙に生々しい夢。
マティアス殿下は聡明で優しく、エディットを大切にしているように見えた。だから誰もその"夢"のことを気に留めなかった。しかし、兄の怪我、愛猫の死、そして大干ばつ――エディットの"夢"は次々と現実になっていく。ある日、エディットは気づく。この"夢"が、母の祖国・トヴォー王国の建国の軍師と同じ異能――"未来視"であることに。
その頃、一年早く貴族学院に入学したマティアス殿下は、皇宮から解放され、つかの間の自由を知った。そして、子爵令嬢ライラに懸想するようになる。彼女は、"夢"の中で冷酷に微笑むあの令嬢に瓜二つ。エディットは自分が視た"夢"が少しずつ現実になっていくことに恐怖した。そんな時に視た、黒髪の令息が「愛しているよ」と優しくはにかむ、もう一つの『未来』。エディットは決心する。
――断罪される未来を変えたい。もう一つの未来を自分で選び取る。
彼女は断罪される前に、家族と共に自らの死を偽装し、トヴォー王国へと身を隠す。選び取った未来の先で、エディットは『戦姫』として新たな運命の渦に飲まれていく――。
断罪の未来を捨て、愛する者のために戦う令嬢の恋愛ファンタジー!
【完】幼馴染と恋人は別だと言われました
迦陵 れん
恋愛
「幼馴染みは良いぞ。あんなに便利で使いやすいものはない」
大好きだった幼馴染の彼が、友人にそう言っているのを聞いてしまった。
毎日一緒に通学して、お弁当も欠かさず作ってあげていたのに。
幼馴染と恋人は別なのだとも言っていた。
そして、ある日突然、私は全てを奪われた。
幼馴染としての役割まで奪われたら、私はどうしたらいいの?
サクッと終わる短編を目指しました。
内容的に薄い部分があるかもしれませんが、短く纏めることを重視したので、物足りなかったらすみませんm(_ _)m
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる