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第八章
第126話 ギルドマスター
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サンドムーンの城門を見上げる。
城門の高さは約三十メデルト。
重厚で暗めの色の建物が多い帝都では珍しく、白茶色の明るめな色だ。
城壁の長さは十数キデルトはあるだろう。
終わりが見えない。
地平線まで続いているような錯覚に陥る。
堅牢で重厚な城壁だが、よく見ると所々に美しい彫刻が施されていた。
芸術作品としても興味深いものだ。
城門に入り通行税を支払う。
この通行税は、他の都市から来た商人や冒険者にかけられていた。
住民は無税だそうだ。
俺たちは一人銀貨一枚の通行税を払い帝都へ入る。
城門をくぐると、そこはまさに古都だった。
「アル、サンドムーンは世界で最も歴史のある都市なのよ」
レイが教えてくれた。
サンドムーンの人口は百万人とのこと。
イーセ王国の王都イエソンは三百万人なので三分の一だ。
だが、見劣りしないどころか、イエソンよりも大きな都市のように感じる。
建物は石造りで繊細な彫刻が施されていた。
二、三階建ての建物が多く、数区画に一つ高い塔もある。
区画は正方形に区切られており、一区画の長さは五十メデルト程だろう。
これほど綺麗に整備された街を見るのは初めてだった。
俺は言葉が出ず、ただただ帝都の重厚で歴史ある景色を眺めていた。
「さて、まだお昼よ。少し帝都を見て宿へ行く? それともこのままギルドへ行く? ギルドへ行くのは明日でも大丈夫よ」
「アル? どうしました?」
「アル?」
レイとオルフェリアが声をかけてきた。
「ああ、ごめん。あまりの凄さに見入ってしまったよ。サンドムーンは本当に凄いんだね」
「ふふふ、そうね。ギルドの建物も歴史があるわ。見たらきっと驚くわよ」
「そうか。じゃあギルドへ行こうか」
「分かったわ」
俺たちはレイの案内でギルドへ向かう。
城門から数キデルト進むと、鎧を纏ったパーティーを見かけるようになってきた。
モンスターの甲殻や外骨格を使用した鎧は特徴的で個性溢れる。
カラフルな鎧は、ファッション性も重視されているのだろう。
「アル、今の冒険者の鎧は毒甲百足の甲殻ですね。あちらは大挟甲蟹の甲殻。あ、あれは! 凄い! 王鰐の鱗ですよ!」
「アハハ、オルフェリアは詳しいな」
オルフェリアは素材に注目し、大興奮していた。
確かにひと目で冒険者と分かる装備は、見ているだけで楽しい。
だが、俺の黒靭鎧も負けていない。
つや消しの黒で統一された鎧は、シンプルな美学を感じる。
俺自身とても気に入っている鎧だ。
レイが着る碧靭鎧は俺と同じ素材だが、レイのパーソナルカラーである紺碧色で統一されている。
レイの美しい金髪と相まって、本当に流星のようだった。
「あれがギルドの総本部よ」
レイが指差す方向に巨大な城が見える。
俺は当初、皇帝が住む帝城だと思っていた。
「あ、あれがギルド? 嘘でしょ?」
「ふふふ。世界中の冒険者ギルドの総本部だもの。とても豪華よ」
緊張しながらも、俺たちは城門をくぐった。
広大な敷地内には、いくつもの大きな建物が見える。
一つ一つの建物は神殿のようで、精巧な細工が施されていた。
「アル、これらが各機関の建物よ。法務機関から開発機関まで九つの本部が全てあるわ。あれが研究機関で、あっちが開発機関ね。あとで顔を出しましょう」
そして、敷地内の中央にある巨大な城がギルド本部となる。
左右対称で、まるで鷲が翼を広げたような迫力ある造りだ。
冒険者ギルド総本部として相応しい建物だと思う。
入口を抜けると大きなロビーがあり、受付や食堂、ランクごとに分けられたクエスト掲示板がある。
ロビーは吹き抜け構造で、見上げると天井一面に壮大な天井画が描かれていた。
「す、凄い……。こんな大きな絵は初めて見た」
「これは竜種?」
俺とオルフェリアが感想を漏らした。
帝都のギルドへ来るのは初めての二人だ。
「ふふふ。あなたたち、口が開いてるわよ?」
天井を見上げたことと驚きが重なり、俺とオルフェリアは口が開いていたようだ。
二人とも頬を赤くした。
そんな俺たちに気を使ったレイが、受付まで進み用件を伝える。
「Aランクのレイ・ステラーです。サブマスターに繋いでいただけますか?」
「サブマスターですか? アポは取ってますか?」
受付嬢が予約表のような帳簿を見ている。
「えーと、レイ・ステラー様、レイ・ステラー様。特に名前はないようですが……。ん? え! レ、レイ・ステラー様ですか!」
「ええ、そうです」
「た、大変失礼しました! まさかレイ様がいらっしゃるとは」
「ギルマスに呼ばれてるのですが、いきなりは会えないでしょう?」
「そ、そうですね。仰る通りマスターに繋ぐことはありませんので、まずサブマスターにお繋ぎします」
レイは以前、帝都で活動していたので名が知られていた。
俺たちは受付嬢に案内され応接室で待つ。
そこへ一人の男性が入ってきた。
「ルイス・フィンズだ。冒険者ギルドのサブマスターをやっている。三人ともよく来てくれたな」
「久しぶりね、ルイス」
「アル・パートです」
「オルフェリア・コルトレです」
全員が挨拶を終えた。
サブマスターのルイス・フィンズは、全世界で四十万人いる冒険者ギルドという組織で二番手の地位だ。
下手な国王より強い権力を持っている。
ルイスの年齢は五十五歳。
身長は俺よりも遥かに高く、引き締まった身体をしている。
適度についた筋肉は、今も現役冒険者として通用しそうな印象を受ける。
それもそのはず、ルイスは元Aランクの冒険者とのこと。
「諸君。帝都まで来てくれてことに感謝する。さっそくだが今後のスケジュールを伝えよう。まずオルフェリア。君は明日、研究機関で表彰だ」
「か、かしこまりました」
「そう固くなるな。君の活躍は聞いている。シグ・セブンのジョージ局長がとても喜んでいたぞ」
「あ、ありがとうございます」
そこでレイが挙手をした。
「ねえルイス。明日は私たちもオルフェリアに付き添っていいのよね?」
「もちろんだ。表彰のあと、君たちは人事機関へ行ってもらう。新しいランクの更新だ」
「分かったわ」
「マスターにも会ってもらうが、なにせ気まぐれなお方だ。呼び出して悪いが、君たちが滞在中に会えるか不安なのだよ……」
ルイスの話の途中で、突然応接室のドアが開いた。
「マ、マスター?」
「ギルマス!」
ルイスとレイが同時に声を上げる。
これがギルマスか。
どう見ても俺やレイと同世代の若さだ。
身長は俺と変わらないが、体型はかなり細い。
病的なほど白い肌は、一切日に焼けていないように見える。
ボサボサの白髪でだらしないが、よく見ると整った顔をしていた。
街を歩けば女性が振り返る端麗な容姿だろう。
ただ、一つ疑問が出た。
俺の印象だとギルマスは冒険者に見えない。
この若さで冒険者でもないのに、どうやってギルマスになったのだろうか。
もしかしてギルマスは世襲制なのか。
それともギルマスは凄腕の冒険者で、すでに引退したのだろうか。
分からない。
やっぱり親から引き継いだと考えるのが妥当だろう。
そんなことを考えている俺を横目に、ギルマスはレイの顔を見ると、とたんに表情が引き締まった。
城門の高さは約三十メデルト。
重厚で暗めの色の建物が多い帝都では珍しく、白茶色の明るめな色だ。
城壁の長さは十数キデルトはあるだろう。
終わりが見えない。
地平線まで続いているような錯覚に陥る。
堅牢で重厚な城壁だが、よく見ると所々に美しい彫刻が施されていた。
芸術作品としても興味深いものだ。
城門に入り通行税を支払う。
この通行税は、他の都市から来た商人や冒険者にかけられていた。
住民は無税だそうだ。
俺たちは一人銀貨一枚の通行税を払い帝都へ入る。
城門をくぐると、そこはまさに古都だった。
「アル、サンドムーンは世界で最も歴史のある都市なのよ」
レイが教えてくれた。
サンドムーンの人口は百万人とのこと。
イーセ王国の王都イエソンは三百万人なので三分の一だ。
だが、見劣りしないどころか、イエソンよりも大きな都市のように感じる。
建物は石造りで繊細な彫刻が施されていた。
二、三階建ての建物が多く、数区画に一つ高い塔もある。
区画は正方形に区切られており、一区画の長さは五十メデルト程だろう。
これほど綺麗に整備された街を見るのは初めてだった。
俺は言葉が出ず、ただただ帝都の重厚で歴史ある景色を眺めていた。
「さて、まだお昼よ。少し帝都を見て宿へ行く? それともこのままギルドへ行く? ギルドへ行くのは明日でも大丈夫よ」
「アル? どうしました?」
「アル?」
レイとオルフェリアが声をかけてきた。
「ああ、ごめん。あまりの凄さに見入ってしまったよ。サンドムーンは本当に凄いんだね」
「ふふふ、そうね。ギルドの建物も歴史があるわ。見たらきっと驚くわよ」
「そうか。じゃあギルドへ行こうか」
「分かったわ」
俺たちはレイの案内でギルドへ向かう。
城門から数キデルト進むと、鎧を纏ったパーティーを見かけるようになってきた。
モンスターの甲殻や外骨格を使用した鎧は特徴的で個性溢れる。
カラフルな鎧は、ファッション性も重視されているのだろう。
「アル、今の冒険者の鎧は毒甲百足の甲殻ですね。あちらは大挟甲蟹の甲殻。あ、あれは! 凄い! 王鰐の鱗ですよ!」
「アハハ、オルフェリアは詳しいな」
オルフェリアは素材に注目し、大興奮していた。
確かにひと目で冒険者と分かる装備は、見ているだけで楽しい。
だが、俺の黒靭鎧も負けていない。
つや消しの黒で統一された鎧は、シンプルな美学を感じる。
俺自身とても気に入っている鎧だ。
レイが着る碧靭鎧は俺と同じ素材だが、レイのパーソナルカラーである紺碧色で統一されている。
レイの美しい金髪と相まって、本当に流星のようだった。
「あれがギルドの総本部よ」
レイが指差す方向に巨大な城が見える。
俺は当初、皇帝が住む帝城だと思っていた。
「あ、あれがギルド? 嘘でしょ?」
「ふふふ。世界中の冒険者ギルドの総本部だもの。とても豪華よ」
緊張しながらも、俺たちは城門をくぐった。
広大な敷地内には、いくつもの大きな建物が見える。
一つ一つの建物は神殿のようで、精巧な細工が施されていた。
「アル、これらが各機関の建物よ。法務機関から開発機関まで九つの本部が全てあるわ。あれが研究機関で、あっちが開発機関ね。あとで顔を出しましょう」
そして、敷地内の中央にある巨大な城がギルド本部となる。
左右対称で、まるで鷲が翼を広げたような迫力ある造りだ。
冒険者ギルド総本部として相応しい建物だと思う。
入口を抜けると大きなロビーがあり、受付や食堂、ランクごとに分けられたクエスト掲示板がある。
ロビーは吹き抜け構造で、見上げると天井一面に壮大な天井画が描かれていた。
「す、凄い……。こんな大きな絵は初めて見た」
「これは竜種?」
俺とオルフェリアが感想を漏らした。
帝都のギルドへ来るのは初めての二人だ。
「ふふふ。あなたたち、口が開いてるわよ?」
天井を見上げたことと驚きが重なり、俺とオルフェリアは口が開いていたようだ。
二人とも頬を赤くした。
そんな俺たちに気を使ったレイが、受付まで進み用件を伝える。
「Aランクのレイ・ステラーです。サブマスターに繋いでいただけますか?」
「サブマスターですか? アポは取ってますか?」
受付嬢が予約表のような帳簿を見ている。
「えーと、レイ・ステラー様、レイ・ステラー様。特に名前はないようですが……。ん? え! レ、レイ・ステラー様ですか!」
「ええ、そうです」
「た、大変失礼しました! まさかレイ様がいらっしゃるとは」
「ギルマスに呼ばれてるのですが、いきなりは会えないでしょう?」
「そ、そうですね。仰る通りマスターに繋ぐことはありませんので、まずサブマスターにお繋ぎします」
レイは以前、帝都で活動していたので名が知られていた。
俺たちは受付嬢に案内され応接室で待つ。
そこへ一人の男性が入ってきた。
「ルイス・フィンズだ。冒険者ギルドのサブマスターをやっている。三人ともよく来てくれたな」
「久しぶりね、ルイス」
「アル・パートです」
「オルフェリア・コルトレです」
全員が挨拶を終えた。
サブマスターのルイス・フィンズは、全世界で四十万人いる冒険者ギルドという組織で二番手の地位だ。
下手な国王より強い権力を持っている。
ルイスの年齢は五十五歳。
身長は俺よりも遥かに高く、引き締まった身体をしている。
適度についた筋肉は、今も現役冒険者として通用しそうな印象を受ける。
それもそのはず、ルイスは元Aランクの冒険者とのこと。
「諸君。帝都まで来てくれてことに感謝する。さっそくだが今後のスケジュールを伝えよう。まずオルフェリア。君は明日、研究機関で表彰だ」
「か、かしこまりました」
「そう固くなるな。君の活躍は聞いている。シグ・セブンのジョージ局長がとても喜んでいたぞ」
「あ、ありがとうございます」
そこでレイが挙手をした。
「ねえルイス。明日は私たちもオルフェリアに付き添っていいのよね?」
「もちろんだ。表彰のあと、君たちは人事機関へ行ってもらう。新しいランクの更新だ」
「分かったわ」
「マスターにも会ってもらうが、なにせ気まぐれなお方だ。呼び出して悪いが、君たちが滞在中に会えるか不安なのだよ……」
ルイスの話の途中で、突然応接室のドアが開いた。
「マ、マスター?」
「ギルマス!」
ルイスとレイが同時に声を上げる。
これがギルマスか。
どう見ても俺やレイと同世代の若さだ。
身長は俺と変わらないが、体型はかなり細い。
病的なほど白い肌は、一切日に焼けていないように見える。
ボサボサの白髪でだらしないが、よく見ると整った顔をしていた。
街を歩けば女性が振り返る端麗な容姿だろう。
ただ、一つ疑問が出た。
俺の印象だとギルマスは冒険者に見えない。
この若さで冒険者でもないのに、どうやってギルマスになったのだろうか。
もしかしてギルマスは世襲制なのか。
それともギルマスは凄腕の冒険者で、すでに引退したのだろうか。
分からない。
やっぱり親から引き継いだと考えるのが妥当だろう。
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