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番外編(いくつかの本音)
番外編5(番外編最終話)『縁は異なもの』
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*前半は公爵家三男レイド視点、後半は隣国のカイル殿下視点です。
***(レイド視点)***
シエラとの出会い、それは偶然ではなく必然だったと思う。
伯爵令嬢シエラは、周りからは少し変わってると思われるタイプの女性かもしれない。
彼女は、私の2つ年上で、私から見て血のつながらない親戚にあたる。母の妹の " 夫の " 弟の娘だから。
ただ、その母の妹の娘、つまり私の従姉のライラと彼女は1歳違いの従姉妹ということもあってお互いに親友だと言えるほど仲がいい。
だから、何数回の王家主催の舞踏会では挨拶するし、少し話すこともあった。ただ、それだけ。
でも、実は少し違う。最初の印象は『居心地がいい』、次に『頭の回転が速い』、そして『傍に居たい』と会うたびに変わっていった。身分や立場の合わせた態度はとるけど、年下や目下という理由で軽んじることは無い。でも、年上や目上の人がくだらない嫌味や誰かの悪口でも言おうものなら、最低限のマナーと言葉数で躱して退ける。言いたいことや言うべきことは口にするけど、あからさまな侮辱や陰口は言わずにチクリとトゲを忍ばせる。
ある時、第3王子の恋愛事情で円満解消された婚約について揶揄しつつ自らの甥を婚約者に勧める伯爵が居た。彼女が第3王子の恋愛成就を祝ってるうちに、その伯爵を見る周りの眼が冷たくなっていく。
元婚約者は王子なのだから揶揄は不敬になりかねない。彼女の実家は伯爵家とはいえ侯爵家に近い立場で、あの伯爵が侮辱できる相手ではない。さらには、おそらく、彼女自身が上手く躱してきた成果なのだろう。
会うたびに色々な面に気付いた。そして、惹かれていったんだと思う。
そうして、しばらくすると、ライラを従兄で第2王子のラウルが口説いているが毎回敗退し、ラウルを応援するライル兄様とライラを助けたいシエラの関係が微妙だという噂も聞いた。そのうち、ライル兄様がシエラに興味を持ったのではないかという噂が加わり、ライル兄様から『1か月ほどリアブルでシエラを預かれ』と手紙が来て、承諾するとシエラ本人がやってきた。
「国立図書館が有るから嬉しいわ。よろしくお願いします」
そんな少し変わった│挨拶《あいさつ》をする笑顔に、一瞬、│見惚《みと》れた。内容が頭に入ると、共通の趣味に喜びと希望が│湧《わ》く。
ライル兄様には悪いけど、この機会は逃せないと思った。領地からほとんど離れられない自分にとって、この1か月という短期間が、おそらく最初で最後のチャンスであり、勝負どころだとわかっていたから……。
シエラに関しては完全に『予想外』の連続だけど、すべて望ましい方向へ持っていってみせる。
できる限り、シエラと時間を共にした。あまり悠長にしている時間的余裕は無い。
彼女自身は気づいてないが、王都には彼女を狙う貴族たちが結構居るのだ。
彼女は、侯爵に近い伯爵家の娘、適齢期で容姿・マナー・教養なども優れている。両者合意で円満にとはいえ婚約解消の過去が有ることと、令嬢には珍しいほどの読書好きという点を除けば、普通に魅力的な令嬢なのだから。
頃合いを見計らってプロポーズした。
私が成人する1年後までは婚姻できないのが残念でしかたない。
年下で未成年、こんなことは普段では気にしない彼女が、婚約や婚姻に関してはどう反応するか不安が無いわけはなく……ましてやライル兄様の実の弟ということもあって、言葉を尽くして想いを伝える。
結果として、承諾をもらえたのだから、もう逃がす気は無い。『本人2人の希望』と強調するため、婚約許可を求める手紙は両家の親に2人から送ることにした。
婚約許可は、ライル兄様が伝言に来た。彼が領主代行をするから王都へ来るように、と。
効率的ではあるけど、噂通りなら残酷なやり方、これはお母様の案だろう。ライル兄様に少しでも早く事実を認識させるための荒療治であり、私たちに(ライル兄様への)影響を自覚させるために……。お母様は、厳しくも優しい。
そして、ライル兄様は、複雑な表情が隠しきれないながらも祝福の言葉をくれた。横から│攫《さら》ったような申し訳なさも祝福の言葉への感謝に込めて伝える。
王都での国王夫妻(伯父夫婦)への謁見と報告を終えた途端、事態が慌ただしく動き出す。隣国のカイル殿下と婚約したライラたちが半年後に婚約式をやるのに便乗したのだ。
シエラは過去の婚約解消の影響を重く見てるけど、彼女と周りにそれ以上の魅力を感じてる者の方が多い。ライル兄様との噂を出してまで──ライル兄様、ごめんなさい──│焦《あせ》りも想いに置き換えて伝えると、彼女の感じていた不安と共に想いを返されて、即座に行動開始。余分なことをやろうとする│五月蝿《うるさ》い虫は、婚約式の準備の合間に排除する。
そして、万感の思いで│二組《ふたくみ》合同婚約式を│完遂《かんすい》した。
やっとだ、けど、まだ油断はできない。
婚姻を│急《せ》くライラたちが最短の半年後の挙式を許可されたのを受け、私の成人の1ヶ月後の挙式をねじ込んだ。
合同婚約式といい、当主たちを説得するより母親たち女性陣の協力を取り付ける方が早くて確実だった。
もちろん──年齢差などを理由に婚約解消に持ち込もうとする者たちが居ることを伝え──シエラにも納得してもらった。
あぁ、半年後の結婚が待ち遠しい。
愛しいシエラ、│あの街《リブラル》での楽しかった日々をこれからは永遠のものにしよう!
***(カイル王子視点)***
私は、隣国で│我が片羽《ベターハーフ》を見つけた。
隣国への訪問は、私の王子としての担当の1つである品種改良についての情報交換のためだった。
そこで、先方の担当者から協力者として紹介されたのが侯爵令嬢ライラだったのだ。
彼女は、女性には珍しく、青果の味や収穫数に植物全般の病害虫や環境への耐性まで改良を試みているという。植物の見た目の改良に走らないところが新鮮で興味を引かれた。……と、そう思ったのだが、他の研究者(男性)と話し合う様子に苛立って、一目惚れだったのだと気づいた。
でも、彼女は第2王子ラウル殿下の婚約者候補筆頭でラウル殿下自ら口説いては敗退しているとの情報が有った。かといって、諦められるはずもなく、当日中に自国に婚約許可を求めつつ、この国の国王陛下にも謁見を求め打診した。
国王陛下は拒否はしなかった……複雑な気分なのはどうしようもなかったのだろう。
「ライラはラウルの婚約者候補でしかないから、│ラウル《あのヘタレ》は気にしなくていいわ。落とせる見込みはほとんど無いし自業自得ですからね。でも、貴方だろうと、ライラの事情と意思が最優先よ?」
王妃殿下がスッパリ明るくそう言い切ったのには驚いたけど、この国の女性陣について父や兄が語っていたのを思い出して納得した。
割り当てられている部屋に戻る間も惜しく、彼女の研究室を訪ねてプロポーズの予約をした。自国からの許可がまだ届いてないので予約という形にせざるを得ないのがもどかしい。
「お互いを理解し共に歩める貴方だから」
そんな最高の承諾の言葉に私の心は震え、自国を説得する決意が強まった。彼女の事情が私には適用されなかったのも嬉しかった。
結局、自国を説得する決意の出番は無かった。謁見の直後には王妃殿下が書面を送ってくれたらしく、王妃殿下経由で自国からの許可の手紙を受け取ったから……。実は我が国もだが、やはり、女性は強い。
「(自分が)帰国してる間に、どちらかの状況が変わって結婚できなくなるとイヤだから」
そう言って最短での婚約式を望んだところ、3ヶ月後にライラの国でと決まったのは流石に『予想外』だった。
王妃殿下たち女性陣に、我が国の女性陣まで加わって盛り上がり、瞬く間に準備が進められていく。
ライラの│従妹《いとこ》たちと合同ということで紹介されたが、2人とも穏やかで上手くやっていけそうだった。彼らの事情を聞いたときは、こっそりと親近感がUPした。
さて、そうなれば、我が国の説得は私の役割だ。プロポーズ決意の直後、ライラからのプロポーズ承諾の直後、こ国の陛下への報告の直後とマメに報告と根回しと準備をやってきた。より良い成果の為に、向こうでのアレコレは順調に準備しておかなければ……。私自身の人生の重大事なんだから、人任せばかりにはしていられない。緊急モードでも母上たちが上手く調整してくれるはず。
ライラも、我が国についての勉強は婚約前(自国)と結婚まで(我が国)とで『最短で終わらせてみせます』と宣言していた。彼女は元々筆頭侯爵家の令嬢のうえ王族の婚約者候補だった女性だ。基本的なことは既に習得してあって、ホントに我が国についての勉強だけで事足りるようだ。まずは、我が国に顔見せと結婚式の準備に訪れる時までに主な貴族などは覚えるとのことなので、大至急資料を取り寄せて渡した。
そうして、まずは合同婚約式。
我が国からは、私の両親と──国王夫妻──何人かの大臣などが来ている。兄である王太子と宰相は国王の業務を、農産大臣は私のフォローをすべく国に残っている。結婚までにはライラと合わせることができるし、レイド&シエラの結婚式には今度は兄──王太子──や宰相が来ることになるだろう。
ライラ側の主な参加者とも改めて挨拶を交わし、式に臨む。
婚約式が終われば、私はいったん帰国して向こうでの準備の仕上げをしなくてはならない。せっかく、ここまで最速で進めてきたんだ。さっさと準備を終わらせて、1日でも早くライラを迎えに来よう。こちらでも向こうでも、余分なことをやらかす虫が湧かないうちに、ライラを迎え入れて周知して彼女の立場を確立しよう。
我が国での準備中もライラとの時間を少しでも多く確保したい。というか、ライラと少しでも多く一緒に居たい。そのためには、打てる手は全て打つ!
ライラ、かけがえのない唯一。
さぁ、共に歩むために、ともに頑張ろう。まずは結婚式、そして、その後も永遠に……。
***(番外編 全5話 完)***
***(レイド視点)***
シエラとの出会い、それは偶然ではなく必然だったと思う。
伯爵令嬢シエラは、周りからは少し変わってると思われるタイプの女性かもしれない。
彼女は、私の2つ年上で、私から見て血のつながらない親戚にあたる。母の妹の " 夫の " 弟の娘だから。
ただ、その母の妹の娘、つまり私の従姉のライラと彼女は1歳違いの従姉妹ということもあってお互いに親友だと言えるほど仲がいい。
だから、何数回の王家主催の舞踏会では挨拶するし、少し話すこともあった。ただ、それだけ。
でも、実は少し違う。最初の印象は『居心地がいい』、次に『頭の回転が速い』、そして『傍に居たい』と会うたびに変わっていった。身分や立場の合わせた態度はとるけど、年下や目下という理由で軽んじることは無い。でも、年上や目上の人がくだらない嫌味や誰かの悪口でも言おうものなら、最低限のマナーと言葉数で躱して退ける。言いたいことや言うべきことは口にするけど、あからさまな侮辱や陰口は言わずにチクリとトゲを忍ばせる。
ある時、第3王子の恋愛事情で円満解消された婚約について揶揄しつつ自らの甥を婚約者に勧める伯爵が居た。彼女が第3王子の恋愛成就を祝ってるうちに、その伯爵を見る周りの眼が冷たくなっていく。
元婚約者は王子なのだから揶揄は不敬になりかねない。彼女の実家は伯爵家とはいえ侯爵家に近い立場で、あの伯爵が侮辱できる相手ではない。さらには、おそらく、彼女自身が上手く躱してきた成果なのだろう。
会うたびに色々な面に気付いた。そして、惹かれていったんだと思う。
そうして、しばらくすると、ライラを従兄で第2王子のラウルが口説いているが毎回敗退し、ラウルを応援するライル兄様とライラを助けたいシエラの関係が微妙だという噂も聞いた。そのうち、ライル兄様がシエラに興味を持ったのではないかという噂が加わり、ライル兄様から『1か月ほどリアブルでシエラを預かれ』と手紙が来て、承諾するとシエラ本人がやってきた。
「国立図書館が有るから嬉しいわ。よろしくお願いします」
そんな少し変わった│挨拶《あいさつ》をする笑顔に、一瞬、│見惚《みと》れた。内容が頭に入ると、共通の趣味に喜びと希望が│湧《わ》く。
ライル兄様には悪いけど、この機会は逃せないと思った。領地からほとんど離れられない自分にとって、この1か月という短期間が、おそらく最初で最後のチャンスであり、勝負どころだとわかっていたから……。
シエラに関しては完全に『予想外』の連続だけど、すべて望ましい方向へ持っていってみせる。
できる限り、シエラと時間を共にした。あまり悠長にしている時間的余裕は無い。
彼女自身は気づいてないが、王都には彼女を狙う貴族たちが結構居るのだ。
彼女は、侯爵に近い伯爵家の娘、適齢期で容姿・マナー・教養なども優れている。両者合意で円満にとはいえ婚約解消の過去が有ることと、令嬢には珍しいほどの読書好きという点を除けば、普通に魅力的な令嬢なのだから。
頃合いを見計らってプロポーズした。
私が成人する1年後までは婚姻できないのが残念でしかたない。
年下で未成年、こんなことは普段では気にしない彼女が、婚約や婚姻に関してはどう反応するか不安が無いわけはなく……ましてやライル兄様の実の弟ということもあって、言葉を尽くして想いを伝える。
結果として、承諾をもらえたのだから、もう逃がす気は無い。『本人2人の希望』と強調するため、婚約許可を求める手紙は両家の親に2人から送ることにした。
婚約許可は、ライル兄様が伝言に来た。彼が領主代行をするから王都へ来るように、と。
効率的ではあるけど、噂通りなら残酷なやり方、これはお母様の案だろう。ライル兄様に少しでも早く事実を認識させるための荒療治であり、私たちに(ライル兄様への)影響を自覚させるために……。お母様は、厳しくも優しい。
そして、ライル兄様は、複雑な表情が隠しきれないながらも祝福の言葉をくれた。横から│攫《さら》ったような申し訳なさも祝福の言葉への感謝に込めて伝える。
王都での国王夫妻(伯父夫婦)への謁見と報告を終えた途端、事態が慌ただしく動き出す。隣国のカイル殿下と婚約したライラたちが半年後に婚約式をやるのに便乗したのだ。
シエラは過去の婚約解消の影響を重く見てるけど、彼女と周りにそれ以上の魅力を感じてる者の方が多い。ライル兄様との噂を出してまで──ライル兄様、ごめんなさい──│焦《あせ》りも想いに置き換えて伝えると、彼女の感じていた不安と共に想いを返されて、即座に行動開始。余分なことをやろうとする│五月蝿《うるさ》い虫は、婚約式の準備の合間に排除する。
そして、万感の思いで│二組《ふたくみ》合同婚約式を│完遂《かんすい》した。
やっとだ、けど、まだ油断はできない。
婚姻を│急《せ》くライラたちが最短の半年後の挙式を許可されたのを受け、私の成人の1ヶ月後の挙式をねじ込んだ。
合同婚約式といい、当主たちを説得するより母親たち女性陣の協力を取り付ける方が早くて確実だった。
もちろん──年齢差などを理由に婚約解消に持ち込もうとする者たちが居ることを伝え──シエラにも納得してもらった。
あぁ、半年後の結婚が待ち遠しい。
愛しいシエラ、│あの街《リブラル》での楽しかった日々をこれからは永遠のものにしよう!
***(カイル王子視点)***
私は、隣国で│我が片羽《ベターハーフ》を見つけた。
隣国への訪問は、私の王子としての担当の1つである品種改良についての情報交換のためだった。
そこで、先方の担当者から協力者として紹介されたのが侯爵令嬢ライラだったのだ。
彼女は、女性には珍しく、青果の味や収穫数に植物全般の病害虫や環境への耐性まで改良を試みているという。植物の見た目の改良に走らないところが新鮮で興味を引かれた。……と、そう思ったのだが、他の研究者(男性)と話し合う様子に苛立って、一目惚れだったのだと気づいた。
でも、彼女は第2王子ラウル殿下の婚約者候補筆頭でラウル殿下自ら口説いては敗退しているとの情報が有った。かといって、諦められるはずもなく、当日中に自国に婚約許可を求めつつ、この国の国王陛下にも謁見を求め打診した。
国王陛下は拒否はしなかった……複雑な気分なのはどうしようもなかったのだろう。
「ライラはラウルの婚約者候補でしかないから、│ラウル《あのヘタレ》は気にしなくていいわ。落とせる見込みはほとんど無いし自業自得ですからね。でも、貴方だろうと、ライラの事情と意思が最優先よ?」
王妃殿下がスッパリ明るくそう言い切ったのには驚いたけど、この国の女性陣について父や兄が語っていたのを思い出して納得した。
割り当てられている部屋に戻る間も惜しく、彼女の研究室を訪ねてプロポーズの予約をした。自国からの許可がまだ届いてないので予約という形にせざるを得ないのがもどかしい。
「お互いを理解し共に歩める貴方だから」
そんな最高の承諾の言葉に私の心は震え、自国を説得する決意が強まった。彼女の事情が私には適用されなかったのも嬉しかった。
結局、自国を説得する決意の出番は無かった。謁見の直後には王妃殿下が書面を送ってくれたらしく、王妃殿下経由で自国からの許可の手紙を受け取ったから……。実は我が国もだが、やはり、女性は強い。
「(自分が)帰国してる間に、どちらかの状況が変わって結婚できなくなるとイヤだから」
そう言って最短での婚約式を望んだところ、3ヶ月後にライラの国でと決まったのは流石に『予想外』だった。
王妃殿下たち女性陣に、我が国の女性陣まで加わって盛り上がり、瞬く間に準備が進められていく。
ライラの│従妹《いとこ》たちと合同ということで紹介されたが、2人とも穏やかで上手くやっていけそうだった。彼らの事情を聞いたときは、こっそりと親近感がUPした。
さて、そうなれば、我が国の説得は私の役割だ。プロポーズ決意の直後、ライラからのプロポーズ承諾の直後、こ国の陛下への報告の直後とマメに報告と根回しと準備をやってきた。より良い成果の為に、向こうでのアレコレは順調に準備しておかなければ……。私自身の人生の重大事なんだから、人任せばかりにはしていられない。緊急モードでも母上たちが上手く調整してくれるはず。
ライラも、我が国についての勉強は婚約前(自国)と結婚まで(我が国)とで『最短で終わらせてみせます』と宣言していた。彼女は元々筆頭侯爵家の令嬢のうえ王族の婚約者候補だった女性だ。基本的なことは既に習得してあって、ホントに我が国についての勉強だけで事足りるようだ。まずは、我が国に顔見せと結婚式の準備に訪れる時までに主な貴族などは覚えるとのことなので、大至急資料を取り寄せて渡した。
そうして、まずは合同婚約式。
我が国からは、私の両親と──国王夫妻──何人かの大臣などが来ている。兄である王太子と宰相は国王の業務を、農産大臣は私のフォローをすべく国に残っている。結婚までにはライラと合わせることができるし、レイド&シエラの結婚式には今度は兄──王太子──や宰相が来ることになるだろう。
ライラ側の主な参加者とも改めて挨拶を交わし、式に臨む。
婚約式が終われば、私はいったん帰国して向こうでの準備の仕上げをしなくてはならない。せっかく、ここまで最速で進めてきたんだ。さっさと準備を終わらせて、1日でも早くライラを迎えに来よう。こちらでも向こうでも、余分なことをやらかす虫が湧かないうちに、ライラを迎え入れて周知して彼女の立場を確立しよう。
我が国での準備中もライラとの時間を少しでも多く確保したい。というか、ライラと少しでも多く一緒に居たい。そのためには、打てる手は全て打つ!
ライラ、かけがえのない唯一。
さぁ、共に歩むために、ともに頑張ろう。まずは結婚式、そして、その後も永遠に……。
***(番外編 全5話 完)***
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