192 / 317
第191話 [聖光石の扱い。]
しおりを挟む
ガシュウさんはアイテムボックス改に入るなり、俺に声を掛けてきた。
「此方でされるのですか?」
「はい。流石にリーグさんの執務室を効果が切れるまで聖域に近い環境にする訳には行かないと思って。」
「あぁ、確かにそれは大変な事になりそうですね。」
「一応、魔力保有量の少ない物で体感してもらおうと思ってるんですけど、それでも半径10mは有るんで。」
「流石にそれでは余も家臣達に言い訳するのも難しいのぅ。」
「それはそれでリーグが狼狽えてるのを見るのは愉しそうだけどね。」
「何を言う。ガシュウも自室でその様な事があれば困るであろう。」
「そんな事ないよ。普通に使徒様に貰い受けたと言えばいいだけだしね。」
「そうじゃった、お主のところはそれで罷り通るどころか、お祭り騒ぎになるじゃろうな。」
「そうだね。敬虔な信者が多いからね。」
「では、シュウト殿お願い出来るかのぅ。」
「分かりました。」
俺はそう言うとBランクの魔石で作った聖光石を手に持った。
「発動は簡単です。聖光石に触れた状態で・・・いきます!・・・浄化!」
俺がそう言うと聖光石から目が眩むほどの光が発生し、聖光石を中心に光のドームが出来上がった。
「おぉ、突然の光で驚いたが、気持ちの良い空間が広がっておるのぅ。」
「・・・。」
リーグさんは聖光石が発生させる光を見て感動した様子で辺りを見回し、ガシュウさんは恍惚とした表情で固まっていた。
「ガシュウさん、大丈夫ですか?」
俺がそう言うとガシュウさんは涙を流しながら頷いていた。
2人は暫くの間、自分自身の状態を確認していたが元々正気だったリーグさんが話し掛けてきた。
「ガシュウは・・・もう暫くはこのままじゃな。それでシュウト殿、この聖光石でどの位持つのじゃ?」
「えぇと確か3日くらいですね。」
「ほう。この状態3日も維持出来るとな。」
「はい。コレは聖光石(中)なんでその位ですね。」
「では、他のはどうなのじゃ?」
「他は聖光石(大)が約19年、聖光石(極大)が約190年ってところですね。」
「ほう。それは凄いのぅ。その上、極大にもなるととんでもない年数じゃのぅ。効果はどうなんじゃ?」
「効果はどれも同じですよ。範囲が変わるだけですね。」
「なるほどのぅ。聖域の範囲が違うという事か。」
「正確には聖域に近いだけですけどね。」
「余からすれば差程変わらぬが、まぁそうじゃのぅ。それで魔力保有量や魔力消費量はどうなんじゃ?」
「魔力消費量はサイズに関わらずに毎分200ですね。後、魔力保有量は先程言った通り、聖光石の小は保有すること無く、その場で魔力を送っている間だけになり、中は30万で、大が1000万、極大は1億になります。」
「なるほどのぅ。そこから計算しての年数じゃったか。その上補充可能という事か。」
「そうですね。ただ途中で壊れない保証が無いんで正確なところは分かりません。」
「まぁ、そうじゃの。形あるものはいつか壊れるとも言うしのぅ。」
「そうですね。」
「それで消費量が変わらんのに範囲が変わるとはどの位変わるのじゃ?」
「極大が半径500m、大が半径100m、中は先程話した通りで小は半径50cmです。」
「極大に関しては小さなの街ならば範囲内に入りそうじゃのぅ。」
「そうですね。先程、ガシュウさんが話した聖女様の遺した聖光石がどの位のサイズかは分かりませんが、もし広い範囲をカバーしようとすれば、それなりの数か、自分とは違って聖女様特有のスキルで範囲を拡大させてたんじゃないですかね。」
「そうじゃのぅ。その辺は文献には載っておらんのか?」
リーグさんは俺の話を聞いていつの間にか正気に戻っていたガシュウさんに話を振った。
「・・・載っては無かったはず・・・シュウト様、その他の聖光石を見せてもらう事は出来ますでしょうか?」
「良いですよ。」
俺はそう言うと大と極大をガシュウさんに見せた。
「おぉ、これは・・・。」
「ガシュウ。」
「申し訳ありませんシュウト様。此方の聖光石が国宝と同じです。」
俺が出した聖光石を見たガシュウさんがまた自分の世界に入ろうとした様でリーグさんに止められていた。
「コレだと聖光石(大)ですね。コレが幾つも在るんですか?」
「いえ、1つだけです。それに文献にも載っていませんでした。」
「という事は効果を上げる何かが在ったんでしょうね。」
俺がそう言うとガシュウさんは少し考えてから話し始めた。
「これは私の推測になりますが、世界樹様との共鳴で範囲を広げたのかもしれません。」
「そんな事が出来るんですか?」
「確証はありません。ただ、世界樹様の傍で聖魔法や光魔法を使うと効果を上げる事が出来るので。」
「なるほど、ならそうかもしれないですね。」
「はい。しかも聖女祭の時は元々祀られていた場所に戻すのですが、世界樹様の傍に造られた社に戻すので、効果を上げる為にそこに祀られたのかと。」
「そんなにも効果が上がるんですか。」
「代々聖女様は世界樹様と繋がりが強い傾向がありますので、伝説の聖女様ともなればその効果は計り知れないものになるかと。」
「凄そうですね。」
「恐らくは。それで話は変わりますがよろしいでしょうか?」
「はい。何でしょうか?」
「聖光石(小)に関してなんですが、其方も魔力を込めつつ、浄化と唱えれば発動致しますか?」
「はい。ただ此方も毎分200の消費があるので、その点は気を付けてもらう必要があります。」
「承知致しました。1度貸して頂いてもよろしいでしょうか?」
「良いですよ。」
俺はそう言うとガシュウさんに手渡した。
「浄化!・・・ふむふむ・・・なるほど・・・上手く行けば使えるか?」
ガシュウさんは聖光石(小)を発動させると色々動かしてみたり手放した状態で魔力を送り込んだりしていた。
「どうされたんですか?」
「私の国に聖光石(小)をシンボルとして取り付けた鎧があるとお話したと思いますがその鎧は後付けされた物ではないのです。」
「その時代に造られた鎧という事ですか?」
「はい。」
「よく壊れませんね。」
「その鎧は魔力を流すと聖光石(小)を中心に修復効果があるので、これまでは強固で壊れ難く、修復される鎧という事で、不滅の鎧と呼ばれています。」
「なるほど、それなら現役で使用されても不思議じゃないですね。」
「はい。ですが、我々教国の者はその鎧の本当の効果を忘れてしまっていたようです。」
「本当の効果?」
「はい。シュウト様にお貸しいただいた聖光石(小)で色々行って解ったのですが、その鎧は最初こそ聖光石(小)に触れる必要が有りますが、どうやら聖域効果を維持しながら戦闘を行える鎧だった様です。」
「・・・なるほど、聖光石(大)で街や世界樹を守りつつ、その鎧を着た者で攻勢に出たという事ですね。」
「はい。その通りです。鎧自体が浄化魔道具なのだと推測出来ますので、その鎧を製作出来れば、対策の1つになるかと。」
「それは良いですね。Cランクの魔石だったら量産は可能ですし、急いで作・・・でもそれだと魔力量の多い人なら良いですけど、少ない人だと厳しいかもしれないですね。」
「それは私も思いましたが、今対策用の魔道具を創ってもらっている御三方に魔石や魔晶石を利用した鎧の製作依頼もお願いすれば何とか出来るかと。」
「確かにあの人達なら出来ると思いますけど、負担になりませんか?」
「いえ、逆に探知やその他の対策に役立つかと思われます。」
ガシュウさんの自信あり気な言い方が不思議に思い、聞いてみた。
「何故、そこまで言い切れるんですか?」
「ギール様が書いておられたメモに兵士や冒険者を守る魔道具の思案が書かれていましたので。」
凄いな。殆ど見る時間も無かったはずなのに。
俺がそう思っているとガシュウさんが話し掛けてきた。
「長年、教皇をしていますと一瞬で書類を読み解き、判断する事が自然と出来る様になりますよ。リーグもそうですよね。」
「そうだな。王はその程度出来ねば、休む暇もないからのぅ。」
2人のその言葉に引き気味で聞いていると2人は俺の顔を見て笑っていた。
「そうだ。この聖光石ってどう扱えば良いと思いますか?」
「そうじゃのぅ。余の王国では極大と大を1つずつ確保しておきたいかのぅ。」
「私もそうですね。」
「1つで良いんですか?」
「その様な国宝級・・・いや、それ以上の物を幾つも所持しておれば、他国に何を言われるか分からんからのぅ。必要最小限に抑えたいのじゃ。」
「私も同意です。ただ聖光石(中)に関しては探索部隊に持たせたいのである程度は確保出来れば幸いです。」
「そうじゃのぅ。中であれば他国もそこまで目くじらを立てる事は無いじゃろう。」
「聖光石(小)はどうしますか?」
「とりあえずは鎧や魔道具が出来てからじゃの。」
「そうですね。聖光石(小)だけでは扱える者は少ないでしょうし。」
「後はシュウト殿の領地を聖域にし続ける為に使うのが良かろう。」
「そうですね。その方が今居る者にもこれから産まれてくる命にも良い環境になる事でしょう。」
「そうなんですか?」
「当たり前です。聖域の近くで産まれる事が出来た子供の生存率はかなり高いので。」
へぇ~それは良い事聞いたなぁ。
俺がそう思っているとリーグさんから声が掛かった。
「嬉しそうじゃの。」
「子供は宝ですから。」
「そうじゃの。」
俺がそう答えると2人は嬉しそうな顔になった。
その後、2人には先に執務室に戻ってもらい、俺は急いで必要最低限の聖光石を作ってアイテムボックス改を出て、2人に聖光石を渡すと神殿に転送した。
「シュウト様、お帰りなさいませ。」
「ただいまバト。1つ聞いて良いか?」
「何でしょうか?」
「お孫さんはもう直ぐ産まれるのか?」
「いえ、5ヶ月後と聞いております。」
「そうか。なら産まれるまで此方に来て静養する事は出来るか?」
「・・・聞いてはみますが、恐らく難しいかと。」
「そうか。ならバルーサさんの住んでる場所は半径10m以上有るか?」
「はい。その程度であればございます。」
「そうか。なら此方で静養が出来なかったらコレを渡してあげてくれ。」
俺はそう言うと聖光石(中)をバトに手渡した。
「シュウト様、此方は何でしょうか?」
「聖光石って言うんだけど聖域に近い環境に出来るんだ。それで聖域の傍で産まれた子は元気な子供になるらしいから渡してあげて。」
「そ、そんな!私のような者にその様な・・・。」
「良いって気にするなトルバも世話になるし、それに俺から報酬は受け取るつもりは無いだろ?」
「・・・有り難く頂戴致します。」
「お、おう。それで使い方なんだが・・・・・」
俺からのプレゼントを渡されたバトが涙ながらにお辞儀をしてきた。俺は少し照れくさくなったので、矢継ぎ早に聖光石(中)の説明をした。
「此方でされるのですか?」
「はい。流石にリーグさんの執務室を効果が切れるまで聖域に近い環境にする訳には行かないと思って。」
「あぁ、確かにそれは大変な事になりそうですね。」
「一応、魔力保有量の少ない物で体感してもらおうと思ってるんですけど、それでも半径10mは有るんで。」
「流石にそれでは余も家臣達に言い訳するのも難しいのぅ。」
「それはそれでリーグが狼狽えてるのを見るのは愉しそうだけどね。」
「何を言う。ガシュウも自室でその様な事があれば困るであろう。」
「そんな事ないよ。普通に使徒様に貰い受けたと言えばいいだけだしね。」
「そうじゃった、お主のところはそれで罷り通るどころか、お祭り騒ぎになるじゃろうな。」
「そうだね。敬虔な信者が多いからね。」
「では、シュウト殿お願い出来るかのぅ。」
「分かりました。」
俺はそう言うとBランクの魔石で作った聖光石を手に持った。
「発動は簡単です。聖光石に触れた状態で・・・いきます!・・・浄化!」
俺がそう言うと聖光石から目が眩むほどの光が発生し、聖光石を中心に光のドームが出来上がった。
「おぉ、突然の光で驚いたが、気持ちの良い空間が広がっておるのぅ。」
「・・・。」
リーグさんは聖光石が発生させる光を見て感動した様子で辺りを見回し、ガシュウさんは恍惚とした表情で固まっていた。
「ガシュウさん、大丈夫ですか?」
俺がそう言うとガシュウさんは涙を流しながら頷いていた。
2人は暫くの間、自分自身の状態を確認していたが元々正気だったリーグさんが話し掛けてきた。
「ガシュウは・・・もう暫くはこのままじゃな。それでシュウト殿、この聖光石でどの位持つのじゃ?」
「えぇと確か3日くらいですね。」
「ほう。この状態3日も維持出来るとな。」
「はい。コレは聖光石(中)なんでその位ですね。」
「では、他のはどうなのじゃ?」
「他は聖光石(大)が約19年、聖光石(極大)が約190年ってところですね。」
「ほう。それは凄いのぅ。その上、極大にもなるととんでもない年数じゃのぅ。効果はどうなんじゃ?」
「効果はどれも同じですよ。範囲が変わるだけですね。」
「なるほどのぅ。聖域の範囲が違うという事か。」
「正確には聖域に近いだけですけどね。」
「余からすれば差程変わらぬが、まぁそうじゃのぅ。それで魔力保有量や魔力消費量はどうなんじゃ?」
「魔力消費量はサイズに関わらずに毎分200ですね。後、魔力保有量は先程言った通り、聖光石の小は保有すること無く、その場で魔力を送っている間だけになり、中は30万で、大が1000万、極大は1億になります。」
「なるほどのぅ。そこから計算しての年数じゃったか。その上補充可能という事か。」
「そうですね。ただ途中で壊れない保証が無いんで正確なところは分かりません。」
「まぁ、そうじゃの。形あるものはいつか壊れるとも言うしのぅ。」
「そうですね。」
「それで消費量が変わらんのに範囲が変わるとはどの位変わるのじゃ?」
「極大が半径500m、大が半径100m、中は先程話した通りで小は半径50cmです。」
「極大に関しては小さなの街ならば範囲内に入りそうじゃのぅ。」
「そうですね。先程、ガシュウさんが話した聖女様の遺した聖光石がどの位のサイズかは分かりませんが、もし広い範囲をカバーしようとすれば、それなりの数か、自分とは違って聖女様特有のスキルで範囲を拡大させてたんじゃないですかね。」
「そうじゃのぅ。その辺は文献には載っておらんのか?」
リーグさんは俺の話を聞いていつの間にか正気に戻っていたガシュウさんに話を振った。
「・・・載っては無かったはず・・・シュウト様、その他の聖光石を見せてもらう事は出来ますでしょうか?」
「良いですよ。」
俺はそう言うと大と極大をガシュウさんに見せた。
「おぉ、これは・・・。」
「ガシュウ。」
「申し訳ありませんシュウト様。此方の聖光石が国宝と同じです。」
俺が出した聖光石を見たガシュウさんがまた自分の世界に入ろうとした様でリーグさんに止められていた。
「コレだと聖光石(大)ですね。コレが幾つも在るんですか?」
「いえ、1つだけです。それに文献にも載っていませんでした。」
「という事は効果を上げる何かが在ったんでしょうね。」
俺がそう言うとガシュウさんは少し考えてから話し始めた。
「これは私の推測になりますが、世界樹様との共鳴で範囲を広げたのかもしれません。」
「そんな事が出来るんですか?」
「確証はありません。ただ、世界樹様の傍で聖魔法や光魔法を使うと効果を上げる事が出来るので。」
「なるほど、ならそうかもしれないですね。」
「はい。しかも聖女祭の時は元々祀られていた場所に戻すのですが、世界樹様の傍に造られた社に戻すので、効果を上げる為にそこに祀られたのかと。」
「そんなにも効果が上がるんですか。」
「代々聖女様は世界樹様と繋がりが強い傾向がありますので、伝説の聖女様ともなればその効果は計り知れないものになるかと。」
「凄そうですね。」
「恐らくは。それで話は変わりますがよろしいでしょうか?」
「はい。何でしょうか?」
「聖光石(小)に関してなんですが、其方も魔力を込めつつ、浄化と唱えれば発動致しますか?」
「はい。ただ此方も毎分200の消費があるので、その点は気を付けてもらう必要があります。」
「承知致しました。1度貸して頂いてもよろしいでしょうか?」
「良いですよ。」
俺はそう言うとガシュウさんに手渡した。
「浄化!・・・ふむふむ・・・なるほど・・・上手く行けば使えるか?」
ガシュウさんは聖光石(小)を発動させると色々動かしてみたり手放した状態で魔力を送り込んだりしていた。
「どうされたんですか?」
「私の国に聖光石(小)をシンボルとして取り付けた鎧があるとお話したと思いますがその鎧は後付けされた物ではないのです。」
「その時代に造られた鎧という事ですか?」
「はい。」
「よく壊れませんね。」
「その鎧は魔力を流すと聖光石(小)を中心に修復効果があるので、これまでは強固で壊れ難く、修復される鎧という事で、不滅の鎧と呼ばれています。」
「なるほど、それなら現役で使用されても不思議じゃないですね。」
「はい。ですが、我々教国の者はその鎧の本当の効果を忘れてしまっていたようです。」
「本当の効果?」
「はい。シュウト様にお貸しいただいた聖光石(小)で色々行って解ったのですが、その鎧は最初こそ聖光石(小)に触れる必要が有りますが、どうやら聖域効果を維持しながら戦闘を行える鎧だった様です。」
「・・・なるほど、聖光石(大)で街や世界樹を守りつつ、その鎧を着た者で攻勢に出たという事ですね。」
「はい。その通りです。鎧自体が浄化魔道具なのだと推測出来ますので、その鎧を製作出来れば、対策の1つになるかと。」
「それは良いですね。Cランクの魔石だったら量産は可能ですし、急いで作・・・でもそれだと魔力量の多い人なら良いですけど、少ない人だと厳しいかもしれないですね。」
「それは私も思いましたが、今対策用の魔道具を創ってもらっている御三方に魔石や魔晶石を利用した鎧の製作依頼もお願いすれば何とか出来るかと。」
「確かにあの人達なら出来ると思いますけど、負担になりませんか?」
「いえ、逆に探知やその他の対策に役立つかと思われます。」
ガシュウさんの自信あり気な言い方が不思議に思い、聞いてみた。
「何故、そこまで言い切れるんですか?」
「ギール様が書いておられたメモに兵士や冒険者を守る魔道具の思案が書かれていましたので。」
凄いな。殆ど見る時間も無かったはずなのに。
俺がそう思っているとガシュウさんが話し掛けてきた。
「長年、教皇をしていますと一瞬で書類を読み解き、判断する事が自然と出来る様になりますよ。リーグもそうですよね。」
「そうだな。王はその程度出来ねば、休む暇もないからのぅ。」
2人のその言葉に引き気味で聞いていると2人は俺の顔を見て笑っていた。
「そうだ。この聖光石ってどう扱えば良いと思いますか?」
「そうじゃのぅ。余の王国では極大と大を1つずつ確保しておきたいかのぅ。」
「私もそうですね。」
「1つで良いんですか?」
「その様な国宝級・・・いや、それ以上の物を幾つも所持しておれば、他国に何を言われるか分からんからのぅ。必要最小限に抑えたいのじゃ。」
「私も同意です。ただ聖光石(中)に関しては探索部隊に持たせたいのである程度は確保出来れば幸いです。」
「そうじゃのぅ。中であれば他国もそこまで目くじらを立てる事は無いじゃろう。」
「聖光石(小)はどうしますか?」
「とりあえずは鎧や魔道具が出来てからじゃの。」
「そうですね。聖光石(小)だけでは扱える者は少ないでしょうし。」
「後はシュウト殿の領地を聖域にし続ける為に使うのが良かろう。」
「そうですね。その方が今居る者にもこれから産まれてくる命にも良い環境になる事でしょう。」
「そうなんですか?」
「当たり前です。聖域の近くで産まれる事が出来た子供の生存率はかなり高いので。」
へぇ~それは良い事聞いたなぁ。
俺がそう思っているとリーグさんから声が掛かった。
「嬉しそうじゃの。」
「子供は宝ですから。」
「そうじゃの。」
俺がそう答えると2人は嬉しそうな顔になった。
その後、2人には先に執務室に戻ってもらい、俺は急いで必要最低限の聖光石を作ってアイテムボックス改を出て、2人に聖光石を渡すと神殿に転送した。
「シュウト様、お帰りなさいませ。」
「ただいまバト。1つ聞いて良いか?」
「何でしょうか?」
「お孫さんはもう直ぐ産まれるのか?」
「いえ、5ヶ月後と聞いております。」
「そうか。なら産まれるまで此方に来て静養する事は出来るか?」
「・・・聞いてはみますが、恐らく難しいかと。」
「そうか。ならバルーサさんの住んでる場所は半径10m以上有るか?」
「はい。その程度であればございます。」
「そうか。なら此方で静養が出来なかったらコレを渡してあげてくれ。」
俺はそう言うと聖光石(中)をバトに手渡した。
「シュウト様、此方は何でしょうか?」
「聖光石って言うんだけど聖域に近い環境に出来るんだ。それで聖域の傍で産まれた子は元気な子供になるらしいから渡してあげて。」
「そ、そんな!私のような者にその様な・・・。」
「良いって気にするなトルバも世話になるし、それに俺から報酬は受け取るつもりは無いだろ?」
「・・・有り難く頂戴致します。」
「お、おう。それで使い方なんだが・・・・・」
俺からのプレゼントを渡されたバトが涙ながらにお辞儀をしてきた。俺は少し照れくさくなったので、矢継ぎ早に聖光石(中)の説明をした。
14
お気に入りに追加
353
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
追放されたテイマー半年後に従魔が最強になったのでまた冒険する
Miiya
ファンタジー
「テイマーって面白そうだったから入れてたけど使えんから出ていって。」と言われ1ヶ月間いたパーティーを追放されてしまったトーマ=タグス。仕方なく田舎にある実家に戻りそこで農作業と副業をしてなんとか稼いでいた。そんな暮らしも半年が経った後、たまたま飼っていたスライムと小鳥が最強になりもう一度冒険をすることにした。そしてテイマーとして覚醒した彼と追放したパーティーが出会い彼の本当の実力を知ることになる。
幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~
月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。
「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。
そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。
『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。
その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。
スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。
※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。)
※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
おいでませ異世界!アラフォーのオッサンが異世界の主神の気まぐれで異世界へ。
ゴンべえ
ファンタジー
独身生活を謳歌していた井手口孝介は異世界の主神リュシーファの出来心で個人的に恥ずかしい死を遂げた。
全面的な非を認めて謝罪するリュシーファによって異世界転生したエルロンド(井手口孝介)は伯爵家の五男として生まれ変わる。
もちろん負い目を感じるリュシーファに様々な要求を通した上で。
貴族に転生した井手口孝介はエルロンドとして新たな人生を歩み、現代の知識を用いて異世界に様々な改革をもたらす!かもしれない。
思いつきで適当に書いてます。
不定期更新です。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる