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第192話 [魔血石。]

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説明し終わった俺はバトにルークかレイの居場所を聞いた。

「ルーク様は試験が終了しましたので現在、レイ様と共にアキト様の訓練を受けられております。」

「2人共、荒野/渓谷フィールドか?」

「はい。その通りでございます。」

「なら、丁度良いや。行ってくる。」

「承知致しました。ところで今晩の御食事は如何なさいますか?」

「う~ん。此処で食べる。」

「承知致しました。」

俺はそう言うと2人が居る荒野/渓谷フィールドに入った。

「おっ、シュウトどうしたんだい?」

「2人はどうした?」

「今、落ちていったからもう少ししたら上がってくるよ。」

「そうか。で、アキトから見て2人はどうなんだ?」

「ルークはまずまずだね。」

「レイは難しそうなのか?」

「いや、攻撃系じゃなく、防御の技っていうのもあるのか、上達はかなり早いよ。」

「ほう。どの位なんだ?」

「そうだねぇ・・・ルークは持ち前のセンスで負荷を掛けない状態なら出来る様になるのも時間の問題かな。レイの方は今は負荷を掛けてやってるからもう少し上達したら今度は制約を掛けての修行に移るかな。」

「ほう。かなり上達が早いな。」

「まぁね。だけど完全にマスターするのはまだ先になると思うよ。ただ今は意識したらなんとか使える程度にはなったよ。」

「余り無茶なやり方はするなよ。」

「分かってるよ。優しく教えてるからね。」

アキトがそう言うと声が聞こえた。

「どこが優しいんだよ。」

「ルークはまだいいよ、重りはつけてないんだし。」

「まぁ、そうだけど何れは俺もそうなるんだろ。つってもレイに負けてるのは癪だけどな。」

「そうだね。もう何回かしたらルークも少しずつ負荷を掛けるよ。」

「マジかぁ・・・ところで、何でシュウトが此処に居るんだ?シュウトもやるのか?」

俺に気付いたルークが声を掛けてきたので、必要無いとばかりに首を振った。

「じゃあどうしたんだ?」

「その前に試験はどうだったんだ?」

「試験か、合格だな。一先ずは武具の製作にドラウの所に置いてきたぞ。それがどうしたんだ?」

「この前ルークがもう少し価値のある物をあげたいって言ってただろ?」

「あぁ、そうだな。それがどう・・・もしかして何か有るのか?」

「あぁ、さっき聖光石っていうのを作ったんだけどそれを鎧に組み込むのはどうかなって。」

「セイコウセキ?何だそれ?」

俺の言葉に初めて聞いた様でルークは疑問で返してきた。すると横に居たアキトから声が掛かった。

「もしかして聖女様が遺したっていう国宝・・・いや、鎧だから七聖光騎士の鎧に付いてる聖光石かい?」

「現物は見た事はないけどガシュウさんが言ってたからそうだと思うぞ。」

「父さんがそう言ったなら間違いないね。っていうより、その聖光石を作ったって相変わらず無茶苦茶だね。」

「聖石を作ろうとしたら出来たんだからしょうがないだろ。」

「そう言えるのはシュウトだけだよ。」

「一寸待て。」

「何だよルーク。」

「まさか国宝級の物をやるっていうのか?」

ルークの疑問に答える為にアキトに話し掛けた。

「なぁアキト、七聖光騎士の鎧って国宝級なのか?」

「う~ん。確か、数も少ないから準国宝級になるはずだよ。」

「じゃあ問題ないな。」

「いやいや、準って言っても国宝級だぞ。」

「じゃあ準国宝級ってダンジョンなら何処で手に入るんだ?」

「そりゃあ、最低限Aランクダンジョンだろ。」

「なら問題ないじゃないか、次はAランクに挑める実力が有るんだろ?」

「確かに有るが、Aランクダンジョンでも極々稀に出てくる様な代物だぞ。」

ルークがそう言うとアキトがルークに話し掛けた。

「大丈夫だよ。」

「何が大丈夫なんだ?」

「聖光石の大きいサイズは国宝として保管されてるけど鎧が準国宝級なのは鎧が魔力を流せば修復されるからだし、胸に有る聖光石は唯の飾りなんだよ。」

「・・・それならまぁ・・・良いのか?」

「アキト、聖光石の使い方なら解ってるぞ。」

「え?誰も鑑定出来なかったんだよ?」

「作った本人だからな。それに鑑定が出来ないんじゃなくて、鑑定するのに魔力量が少なかったから鑑定出来なかっただけだと思うぞ。」

「そうなんだ。それでどうやって使うんだい?」

アキトの疑問に俺はガシュウさんに話した内容をそのまま伝えた。

「へぇ~そうだったんだ。」

「おい!一寸待て!」

「何だよルーク。」

「それじゃあ、伝説の鎧を創って彼奴らにやろうとしてるのか?」

「いやいや、流石に修復効果までは無理だと思うから、その劣化版ってところだと思うぞ。」

「劣化版か・・・なら、良いのか?」

ルークがそう言って納得してくれそうだったので、そんなルークを無視して土精霊のエダを呼んでドラウ達の様子を確認した。すると試験合格者の面々はドラウと話し終えたのか周りをキョロキョロ見ているだけだとの事だった。

「終わったみてぇだし、とりあえず迎えに行ってくるわ。」

ルークはそう言うと洞窟フィールドへ移動し、合格者を送っていった。

「さてと、居なくなった事だし、ドラウの所へ行くか。アキト達はどうする?戻るなら先に送ってくぞ?」

「一緒に行くよ。」

「僕も行くよ。」

「そうか、なら行くか。」

俺達はそう言うとドラウがいる洞窟フィールドへ移動した。

「おぉ、シュウトどうしたんだ?」

ドラウに聞かれた俺は聖光石と鎧の説明をした。

「また凄いもんを作ったなぁ。」

「たまたまだよ。」

「まぁ、いいや。そうかぁ鎧になぁ・・・アレが有ればイケるか・・・。」

「アレ?アレって何だ?」

「一寸待ってろよ。」

ドラウはそう言うと家に入って行き、何かを探していた。

「在ったぞ。コレだ。」

家の奥からドラウは見た感じ気持ち悪い何かを持って出てきた。

「何だそれ。ドス黒い血が固まってるみたいだけど魔物の血か何かか?」

「確かに見た目は悪いし、魔物の血が固まって出来たっていう説もあるし、コイツに近い魔物もいるが、れっきとした原石だぞ。」

「それが?宝石になるのか?」

「世の中にはこういうのを好む奴もいるって事だ。」

ドラウにそう言うと謎の原石を俺に手渡してきた。

「へぇ~。鑑定。」



魔血石(ブラッドストーン)の原石

・加工の仕方により、より血液の様に見える。一部の好事家に高額で取引されている。

・他の宝石と違い、魔力を溜め込む性質が有り、ある一定のサイズまで魔力を糧に質量を増やし、限界が来ると破裂し、また質量を増やす事を繰り返し、その数を増やす。

・正しい方法で加工すると魔道具同士を繋ぐ配線にする事が出来る。



「なるほどな。確かにコレなら使えるな。」

「あぁ、だけどな・・・。」

ドラウはそう言うと困った様な顔をしていた。

「どうしたんだ?」

「いやぁ、コイツは数があんまねぇんだよ。」

「無い?気持ち悪いから誰も採掘しないって事か?」

「いやいや、そうじゃねぇよ。昔は結構在ったらしいけど今は希少なんだよ。」

「希少?・・・まぁ、自然に増える様な物じゃなさそうだしな。」

「増える?」

「ん?」

「ん?どういう事だ?」

「どういう事って鑑定したら魔力を限界まで溜め込んだら破裂して増えるって書いてあったぞ。」

「ん?確かに魔力は吸われるけど破裂した事なんてねぇぞ?」

「足りなかったんじゃないか?」

「そうなのか?俺がやった時は少しデカくなっただけだけどなぁ。」

「じゃあ足りなかったんだな。」

「いやいや、俺以外もやったところを見たけどやっぱりその時もほんの少しだけデカくなっただけだったぞ。鑑定が間違ってるだけじゃねぇか?それにコレは内容まで鑑定出来ねぇはずだぞ。」

ん?これって・・・・・

そう思った俺は魔血石に魔力を込めてみた。すると魔血石は手のひらサイズだった魔血石はその質量をどんどん増やしていき、瞬く間に人の頭位のサイズに成り、明滅し始めた。

「お、おい、それヤバくねぇか?」

ドラウがそう言った瞬間、俺が人の居ない方向に向けるとパン!と音を鳴らして弾けた魔血石は前方に吹き飛んだ。

「ビックリしたぁ。」

「ビックリじゃねぇよ!何したんだよ!」

「いやぁ聖光石の時も鑑定が出来ないって話があったんだけど、その時も鑑定する魔力が少なくて出来てなかったんだよ。だからもしかして結構な量が要るのかなぁって。」

「確かにシュウトが鑑定した瞬間、少しデカくなってたなぁ・・・ってやるならやるって言えよ!」

「あぁ、そうだな。わる・・・あれ?弾け飛んだ欠片がまた大きくなってないか?」

「ん?・・・これってまた弾けないか?」

俺達がそう話している間も魔血石はどんどん大きくなってまた明滅し始めた。

「あっ。」

次の瞬間、散らばった全ての魔血石が一斉に破裂し、また大きくなり破裂しを数回繰り返し、その後、手のひらサイズまで大きくなると止まった。

「確かに魔力量が足りなかったみてぇだけどどれだけ込めたらこんな事になんだよ。」

ドラウはそう言うと辺り一面が魔血石で埋め尽くされた洞窟前の広場を唖然とした表情で見ていた。

「1億くらい?」

「はぁ!?無茶を通り越してバカなのか?」

「バカって何だよ!」

「いやいや、バカだろ。今回は上手くいったから良いものの下手したら魔血石が消滅しちまう量だろ。」

「何で分かるんだよ。」

「何となくだよ。強いて言うなら鍛冶師の感だ。」

「感ってなんだよ感って。」

「だから何となくってんだろ。」

俺達がそう言っていると誰かに後ろからトントンと叩かれた。

「ん?エダか、どうした?」

「ドラウ殿の言う通りじゃよ。」

「何がだ?」

「儂が消滅しない様に抑えなかったら完全に消えて無くなっておったわい。」

「え?そうなの?」

俺がそう言うとエダは深く頷いていた。

「ありがとう。」

「良いんじゃよ。それよりもその石っころを増やしたいのかのぅ?」

「ドラウ、まだ要るか?」

「そうだな・・・今回の分は有ると思うが今後の事を考えると在った方が良いだろうな。」

「まぁ、そうか。なら、エダ頼めるか?」

「儂は宝石を増やしたり、創ったりするのは管轄外じゃて、フローガに頼むとええ。」

「そうか、分かったありがとな。」

「ええんじゃ、役に立てて良かったのじゃ。」
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