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めそめそと涙を流す文官達にフェルザーが怒っている間、私とノーラはお茶の準備をしていた。
本当は植物園の中にある温室作られた秘密のガゼボに向かいたかったのだけど、
「僕達がそのような場所に立ち入るなど許されません」
「私達にはやる事がありますので……」
「どうか、お許し下さい」
こう言って話にならない。 仕方がないので小道に一定の間隔で設置されている休憩用のベンチに腰を下ろそうと言う事になった。 とは言え、腰を下ろすのは私だけで、文官達と言えば硬いレンガの小道に正座をし良く分からない状態で何故かフェルザーに叱られている。
私はコソコソとお茶の準備をするノーラに耳打ちをした。
「お茶とオヤツって準備万端ね」
「散歩をなさる事でレーネ様の食欲も沸くのでは? と、期待して準備してみたのですけど、如何でしょうか?」
「そうね……頂くわ」
私は笑みを返した。
沢山の人が微笑みながら挨拶を返してくれ、誰も彼もが長く病人扱いだった私を心配し労ってくれた。 それがとても嬉しくて心も体も稼働し始めていました。
そんな私の目の前で繰り広げられる説教。
「仕事があって忙しいと言うなら、グズグズせずに話せ!! レーネ様の体調を悪化させるつもりか?」
もたもためそめそする文官に怒りだすフェルザー。 もはや尋問なのでは? と、ノーラに耳打ちすれば、苦笑いと共に返されるのは物騒な言葉。
「大丈夫です!! まだ、拷問まで至っていません」
それは大丈夫と言うのでしょうか? 私が不思議そうにフェルザーを見れば視線を感じたフェルザーがニッコリ笑って言うのだ。
「直ぐに終わらせよう」
「何を?」
良く分からないうちに文官達は、我先にと語りだした。
3か月前。 任せられた政務仕事の対処に困ったマルクル兄様が、文官達に仕事を任せたと言うところから話は始まった。
「ぇ、ソレはダメって……報告するように各部署に通達されていましたよね?」
政務と言えば機密事項も混ざりますから、各部署の専門家たちからは情報の提示を受けても業務自体は極秘とするのが決まりだ。
「そ、それは……私達は、その……庶民から採用された下位文官でして……その……」
沈黙。
そして、叫び。
「「「お金が欲しかったんです!!」」」
文官のお給料は? と言うのは横に置く事にして彼等から話を聞き続けました。
彼等は特殊金属に分類される魔皇石と呼ばれる、魔力伝導が強くて透明で硬いのに魔力を通すと粘土のように扱える金属を目に前に置かれたことで、マルクル兄様の願いを聞こうと言う気になったのです。
「その際は、契約を交わしました?」
秘密保持契約とか、業務契約とか、色々?
「い、いえ……ただ、私達は……殿下が新しく……その迎えられた姫君は魔皇石が採掘さえる土地を持参金として持ってきたと伺ったので……」
「ようするに甘い汁が吸えると思ったんだな」
文官達はシュンと落ち込み、私は目の前がくらくらとした。
私がマルクル兄様の正室としては足りないと皆が思っている。 そう言われた言葉を思い出した。 私の両親は……国王陛下夫婦の友人ではあったけれど領地を持たない貧乏貴族で財産と言う物は何も無い。 挙句に仕事もしていない。 魔皇石が採掘される土地を持参金に持ってくる事が出来る姫君相手では……そりゃぁ、側室にも降格されると言うものだわ……。
目の前が暗くなり……目の前にいるのに凄く遠くで文官達とフェルザーの声を聞いているような……そんな感じ……で……。
「最初に与えられた政務はとても簡単なものでした。 直ぐに私達はソレを仕上げ殿下の元にお持ちしたのですが」
『このような簡単な業務に報酬を得ようとは、何とも欲深く自分達がいかに無能かを披露しているようなものですよ。 本当にこんなもので報酬を得ようと考えているのですか?』
そう言われては、報酬を得る事が出来なかったと言う話でした。
そして次の仕事があてがわれ、また次の仕事があてがわれ、その難易度が上がり寝る間もなくなるほどになった2月前、初めて報酬が渡されたそうです。
「ソレを見せてもらえるか?」
「は、はい……」
おずおずとフェルザーに渡された報酬の魔皇石は、呆然と思考が散漫となっている私から見てもクズ魔皇石でした。
「本当にこれが報酬なのか?」
「はい……。 お前達にはコレが相応しいとおっしゃって」
それは魔力伝導率が低く、透明度も低いもので使いようの無いもののように見えました。
「なるほど、良いように利用されたようだな」
フェルザーの小馬鹿にした笑い方は、文官達は傷ついた顔をし……私の胸にもチクりと痛みを与えます。
「で? レーネ様に頼みがあると言う事は続きがあるのだろう?」
「はい……僕達は極上の魔皇石を見せつけられ、難易度の高い仕事を押し付けられたのです……。 それに取り掛かる事で、もう半月も本業が中途半端な状態で、それに……押し付けられた政務の方も上手くいかず、私達には無理だと殿下に訴えました」
『なるほど、所詮はクズ魔皇石ほどの能力しかなかったと言う事ですね。 ですが……貴方達にもコレを仕上げる方法がありますよ。 偽物、であっても己を輝かせる方法はあると言うものです。 無能者には無能者に相応しい方法がね……』
「そして、私達は耳元で囁かれました。 レーネ様におすがりするようにと」
「はっ!! 自分の無能をさらけ出しながら良くそんな事を言えるもんだ。 お前達だってそう思っただろうが、なぜ、そこで言い返さない」
「で、殿下ですよ!! 相手は!!」
「それで……今まで、レーネ様がこれらの仕事をやっておられた事を思い出し、助力をお借り出来ればと思った次第です」
「私は……」
よければ手伝いますと言おうとした。 流石に全部引き受ける気にはなれなかったけれど、仕事が滞ると言うのは国として良くはありませんし……。
頭の中がボンヤリとしていた。
無能者そんな言葉がリピートされる。
だけどフェルザーが私の口元を手で塞ぐふりをしたことで、反射的に私は黙りこんだ。 だって……とても真剣な顔をしていたから……。
どうしたのですか? なんて聞く余裕も無かった。
「馬鹿か!! オマエ等のせいで国が政務が、議会が、どれだけ迷惑をこうむったか分かっているのか!!」
「し、仕事は難しいながらも提出しましたし、それが返された事はありません!! それに……仕事が出来ないのなら、レーネ様にお願いするよう言ったのもマルクル殿下です!!」
文官は震えながらも反論していた。
「あのなぁ……まず、文句が出ないのは、最初から陛下がマルクルの能力を測りながら、仕事を振り分けていたからだ……。 最初は偶然にもオマエ達文官の専門分野だったのかもしれない。 他の奴等にも割り振っているのか? 王族の……いや領地を持つ者の政務と言うのはあらゆる分野の知識から、正しい答えを見つける必要がある。 専門分野に偏ったオマエ達の知識では最初から無理だったんだ。 それを安易に引き受けたのはオマエ達だ。 その責任はオマエ達が取るべきだろう。 それに……レーネが影で仕事をする事で、マルクルは仕事が出来るってなるのでは意味がない。 そうでなくとも……」
フェルザーは言葉を濁した。
「何かあったのですか?」
「……あぁ、まぁ……その……3か月もあれば色々ある」
「色々とは?」
私が聞けば、ノーラは顔色を悪くし、そしてフェルザーは深い溜息をついた。 そして、文官へと向かいフェルザーは言うのだ。
「まず報告義務を怠ったお前達が悪い。 俺から陛下に報告しても構わないが……多分、お前達が自分で報告する方が印象はまだ保たれるだろう。 上司に相談する事を勧める」
「はい……相談に乗っていただきありがとうございました……」
フェルザーに知られてしまっては、今更隠す事は出来ないだろう。
彼等は規則を破った罰として後に地方へと左遷される事となる。 それは罰の意味もあるが、マルクルの私刑から守るためでもあり、民間から登用された貴重な人材を放棄したくはないと言う思いもあったらしい。
本当は植物園の中にある温室作られた秘密のガゼボに向かいたかったのだけど、
「僕達がそのような場所に立ち入るなど許されません」
「私達にはやる事がありますので……」
「どうか、お許し下さい」
こう言って話にならない。 仕方がないので小道に一定の間隔で設置されている休憩用のベンチに腰を下ろそうと言う事になった。 とは言え、腰を下ろすのは私だけで、文官達と言えば硬いレンガの小道に正座をし良く分からない状態で何故かフェルザーに叱られている。
私はコソコソとお茶の準備をするノーラに耳打ちをした。
「お茶とオヤツって準備万端ね」
「散歩をなさる事でレーネ様の食欲も沸くのでは? と、期待して準備してみたのですけど、如何でしょうか?」
「そうね……頂くわ」
私は笑みを返した。
沢山の人が微笑みながら挨拶を返してくれ、誰も彼もが長く病人扱いだった私を心配し労ってくれた。 それがとても嬉しくて心も体も稼働し始めていました。
そんな私の目の前で繰り広げられる説教。
「仕事があって忙しいと言うなら、グズグズせずに話せ!! レーネ様の体調を悪化させるつもりか?」
もたもためそめそする文官に怒りだすフェルザー。 もはや尋問なのでは? と、ノーラに耳打ちすれば、苦笑いと共に返されるのは物騒な言葉。
「大丈夫です!! まだ、拷問まで至っていません」
それは大丈夫と言うのでしょうか? 私が不思議そうにフェルザーを見れば視線を感じたフェルザーがニッコリ笑って言うのだ。
「直ぐに終わらせよう」
「何を?」
良く分からないうちに文官達は、我先にと語りだした。
3か月前。 任せられた政務仕事の対処に困ったマルクル兄様が、文官達に仕事を任せたと言うところから話は始まった。
「ぇ、ソレはダメって……報告するように各部署に通達されていましたよね?」
政務と言えば機密事項も混ざりますから、各部署の専門家たちからは情報の提示を受けても業務自体は極秘とするのが決まりだ。
「そ、それは……私達は、その……庶民から採用された下位文官でして……その……」
沈黙。
そして、叫び。
「「「お金が欲しかったんです!!」」」
文官のお給料は? と言うのは横に置く事にして彼等から話を聞き続けました。
彼等は特殊金属に分類される魔皇石と呼ばれる、魔力伝導が強くて透明で硬いのに魔力を通すと粘土のように扱える金属を目に前に置かれたことで、マルクル兄様の願いを聞こうと言う気になったのです。
「その際は、契約を交わしました?」
秘密保持契約とか、業務契約とか、色々?
「い、いえ……ただ、私達は……殿下が新しく……その迎えられた姫君は魔皇石が採掘さえる土地を持参金として持ってきたと伺ったので……」
「ようするに甘い汁が吸えると思ったんだな」
文官達はシュンと落ち込み、私は目の前がくらくらとした。
私がマルクル兄様の正室としては足りないと皆が思っている。 そう言われた言葉を思い出した。 私の両親は……国王陛下夫婦の友人ではあったけれど領地を持たない貧乏貴族で財産と言う物は何も無い。 挙句に仕事もしていない。 魔皇石が採掘される土地を持参金に持ってくる事が出来る姫君相手では……そりゃぁ、側室にも降格されると言うものだわ……。
目の前が暗くなり……目の前にいるのに凄く遠くで文官達とフェルザーの声を聞いているような……そんな感じ……で……。
「最初に与えられた政務はとても簡単なものでした。 直ぐに私達はソレを仕上げ殿下の元にお持ちしたのですが」
『このような簡単な業務に報酬を得ようとは、何とも欲深く自分達がいかに無能かを披露しているようなものですよ。 本当にこんなもので報酬を得ようと考えているのですか?』
そう言われては、報酬を得る事が出来なかったと言う話でした。
そして次の仕事があてがわれ、また次の仕事があてがわれ、その難易度が上がり寝る間もなくなるほどになった2月前、初めて報酬が渡されたそうです。
「ソレを見せてもらえるか?」
「は、はい……」
おずおずとフェルザーに渡された報酬の魔皇石は、呆然と思考が散漫となっている私から見てもクズ魔皇石でした。
「本当にこれが報酬なのか?」
「はい……。 お前達にはコレが相応しいとおっしゃって」
それは魔力伝導率が低く、透明度も低いもので使いようの無いもののように見えました。
「なるほど、良いように利用されたようだな」
フェルザーの小馬鹿にした笑い方は、文官達は傷ついた顔をし……私の胸にもチクりと痛みを与えます。
「で? レーネ様に頼みがあると言う事は続きがあるのだろう?」
「はい……僕達は極上の魔皇石を見せつけられ、難易度の高い仕事を押し付けられたのです……。 それに取り掛かる事で、もう半月も本業が中途半端な状態で、それに……押し付けられた政務の方も上手くいかず、私達には無理だと殿下に訴えました」
『なるほど、所詮はクズ魔皇石ほどの能力しかなかったと言う事ですね。 ですが……貴方達にもコレを仕上げる方法がありますよ。 偽物、であっても己を輝かせる方法はあると言うものです。 無能者には無能者に相応しい方法がね……』
「そして、私達は耳元で囁かれました。 レーネ様におすがりするようにと」
「はっ!! 自分の無能をさらけ出しながら良くそんな事を言えるもんだ。 お前達だってそう思っただろうが、なぜ、そこで言い返さない」
「で、殿下ですよ!! 相手は!!」
「それで……今まで、レーネ様がこれらの仕事をやっておられた事を思い出し、助力をお借り出来ればと思った次第です」
「私は……」
よければ手伝いますと言おうとした。 流石に全部引き受ける気にはなれなかったけれど、仕事が滞ると言うのは国として良くはありませんし……。
頭の中がボンヤリとしていた。
無能者そんな言葉がリピートされる。
だけどフェルザーが私の口元を手で塞ぐふりをしたことで、反射的に私は黙りこんだ。 だって……とても真剣な顔をしていたから……。
どうしたのですか? なんて聞く余裕も無かった。
「馬鹿か!! オマエ等のせいで国が政務が、議会が、どれだけ迷惑をこうむったか分かっているのか!!」
「し、仕事は難しいながらも提出しましたし、それが返された事はありません!! それに……仕事が出来ないのなら、レーネ様にお願いするよう言ったのもマルクル殿下です!!」
文官は震えながらも反論していた。
「あのなぁ……まず、文句が出ないのは、最初から陛下がマルクルの能力を測りながら、仕事を振り分けていたからだ……。 最初は偶然にもオマエ達文官の専門分野だったのかもしれない。 他の奴等にも割り振っているのか? 王族の……いや領地を持つ者の政務と言うのはあらゆる分野の知識から、正しい答えを見つける必要がある。 専門分野に偏ったオマエ達の知識では最初から無理だったんだ。 それを安易に引き受けたのはオマエ達だ。 その責任はオマエ達が取るべきだろう。 それに……レーネが影で仕事をする事で、マルクルは仕事が出来るってなるのでは意味がない。 そうでなくとも……」
フェルザーは言葉を濁した。
「何かあったのですか?」
「……あぁ、まぁ……その……3か月もあれば色々ある」
「色々とは?」
私が聞けば、ノーラは顔色を悪くし、そしてフェルザーは深い溜息をついた。 そして、文官へと向かいフェルザーは言うのだ。
「まず報告義務を怠ったお前達が悪い。 俺から陛下に報告しても構わないが……多分、お前達が自分で報告する方が印象はまだ保たれるだろう。 上司に相談する事を勧める」
「はい……相談に乗っていただきありがとうございました……」
フェルザーに知られてしまっては、今更隠す事は出来ないだろう。
彼等は規則を破った罰として後に地方へと左遷される事となる。 それは罰の意味もあるが、マルクルの私刑から守るためでもあり、民間から登用された貴重な人材を放棄したくはないと言う思いもあったらしい。
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