7 / 12
第七話
しおりを挟む
「そういえば……主さまの魔力、ちっとも減りませんね」
と、シルキーの一人が言う。
「え? 魔力って減るものなの?」
「はい」
「妖精や魔獣を仲間にするだけで消耗するはずです」
だから主さまの魔力は桁外れなのかなー? と二人が声を揃える。
「確かに魔力は強い方だとは思うわ。けど……そんなに驚くほど強くはないと思うの」
「でもぉ……あたしたちを常に顕現させて使役するとなると……すごくたくさんの魔力を、あたしたちが吸ってるはずなんです」
そんなまさか、と、アリサは目をぱちくりさせる。
アリサは、新しい魔物に出会うと、まず、彼らを仲間にしてみる。そのため、アリサの召喚獣や従魔は夥しい数にのぼっている。アリサの周りに顕現しているのはごく一部にすぎない。
「シルキーの言うとおりだな」
と、竜が言う。
そして、召喚獣や従魔は、人間の支配下に魔物をおくということだ。魔物と主を魔力の鎖でつなぐわけだが、そのぶん、魔物に魔力を吸われる。そのため、通常は多くて3体程度しか支配下には置けないーーと、説明してくれる。
「アリサ、きみはどうしてそんなに、魔力が無尽蔵なんだい?」
と、竜が不思議がるが、アリサの方がそれを知りたいくらいである。
「不思議なレディだよ、きみは……」
人型の妖精や召喚獣たちが、アリサの周りに常に群がる。それらがすべて、美男美女、妖艶な美女から屈強な紳士まで選り取り見取り、これも、アリサの魔力が高いから可能なことなのだ。本人はまったく自覚がないが、過去に例がないくらいの大魔導師と言って過言ではない。
「こんな魔力の塊、あの国が放っておくはずないし、聖女の守護を失った王都も大騒ぎだろうに……」
「竜さん、何か言った?」
「ん、いや? なんでもないよ」
そのころ、竜の懸念したとおり、隣国のアーデルライト皇国と、アリサがいなくなった王都では大騒動になっていた。
「大変な数値だ……!」
「とんでもない魔物か、そうでなければ、強すぎる魔導師だぞ。王国にも我が国にも、そんな強い魔導師がいるとは聞いていない」
世界有数の魔導師や研究員が集まるアーデルライト国立魔法研究所では、研究員たちが右往左往していた。
王国との国境付近で、異常な魔力を検知したのだ。ヒューズ領には竜の巣があることは知られているが、たとえ古龍が一斉に目を覚ましてもこの数値にはならない。
「魔力の源を確認しなくては……!」
そこで、急遽、探索部隊を編成することになった。
ヒューズ領に踏み込んでの調査はできない。なので、領のぎりぎりに仮小屋を建てて、しばらく魔力の発生源を観察するのだ。魔物や魔力に関する知識は当然のこと、根気と体力、そしていざという時の対応力が求められる。
その隊長は、自身もすぐれた魔導師である皇太子が自ら手を挙げた。
漆黒の髪と紫紺の目は、優れた黒魔導師の証である。が、これからの時代は魔法だけでは戦いに勝てないと、剣術の鍛錬も怠らなかったため、優れた剣士でもある。
「我が国に有益なものならば、直ちに取り入れ、我が国に害を及ぼすと判断したら即座に取り除きます」
「うむ。皇太子、頼んだぞ」
「はい」
剣を抜いて皇王に宣誓し、彼らは『未知の異常な魔力』へと接近を始めたのである。
これがまさか、運命的な出会いになるとは、誰が予想したであろうか……。
と、シルキーの一人が言う。
「え? 魔力って減るものなの?」
「はい」
「妖精や魔獣を仲間にするだけで消耗するはずです」
だから主さまの魔力は桁外れなのかなー? と二人が声を揃える。
「確かに魔力は強い方だとは思うわ。けど……そんなに驚くほど強くはないと思うの」
「でもぉ……あたしたちを常に顕現させて使役するとなると……すごくたくさんの魔力を、あたしたちが吸ってるはずなんです」
そんなまさか、と、アリサは目をぱちくりさせる。
アリサは、新しい魔物に出会うと、まず、彼らを仲間にしてみる。そのため、アリサの召喚獣や従魔は夥しい数にのぼっている。アリサの周りに顕現しているのはごく一部にすぎない。
「シルキーの言うとおりだな」
と、竜が言う。
そして、召喚獣や従魔は、人間の支配下に魔物をおくということだ。魔物と主を魔力の鎖でつなぐわけだが、そのぶん、魔物に魔力を吸われる。そのため、通常は多くて3体程度しか支配下には置けないーーと、説明してくれる。
「アリサ、きみはどうしてそんなに、魔力が無尽蔵なんだい?」
と、竜が不思議がるが、アリサの方がそれを知りたいくらいである。
「不思議なレディだよ、きみは……」
人型の妖精や召喚獣たちが、アリサの周りに常に群がる。それらがすべて、美男美女、妖艶な美女から屈強な紳士まで選り取り見取り、これも、アリサの魔力が高いから可能なことなのだ。本人はまったく自覚がないが、過去に例がないくらいの大魔導師と言って過言ではない。
「こんな魔力の塊、あの国が放っておくはずないし、聖女の守護を失った王都も大騒ぎだろうに……」
「竜さん、何か言った?」
「ん、いや? なんでもないよ」
そのころ、竜の懸念したとおり、隣国のアーデルライト皇国と、アリサがいなくなった王都では大騒動になっていた。
「大変な数値だ……!」
「とんでもない魔物か、そうでなければ、強すぎる魔導師だぞ。王国にも我が国にも、そんな強い魔導師がいるとは聞いていない」
世界有数の魔導師や研究員が集まるアーデルライト国立魔法研究所では、研究員たちが右往左往していた。
王国との国境付近で、異常な魔力を検知したのだ。ヒューズ領には竜の巣があることは知られているが、たとえ古龍が一斉に目を覚ましてもこの数値にはならない。
「魔力の源を確認しなくては……!」
そこで、急遽、探索部隊を編成することになった。
ヒューズ領に踏み込んでの調査はできない。なので、領のぎりぎりに仮小屋を建てて、しばらく魔力の発生源を観察するのだ。魔物や魔力に関する知識は当然のこと、根気と体力、そしていざという時の対応力が求められる。
その隊長は、自身もすぐれた魔導師である皇太子が自ら手を挙げた。
漆黒の髪と紫紺の目は、優れた黒魔導師の証である。が、これからの時代は魔法だけでは戦いに勝てないと、剣術の鍛錬も怠らなかったため、優れた剣士でもある。
「我が国に有益なものならば、直ちに取り入れ、我が国に害を及ぼすと判断したら即座に取り除きます」
「うむ。皇太子、頼んだぞ」
「はい」
剣を抜いて皇王に宣誓し、彼らは『未知の異常な魔力』へと接近を始めたのである。
これがまさか、運命的な出会いになるとは、誰が予想したであろうか……。
127
あなたにおすすめの小説
無能だと思われていた日陰少女は、魔法学校のS級パーティの参謀になって可愛がられる
あきゅう
ファンタジー
魔法がほとんど使えないものの、魔物を狩ることが好きでたまらないモネは、魔物ハンターの資格が取れる魔法学校に入学する。
魔法が得意ではなく、さらに人見知りなせいで友達はできないし、クラスでもなんだか浮いているモネ。
しかし、ある日、魔物に襲われていた先輩を助けたことがきっかけで、モネの隠れた才能が周りの学生や先生たちに知られていくことになる。
小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿してます。
彼女が微笑むそのときには
橋本彩里(Ayari)
ファンタジー
ミラは物語のヒロインの聖女となるはずだったのだが、なぜか魔の森に捨てられ隣国では物語通り聖女が誕生していた。
十五歳の時にそのことを思い出したが、転生前はベッドの上の住人であったこともあり、無事生き延びているからいいじゃないと、健康体と自由であることを何よりも喜んだ。
それから一年後の十六歳になった満月の夜。
魔力のために冬の湖に一人で浸かっていたところ、死ぬなとルーカスに勘違いされ叱られる。
だが、ルーカスの目的はがめつい魔女と噂のあるミラを魔の森からギルドに連れ出すことだった。
謂れのない誤解を解き、ルーカス自身の傷や、彼の衰弱していた同伴者を自慢のポーションで治癒するのだが……
四大元素の魔法と本来あるはずだった聖魔法を使えない、のちに最弱で最強と言われるミラの物語がここから始まる。
長編候補作品
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
私、パーティー追放されちゃいました
菜花
ファンタジー
異世界にふとしたはずみで来てしまった少女。幸いにもチート能力があったのでそれを頼りに拾ってもらった人達と働いていたら……。「調子に乗りやがって。お前といるの苦痛なんだよ」 カクヨムにも同じ話があります。
婚約破棄?それならこの国を返して頂きます
Ruhuna
ファンタジー
大陸の西側に位置するアルティマ王国
500年の時を経てその国は元の国へと返り咲くために時が動き出すーーー
根暗公爵の娘と、笑われていたマーガレット・ウィンザーは婚約者であるナラード・アルティマから婚約破棄されたことで反撃を開始した
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる