【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。

鋼雅 暁

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第七話

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「そういえば……主さまの魔力、ちっとも減りませんね」
 と、シルキーの一人が言う。
「え? 魔力って減るものなの?」
「はい」
「妖精や魔獣を仲間にするだけで消耗するはずです」
 だから主さまの魔力は桁外れなのかなー? と二人が声を揃える。
「確かに魔力は強い方だとは思うわ。けど……そんなに驚くほど強くはないと思うの」
「でもぉ……あたしたちを常に顕現させて使役するとなると……すごくたくさんの魔力を、あたしたちが吸ってるはずなんです」
 そんなまさか、と、アリサは目をぱちくりさせる。
 アリサは、新しい魔物に出会うと、まず、彼らを仲間にしてみる。そのため、アリサの召喚獣や従魔は夥しい数にのぼっている。アリサの周りに顕現しているのはごく一部にすぎない。
「シルキーの言うとおりだな」
 と、竜が言う。
 そして、召喚獣や従魔は、人間の支配下に魔物をおくということだ。魔物と主を魔力の鎖でつなぐわけだが、そのぶん、魔物に魔力を吸われる。そのため、通常は多くて3体程度しか支配下には置けないーーと、説明してくれる。
「アリサ、きみはどうしてそんなに、魔力が無尽蔵なんだい?」
 と、竜が不思議がるが、アリサの方がそれを知りたいくらいである。
「不思議なレディだよ、きみは……」

 人型の妖精や召喚獣たちが、アリサの周りに常に群がる。それらがすべて、美男美女、妖艶な美女から屈強な紳士まで選り取り見取り、これも、アリサの魔力が高いから可能なことなのだ。本人はまったく自覚がないが、過去に例がないくらいの大魔導師と言って過言ではない。
「こんな魔力の塊、あの国が放っておくはずないし、聖女の守護を失った王都も大騒ぎだろうに……」
「竜さん、何か言った?」
「ん、いや? なんでもないよ」

 そのころ、竜の懸念したとおり、隣国のアーデルライト皇国と、アリサがいなくなった王都では大騒動になっていた。

「大変な数値だ……!」
「とんでもない魔物か、そうでなければ、強すぎる魔導師だぞ。王国にも我が国にも、そんな強い魔導師がいるとは聞いていない」
 世界有数の魔導師や研究員が集まるアーデルライト国立魔法研究所では、研究員たちが右往左往していた。
 王国との国境付近で、異常な魔力を検知したのだ。ヒューズ領には竜の巣があることは知られているが、たとえ古龍が一斉に目を覚ましてもこの数値にはならない。
「魔力の源を確認しなくては……!」
 そこで、急遽、探索部隊を編成することになった。
 ヒューズ領に踏み込んでの調査はできない。なので、領のぎりぎりに仮小屋を建てて、しばらく魔力の発生源を観察するのだ。魔物や魔力に関する知識は当然のこと、根気と体力、そしていざという時の対応力が求められる。
 その隊長は、自身もすぐれた魔導師である皇太子が自ら手を挙げた。
 漆黒の髪と紫紺の目は、優れた黒魔導師の証である。が、これからの時代は魔法だけでは戦いに勝てないと、剣術の鍛錬も怠らなかったため、優れた剣士でもある。
「我が国に有益なものならば、直ちに取り入れ、我が国に害を及ぼすと判断したら即座に取り除きます」
「うむ。皇太子、頼んだぞ」
「はい」
 剣を抜いて皇王に宣誓し、彼らは『未知の異常な魔力』へと接近を始めたのである。

 これがまさか、運命的な出会いになるとは、誰が予想したであろうか……。
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