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第六話
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翌日からアリサは、妖精たちと楽しくスローライフをはじめた。
田畑を耕したり領地を視察したり。農作業の方は、妖精たちが手伝うので作業はどんどん捗る。領内の課題や問題点はすぐに見つかるが、解決策はなかなか思いつかない。
「素人が土地をおさめるって難しいわね」
「まあ、素人だろうがプロだろうが、簡単にやれることなら、国が荒れたり滅んだりはしないと思うぜ?」
と、のんびり言うのは執事だ。彼は館の中にいるより外にいる方を好むらしく、アリサが外出するとなると喜んでついてくる。
「でもさ、王都で学んだ知識や魔法があるだろ? それ活用すればなんとかなるだろ」
「そ、それはそう……だけど……」
「なら、やればいいじゃん。あんた、領主さまなんだから」
執事の大雑把な助言もあり、アリサは領民たちが困っていることがあれば、魔法や書物で学んだ知識を活用し、時には領の法律改正をして彼らを助ける活動をはじめた。
「新領主さま、助かりました。彼らをしばらくお借りします」
「いいえ、また何かありましたらお気軽にご相談くださいね!」
頭を下げる猟師のそばで、美少年が三人ほど、がんばるねー! と合唱する。森でいたずらばかりして猟師を困らせている魔獣三頭がいると聞いたアリサは、さっそく森へと出かけ、その三頭を従魔にした。そして改めて魔法陣で召喚したところ、彼らは三つ子の美少年になった。
その三人を、猟師の手伝いとして貸し出すことにした。
アリサも、猟師もニコニコだ。
「お役に立ててよかったわ! 森は荒らされなくなったし、おじいさんの人手不足も解消!」
アリサの傍に立っている緋色の髪の美形に話しかければ、青年がゆったりと頷く。
「見事な手並みでした……素晴らしい」
唇が触れそうなほどの距離で嫣然と微笑まれてアリサは真っ赤になった。
彼は、領主の館に客として滞在中の、竜である。なぜか竜の姿でいるより人間の姿でいることの方が多く、アリサはどぎまぎすることが増えている。
「領主さまっ、次はどこいく?」
「あたし川の方に行きたいな! 魔力の匂いがするのーっ!」
わいわいはしゃぐのは、勝手についてきた美少女二名。シルキー妖精である。
「じゃあ、川の視察にしましょう! 魔獣が出るかもしれないから……二人とも、気を付けてね」
「はーい!」
しかし、ピョンピョン飛びはねるシルキーのせいで、なかなか前に進まない。
「……ええい、じれったい。背に乗れ!」
ぽん、と音がして、緋竜が姿を現した。わーいわーい、とシルキー二人が背中に飛び乗り、アリサもそれに続く。
「では、川に向けて出発!」
上空から見る村は、まだまだ小さい。発展の余地は十分にある。
「観光資源となりそうなものの発見は無理だわ……何か産業、特産品を……」
川の上流にある鉱山は、魔物が棲みついているものの宝石や魔石がとれると聞いている。その石は、特産品にできないだろうか。
「調べてみなくちゃ……」
シルキー二人も、身を乗り出すようにして飛行を楽しんでいる。
「あら? 山脈の向こうは……アーデルライト皇国なのね。旗が見えるわ」
そうです、と竜が答える。なんでも、半年ほど前に戦があり、そこにあった国がアーデルライト皇国に吸収されてしまったらしい。
「……知らなかったわ……守りを固めておかないと不安ね。王都に手紙を書きましょう」
王に知らせるか、騎士団に知らせるか。悩ましい。できればどちらとも関わりたくない。
――ここは、元の持ち主である大神官宛でいいだろう。
「でも、こんな生活も悪くないわね!」
と、すっかり満足しているアリサである。
田畑を耕したり領地を視察したり。農作業の方は、妖精たちが手伝うので作業はどんどん捗る。領内の課題や問題点はすぐに見つかるが、解決策はなかなか思いつかない。
「素人が土地をおさめるって難しいわね」
「まあ、素人だろうがプロだろうが、簡単にやれることなら、国が荒れたり滅んだりはしないと思うぜ?」
と、のんびり言うのは執事だ。彼は館の中にいるより外にいる方を好むらしく、アリサが外出するとなると喜んでついてくる。
「でもさ、王都で学んだ知識や魔法があるだろ? それ活用すればなんとかなるだろ」
「そ、それはそう……だけど……」
「なら、やればいいじゃん。あんた、領主さまなんだから」
執事の大雑把な助言もあり、アリサは領民たちが困っていることがあれば、魔法や書物で学んだ知識を活用し、時には領の法律改正をして彼らを助ける活動をはじめた。
「新領主さま、助かりました。彼らをしばらくお借りします」
「いいえ、また何かありましたらお気軽にご相談くださいね!」
頭を下げる猟師のそばで、美少年が三人ほど、がんばるねー! と合唱する。森でいたずらばかりして猟師を困らせている魔獣三頭がいると聞いたアリサは、さっそく森へと出かけ、その三頭を従魔にした。そして改めて魔法陣で召喚したところ、彼らは三つ子の美少年になった。
その三人を、猟師の手伝いとして貸し出すことにした。
アリサも、猟師もニコニコだ。
「お役に立ててよかったわ! 森は荒らされなくなったし、おじいさんの人手不足も解消!」
アリサの傍に立っている緋色の髪の美形に話しかければ、青年がゆったりと頷く。
「見事な手並みでした……素晴らしい」
唇が触れそうなほどの距離で嫣然と微笑まれてアリサは真っ赤になった。
彼は、領主の館に客として滞在中の、竜である。なぜか竜の姿でいるより人間の姿でいることの方が多く、アリサはどぎまぎすることが増えている。
「領主さまっ、次はどこいく?」
「あたし川の方に行きたいな! 魔力の匂いがするのーっ!」
わいわいはしゃぐのは、勝手についてきた美少女二名。シルキー妖精である。
「じゃあ、川の視察にしましょう! 魔獣が出るかもしれないから……二人とも、気を付けてね」
「はーい!」
しかし、ピョンピョン飛びはねるシルキーのせいで、なかなか前に進まない。
「……ええい、じれったい。背に乗れ!」
ぽん、と音がして、緋竜が姿を現した。わーいわーい、とシルキー二人が背中に飛び乗り、アリサもそれに続く。
「では、川に向けて出発!」
上空から見る村は、まだまだ小さい。発展の余地は十分にある。
「観光資源となりそうなものの発見は無理だわ……何か産業、特産品を……」
川の上流にある鉱山は、魔物が棲みついているものの宝石や魔石がとれると聞いている。その石は、特産品にできないだろうか。
「調べてみなくちゃ……」
シルキー二人も、身を乗り出すようにして飛行を楽しんでいる。
「あら? 山脈の向こうは……アーデルライト皇国なのね。旗が見えるわ」
そうです、と竜が答える。なんでも、半年ほど前に戦があり、そこにあった国がアーデルライト皇国に吸収されてしまったらしい。
「……知らなかったわ……守りを固めておかないと不安ね。王都に手紙を書きましょう」
王に知らせるか、騎士団に知らせるか。悩ましい。できればどちらとも関わりたくない。
――ここは、元の持ち主である大神官宛でいいだろう。
「でも、こんな生活も悪くないわね!」
と、すっかり満足しているアリサである。
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