【R-18】魔王を倒したはずなのに〜勇者に待っていたのは洗脳悪堕ちNTR地獄でした〜

ミズガメッシュ

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4.失踪

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「ミネルヴァのやつ、遅いな…」
「ああ…」

 いつも能天気で豪快なマチルダが、この時ばかりは心配そうに呟いた。俺もマチルダもミネルヴァの安否が気になり、不安な気持ちになっているのだ。
 ミネルヴァが三下盗賊ヤーザムの退治に向かってから数日が経った。いつものミネルヴァなら、そろそろ帰ってくるころだ。少なくとも状況報告の連絡がくれるのだが…珍しいことに何の音沙汰もないのだ。

「無事だといいんだが…」
「んー…あと少しして何の連絡もなかったら、アタシとアレンで様子を見に行こう」
「そうだな。もしも危険な目に遭っていたのだとしたら、すぐに助けに行かないとな」

 マチルダと今後の方針について話し合っていたまさにその時だった。突如空間に六芒星が出現したのだ。それを見て俺たちは安堵した。

「どうやら、取り越し苦労に終わったみたいだな」

 そして間もなく、六芒星から一人の女性が現れた。言うまでもなく、ミネルヴァだった。傷ひとつない身体で何事もなく帰ってきたようだ。

「ただいま。どうやら心配させてしまったようだな」



 ミネルヴァは俺たちに何があったのか経緯を説明してくれた。

「ヤーザムが罠を張り巡らせていると思って、かなり慎重に行動したんだ。しかし結局取り越し苦労に終わってな。あのバカにもちゃんとお灸を据えておいた」
「なんだぁ、アタシ心配したんだぞ」
「連絡が遅れてしまったな。2人には申し訳ないことをした」

 ミネルヴァは申し訳なさそうに頭を下げた。そんなミネルヴァの姿を見て、改めて思う。ミネルヴァは淡々としていて、ぶっきらぼうに見えるけど、実は感情豊かだ。

「ところで、新しい依頼があるんだ」

 俺がそんなことを考えていると、ミネルヴァはいつの間にか頭を上げていた。そしてどうやら、別の話題を切り出したようだった。

「あの三下バカ盗賊が近隣の村を随分と荒し回ったみたいなんだ。それで、復興の手伝いを依頼されたんだ」
「ヤーザムのやつ、相変わらずゲスだな」

 俺は思わずため息をついてしまう。世界に平和が訪れたのに、あいつは生き方を変えられずにいる。あいつだけが、いまだに混沌とした時代を生きているのだ。

「それで、マチルダの力を借りたいんだ」
「アタシの力かい?」
「ああ、私一人では手が回らなくてな。アレンはしばらく一人で他の依頼をこなすことになるが…問題ないか」

 そういうことならば問題ない。確かに負担は大きくなるが、最近は依頼も数件しかない。俺一人でもこなせる量だ。何より、マチルダがいけば力仕事もこなせるはずだ。百人力だろう。

「ああ、大丈夫だよ」
「ありがとう。それでは一休みしたらまた出発することにする。マチルダも準備をしておいてくれ」
「もちろん!腕がなるね!」



 数時間後、身支度を済ませたミネルヴァとマチルダは村の復興のために出発しようとしていた。

「二人とも、気をつけてな」
「おう、ありがとう。だけど心配すんな。戦いに行くわけじゃないんだ。さっさと依頼を済ませて、元気に帰ってくるからさ」
「アレンの方こそ、一人で大変だったらすぐに連絡をしてくれ」

 二人で行動するなら安心だ。むしろ俺の方こそ、依頼が大量に舞い込んでしまったらてんてこまいになってしまうかもしれないな。
 
「じゃあ、アタシたち行ってくるわ。すぐ戻るからよ」
「それじゃあ呪文を唱えるぞ」

 そしてミネルヴァが移動魔法を唱えて、二人の姿は消えてしまった。

「さてと…俺も仕事に取り掛かるか」

 二人の姿が見えなくなり、俺はぽつりと呟いた。三人で分担していた仕事を一人でやるのだから負担も大きくなる。できることを今のうちに早く済ませよう。

「そうだ。せっかくなのだから、二人が帰ってきた時には依頼を完璧にこなした状態にしておくか」

 そんなことを考えながら俺は仕事に取り掛かった。

………
……


 しかし、その時は訪れなかった。この日を境に、ミネルヴァとマチルダは行方不明になってしまったのだ。
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