19 / 65
魔物の島
10*
しおりを挟む
日が沈んで少し経った頃、島では本格的に雨が降り始めた。
雨は時間とともに暴風を伴ってだんだんと激しくなる。まるで台風が近づいている時のようだ。と言っても、この島では昨日も嵐になっていたから、これが当たり前の光景なのだろう。
このぼろぼろの船が壊れたり流されたりしないかすごく不安だ。でも、魔方陣に魔力がたまるまでどうする事も出来ない。
俺は扉が風で開かないように物を置いて封鎖し、雨漏りの激しい箇所をその場にあったもので塞いだ。快適とはほど遠い環境だけど、アニキはまだ眠っている。魔方陣はチョークの光が淡く光っているだけで、全く魔力がたまった気配はない。せめて半日くらいで使えるようにならないかな。
雨漏り対策が終わったので、上着を脱いでアニキの隣に座った。
血が痛々しいから拭ってあげたいけど、余計な事をすると起きるだろうな。取りあえず保存食を食べて空腹を紛らわし、後はすることもないので魔方陣をじっと見張る事にした。
「……!?」
ガタンと船に何かが当たり、ぎょっとして目を開ける。
見張るはずが寝ていたらしい。でも、雨がずっと降って、風で船がガタガタ揺れている以外は、船内に変化はなかった。
魔方陣も相変わらずだ。さっきから全然魔力がたまっているように見えない。今何時なんだろう。
「……うわ!?」
急に足を掴まれて、ものすごくびっくりした。
『アニキ?』
アニキが俺の足を掴んでのそりと起き上がる。光る石の瓶が船室に、黒い獣のようなアニキの影を浮かび上がらせた。
影が……黒い獣に似てる。
一瞬獣が船内に入って来たのかと思った。それとも俺の見間違いかな。久々の霊感が見せた見てはいけないものなんだろうか。
獣の影に怯えている間に、アニキが俺の上に覆い被さって来た。
「……ミサキ」
寝起きの低い声が、耳元で俺の名前を呼ぶ。そのままイヤリングをした耳を噛まれて、背筋にぞくりとした感覚が走った。
『お、起きたんですか……? どこか、痛くな……んっ』
言葉はアニキの口づけで飲み込まれた。激しく舌を吸われ、口内を執拗に舐められる。息苦しくて何も考えられなくなっても離してもらえない。
「ん……ふうっ……はあっ、はあ……」
唇と舌が麻痺するんじゃないかと思うほど口づけをされて、簡単に息が上がってしまった。アニキは、実はキスするのが好きだよな……。
ぼんやりとキスの余韻に浸っていると、アニキの手が俺のシャツにかかった。無言のままシャツを破られて、ボタンが弾け飛ぶ。ちょっともったいない気分になる。言ってくれれば脱ぐのに。
アニキは破れたシャツの隙間から覗く、俺の胸元を凝視していた。男の裸なんて見慣れているはずなのに、何がそんなに気になるんだろう。
『どうし……あ、うあっ!』
唐突にアニキが、俺の胸を指でするりと撫でた。ただそれだけなのに、ぎゅっと心臓を鷲掴みにされたような感覚におちいって、全身が総毛だつ。アニキはそんな俺の事など気にする事なく、そのままつづけて手のひらを擦りつけ、爪を立てる。
「や、やあ……うっ!」
「動くな」
必死の抵抗はなんなくアニキに押さえつけられた。でも触られた部分が熱くて、そこから痛みと快感が全身に広がっていく。心臓が苦しい。
「ミサキ……お前、悪魔に会ったな」
『っ……アニキ、やめ……痛い、あうっ』
「何を契約した……? 代償は何だ、答えろ」
アニキが心臓のあたりを撫でていた手をずらし、乳首をきゅうっと捻る。
「ひ、あああっ!!」
股間がじわりと熱くなって、俺は自分が乳首をひねられただけでイってしまった事を理解した。
『な……何で……』
「見ろ」
アニキが俺の身体を少し抱き上げると、自分の胸が朦朧とした視界に入る。破れたシャツの下から覗く俺の胸には、異世界文字で描かれた黒い模様が円のように浮かび上がっていた。
『こ、これ……』
アニキと一緒に薬を飲んで、心臓が締め付けられたように苦しくなったあの一瞬を思い出す。きっとあの時に付いたんだ。
「悪魔との契約の証だ。だが、俺のものとは少し模様が違っているな」
アニキがそう言いながら黒い模様を指で撫で上げる。模様を触られる度に、イったばかりの身体に新たな快感の波が押し寄せた。
***
多分アニキは怒っている。
俺が勝手な事をして、悪魔と契約をしたから。契約の内容を話せばさらに激怒するかもしれない。
あれからシャツだけじゃなく、ズボンも靴も靴下も濡れた下着も脱がされて全裸にされていた。何がいるか分からないかび臭い廃船で全裸はちょっと嫌だ。でもアニキが怒っているのだから、抵抗できる訳がない。
「ん、ううっ……」
一年以上何も侵入していなかった場所に、アニキの指が出入りしている。それもゆっくりと。腰が砕けそうだけど、四つん這いで腰を高く上げろとアニキに命令されているから必死で耐える。
「話す気になったか?」
アニキが優しい声で俺に聞く。
いや、話したいけど今は無理。こんな状況で話せる訳ないから。
『あ、悪魔……会って、アニキ、の……はあっ……』
「お前も強情だな」
アニキはそう言って、グチュグチュと指を動かし、身体の中の気持ちいい部分を指で叩いた。
駄目だ。意識が飛ぶ。ていうかアニキ、絶対俺の話聞く気ないだろ!
雨は時間とともに暴風を伴ってだんだんと激しくなる。まるで台風が近づいている時のようだ。と言っても、この島では昨日も嵐になっていたから、これが当たり前の光景なのだろう。
このぼろぼろの船が壊れたり流されたりしないかすごく不安だ。でも、魔方陣に魔力がたまるまでどうする事も出来ない。
俺は扉が風で開かないように物を置いて封鎖し、雨漏りの激しい箇所をその場にあったもので塞いだ。快適とはほど遠い環境だけど、アニキはまだ眠っている。魔方陣はチョークの光が淡く光っているだけで、全く魔力がたまった気配はない。せめて半日くらいで使えるようにならないかな。
雨漏り対策が終わったので、上着を脱いでアニキの隣に座った。
血が痛々しいから拭ってあげたいけど、余計な事をすると起きるだろうな。取りあえず保存食を食べて空腹を紛らわし、後はすることもないので魔方陣をじっと見張る事にした。
「……!?」
ガタンと船に何かが当たり、ぎょっとして目を開ける。
見張るはずが寝ていたらしい。でも、雨がずっと降って、風で船がガタガタ揺れている以外は、船内に変化はなかった。
魔方陣も相変わらずだ。さっきから全然魔力がたまっているように見えない。今何時なんだろう。
「……うわ!?」
急に足を掴まれて、ものすごくびっくりした。
『アニキ?』
アニキが俺の足を掴んでのそりと起き上がる。光る石の瓶が船室に、黒い獣のようなアニキの影を浮かび上がらせた。
影が……黒い獣に似てる。
一瞬獣が船内に入って来たのかと思った。それとも俺の見間違いかな。久々の霊感が見せた見てはいけないものなんだろうか。
獣の影に怯えている間に、アニキが俺の上に覆い被さって来た。
「……ミサキ」
寝起きの低い声が、耳元で俺の名前を呼ぶ。そのままイヤリングをした耳を噛まれて、背筋にぞくりとした感覚が走った。
『お、起きたんですか……? どこか、痛くな……んっ』
言葉はアニキの口づけで飲み込まれた。激しく舌を吸われ、口内を執拗に舐められる。息苦しくて何も考えられなくなっても離してもらえない。
「ん……ふうっ……はあっ、はあ……」
唇と舌が麻痺するんじゃないかと思うほど口づけをされて、簡単に息が上がってしまった。アニキは、実はキスするのが好きだよな……。
ぼんやりとキスの余韻に浸っていると、アニキの手が俺のシャツにかかった。無言のままシャツを破られて、ボタンが弾け飛ぶ。ちょっともったいない気分になる。言ってくれれば脱ぐのに。
アニキは破れたシャツの隙間から覗く、俺の胸元を凝視していた。男の裸なんて見慣れているはずなのに、何がそんなに気になるんだろう。
『どうし……あ、うあっ!』
唐突にアニキが、俺の胸を指でするりと撫でた。ただそれだけなのに、ぎゅっと心臓を鷲掴みにされたような感覚におちいって、全身が総毛だつ。アニキはそんな俺の事など気にする事なく、そのままつづけて手のひらを擦りつけ、爪を立てる。
「や、やあ……うっ!」
「動くな」
必死の抵抗はなんなくアニキに押さえつけられた。でも触られた部分が熱くて、そこから痛みと快感が全身に広がっていく。心臓が苦しい。
「ミサキ……お前、悪魔に会ったな」
『っ……アニキ、やめ……痛い、あうっ』
「何を契約した……? 代償は何だ、答えろ」
アニキが心臓のあたりを撫でていた手をずらし、乳首をきゅうっと捻る。
「ひ、あああっ!!」
股間がじわりと熱くなって、俺は自分が乳首をひねられただけでイってしまった事を理解した。
『な……何で……』
「見ろ」
アニキが俺の身体を少し抱き上げると、自分の胸が朦朧とした視界に入る。破れたシャツの下から覗く俺の胸には、異世界文字で描かれた黒い模様が円のように浮かび上がっていた。
『こ、これ……』
アニキと一緒に薬を飲んで、心臓が締め付けられたように苦しくなったあの一瞬を思い出す。きっとあの時に付いたんだ。
「悪魔との契約の証だ。だが、俺のものとは少し模様が違っているな」
アニキがそう言いながら黒い模様を指で撫で上げる。模様を触られる度に、イったばかりの身体に新たな快感の波が押し寄せた。
***
多分アニキは怒っている。
俺が勝手な事をして、悪魔と契約をしたから。契約の内容を話せばさらに激怒するかもしれない。
あれからシャツだけじゃなく、ズボンも靴も靴下も濡れた下着も脱がされて全裸にされていた。何がいるか分からないかび臭い廃船で全裸はちょっと嫌だ。でもアニキが怒っているのだから、抵抗できる訳がない。
「ん、ううっ……」
一年以上何も侵入していなかった場所に、アニキの指が出入りしている。それもゆっくりと。腰が砕けそうだけど、四つん這いで腰を高く上げろとアニキに命令されているから必死で耐える。
「話す気になったか?」
アニキが優しい声で俺に聞く。
いや、話したいけど今は無理。こんな状況で話せる訳ないから。
『あ、悪魔……会って、アニキ、の……はあっ……』
「お前も強情だな」
アニキはそう言って、グチュグチュと指を動かし、身体の中の気持ちいい部分を指で叩いた。
駄目だ。意識が飛ぶ。ていうかアニキ、絶対俺の話聞く気ないだろ!
12
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる