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悪魔との契約
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魔法関連部の異世界担当課で働くようになってから半年が過ぎていた。
出張の多い如月のかわりに、俺は先輩のウメさんに文字の読み書きや、簡単な魔方陣の描き方を教わっていた。
なかなか魔方陣の仕組みが覚えられなくて、スパルタのウメさんの指導のもと、朝から晩までひたすら魔方陣を描いて過ごしたり、異世界から飛ばされてきた動物たちの世話をしたりと、忙しい日々を過ごしていた。
そんなある日、俺は資料を取ってくるよう如月に頼まれて、王宮の図書館に来ていた。
王宮図書館といっても、日本ほど大量の本がある訳じゃない。
こっちの世界には漫画がないし、街に本屋というものがないから、娯楽としての読み物の本はかなり少ない。
異世界担当の人達は何度か日本に来ているので、当然日本の本屋事情を把握している。
日本に出張して小説や漫画を読むと、帰って来た後でそれが恋しくなるらしく、同じ課の先輩達の最初の質問は「好きな漫画は?」だった。
もっとも如月は漫画を読んだ事は無いみたいで、小説専門らしい。俺は逆に小説なんてほとんど読まなかったから、如月とは全然話があわなかった。
そんな訳で、王宮図書館にあるのは歴史書や魔法書や資料集ばかりだった。
図書館にいる若い兄さんに、どこに何があるのか聞いてまわる。
説明を聞いている途中、若い兄さんの言葉に引っかかった。
『事件の資料集があるんですか?』
「そうです」
『アルマの事件とか?』
「それは極秘文書ですから閲覧は禁止ですね。でも、それ以外なら申請すれば閲覧できますよ。最近の物だと、グリモフ事件とか」
グリモフ事件!
モフモフのゆるキャラ、ではなくあのオカマの犯罪者……。
「興味がお有りでしたら閲覧しますか?」
俺の表情が変わったんだろう。
若い兄さんは気を利かせてそう言ってくれた。頷いて閲覧予約を取ると、取りあえず先に如月に頼まれた資料を探した。
グリモフがあれからどうなったのか、正直ずっと気になっていた。
如月には聞けなかったけど、休日にグリモフ邸を訪れたりもした。今では家に誰も住んでいなくて、退屈そうな警備兵が入り口に立っているだけだったけど。
如月に聞けなかったのには理由がある。
うかつに話すとアニキの事がばれてしまいそうだからだ。
でも、グリモフの命を狙っていたアニキがその後、事を起こしたのかかなり気になっていた。
俺は仕事が終わるとすぐに、辞書を片手に王宮図書館に向かった。
魔法関連部の異世界担当課で働くようになってから半年が過ぎていた。
出張の多い如月のかわりに、俺は先輩のウメさんに文字の読み書きや、簡単な魔方陣の描き方を教わっていた。
なかなか魔方陣の仕組みが覚えられなくて、スパルタのウメさんの指導のもと、朝から晩までひたすら魔方陣を描いて過ごしたり、異世界から飛ばされてきた動物たちの世話をしたりと、忙しい日々を過ごしていた。
そんなある日、俺は資料を取ってくるよう如月に頼まれて、王宮の図書館に来ていた。
王宮図書館といっても、日本ほど大量の本がある訳じゃない。
こっちの世界には漫画がないし、街に本屋というものがないから、娯楽としての読み物の本はかなり少ない。
異世界担当の人達は何度か日本に来ているので、当然日本の本屋事情を把握している。
日本に出張して小説や漫画を読むと、帰って来た後でそれが恋しくなるらしく、同じ課の先輩達の最初の質問は「好きな漫画は?」だった。
もっとも如月は漫画を読んだ事は無いみたいで、小説専門らしい。俺は逆に小説なんてほとんど読まなかったから、如月とは全然話があわなかった。
そんな訳で、王宮図書館にあるのは歴史書や魔法書や資料集ばかりだった。
図書館にいる若い兄さんに、どこに何があるのか聞いてまわる。
説明を聞いている途中、若い兄さんの言葉に引っかかった。
『事件の資料集があるんですか?』
「そうです」
『アルマの事件とか?』
「それは極秘文書ですから閲覧は禁止ですね。でも、それ以外なら申請すれば閲覧できますよ。最近の物だと、グリモフ事件とか」
グリモフ事件!
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「興味がお有りでしたら閲覧しますか?」
俺の表情が変わったんだろう。
若い兄さんは気を利かせてそう言ってくれた。頷いて閲覧予約を取ると、取りあえず先に如月に頼まれた資料を探した。
グリモフがあれからどうなったのか、正直ずっと気になっていた。
如月には聞けなかったけど、休日にグリモフ邸を訪れたりもした。今では家に誰も住んでいなくて、退屈そうな警備兵が入り口に立っているだけだったけど。
如月に聞けなかったのには理由がある。
うかつに話すとアニキの事がばれてしまいそうだからだ。
でも、グリモフの命を狙っていたアニキがその後、事を起こしたのかかなり気になっていた。
俺は仕事が終わるとすぐに、辞書を片手に王宮図書館に向かった。
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