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第一の街
しおりを挟むスパンッ スパンッ
心地いい音が響く。
それと同時に射抜かれたグリーンワームが金色の粉に変わっていったのが見えた。
どうしてアルザスが正確に的(モンスター)を射抜けるのかとても不思議だったから、詳細を聞いてみたら、どうやらスキル【弓術】を取っているらしい。
まだレベルが低いせいもあるからか、100発100中ではなかったが、それでも100発85中当てることができるのだから凄いと思う。
きっと私がやったら100発10中…まさに10分の1しか当たらないであろう。
ふんっ。
別に悔しくなんて無いもんね!
…今度弓の練習してみよう。
今のところスライムちゃんを2体とグリーンワームを1体倒している。
休憩の合間合間にアルザスの弓の腕を見せてもらっている次第だ。
現在アルザスのレベルは2
私は3で変わりなし…。
くっ…アルザスの成長期めっ!
「るしさん、そんな恨みがましい目で見ないでくだせぇ。」
「ふん。別に恨みがましい目で見てないですよ。」
「ならいいんですけどね。あっ、そういえば、俺、第一の街に着いたらジョブチェンジする予定なんだよ。」
「おー。何になるんですか?」
アルザスは恥ずかしそうに頬をカリカリと?く。
「鍛冶士だよ。弓を使ってる鍛冶士って、やっぱおかしいか?」
おお。鍛冶士になるんですか?じゃあ、私の武器も是非っ。
「いいんじゃないですか?今度武器とか作って下さいよ。」
「おう!」
と、2人で雑談をしながら第一の街を目指して歩いた。
その時、アルザスが嬉しいけど、どこか悲しそうな、申し訳無さそうな顔を浮かべていたのを私は見逃さなかった。
大きなアクシデントもなく、無事に第一の街に着いた。
私1人だったらもっと早くついたのだけど、アルザスは飛べないから歩きでここまで来たのである。
「るしさん。すまないな。あんただけだったらもっと早くついただろうに。」
なんだ。アルザスはそんなこと考えてたのか。
気にする事はないと言っておいたのに。
やっぱりいい奴だな。
内申点アゲアゲだ。
「いえいえ、道中楽しかったですし、ドロップ品も貰うことができたので、アルザスが心配することはないですよ?」
実際、ドロップ品全部貰っちゃったし…。
「そうか。ならいいんだが…。何かあったら俺に相談してくれ。あんたは俺の命の恩人だからな。困った時はお互い様だ!」
「はい。頼りにさせていただきます。では、アルザスさん。また会う日が来たらその時はよろしくお願いしますね。」
「おう。任せとけ。じゃあな!」
「はい。お元気で。」
アルザスと別れて街を探索する。
サービス初日というだけあって、多くのプレイヤーが集まっている。
うう…人が多すぎる。
人がゴミのようだぁ!(人以外の種族もたくさんいます。)
このセリフを大声で言ってみたいわぁ~。
…恥ずかしいわ…やっぱり…辞めとこ。
何か急にザワザワし始めたなぁ。
どうしたんだろ。
まっ、いっか。
この街に着いてからやることはもう決めてある。
1…まず、宿屋を探そう。
2…ギルドに行ってギルドカードを登録しよう。
3…酒場に行ってこの世界の情報を集めよう。
東堂さん曰く、宿屋でログイン/ログアウト出来るらしい。
また、運営さんの趣向で第一の街にはギルドの中に酒場が設けられおり、異世界に行ったかのような気分を味わえるらしい。
もう十分異世界感を味わってるけどね。
人混みをかき分けて進んでいると広場に着いた。
パッと見危なそうな建物はあの黄色の蛍光色の建物だな。
広場にはテレビ画面のようなものが浮いていた。
これが生中継でいろんなプレイヤーを見ることができるやつか…
テレビ画面って言っても、大きさは全然違う。
一つ一つが結構デカイ。
そのテレビ画面はLive台と呼ばれ、1番台から5番台まである。
1番台は最前線で活躍している人を移している。
2番台は最前線周辺を移している。
3番台は宝箱を開ける人を移している。
4番台は自由に様々な場所を移している。
5番台は第一の街周辺の人を移している。
この世界には宝箱というものが存在しており、モンスターを倒した時に稀におとしたり、未踏区域に設置されたりしている。
プレイヤー達の勇姿を撮って、それをLive台に放映してくれているのは小型飛行ロボ(ミリ単位の大きさのロボ)である。
それは、プレイヤーの邪魔にならないよう、背景に溶け込む機能が搭載されており、現実では有り得ないような大きさに改良したテレビカメラで、通称ミリカメと呼ばれている。
ちなみに宝箱の種類はと言うと、
赤宝箱…☆1~3が当たりやすい☆4~8も絶対に出ないってことは無いはずの宝箱。
青宝箱…☆2~4が当たりやすい宝箱☆1や5~8が絶対当たらんってことは無いはずの宝箱。
金宝箱…☆5以上が確実にでる宝箱。
見つけたらラッキーだね。
1番台に目を向けると最前線にいる攻略組が戦ってた。
最前線って言ってもまだ第一の街周辺だけどね。
気になる3番台に目を向けると、1組のパーティーが赤宝箱を開けるところだった。
結果は言うまでもなく☆1でした。
残念だったね?
テレビ鑑賞はそこまでにしといて探索を再開する。
宿屋を見つけきゃ。
道なりにまっすぐ進んでいると、ナイスネーミングセンスな宿屋を発見した。
『妖精の森』
ね?いい名前の宿屋でしょ?
こう、直感でピーンときたんだよね。
ここにしよう!そうしよう!!
コミュ障発動っ!
「あ…あの…!一週間程この宿屋に滞在したいのですが」
女将さんらしき人が出てきた。
見た目40アラフォーだけど、めっちゃ綺麗な人だ!
耳が異様に長い…もしかして、エルフ?
その人は一瞬びっくりしたように目を見開いたが、ベテランさんだからなのか、何事も無かったかのように
「一週間ですか?その場合でしたら銀貨7枚になります。うちは朝昼夜のご飯付きで、ほかの宿屋にはないお風呂もついているので、少しお金が高めに設定されているんです。」
お風呂っ!!
「お願いします。」
お風呂は大事だよ。
死活問題に関わってくるよ。
しかもこの街の宿屋にはここ以外お風呂が無いんだって?
いい宿屋さんを見つけれて良かったよ。
ホントに。
ほかの宿屋はお風呂の代わりに井戸が設置されており、井戸で汲んだ水で体を洗うらしい。
衛生上、危なそうな気がするのは私だけだろうか。
ま、ゲームの世界だから衛生とか、そういう概念がなさそうだな。
また、お風呂に入らなくても【生活魔法(クリーン)】を使うとあら不思議。
服の汚れや体の汚れが落ちるらしい。
この魔法はあるクエストをクリアすると貰える報酬のようだ。
是非手に入れたい。
私は日本人だから、お風呂は必需品だ。
井戸だけだともの寂しくなる。
※(リアルではちゃんとお風呂入っています。)
この世界は日本円やドルなど、現代のお金は使われてなく、《白金貸・金貨・銀貨・銅貨》が主に使われている。
違う世界にいるんだという事を改めて感じさせられるよ。
白金貸の上は存在しない。
金貨10枚で白金貸1枚
銀貨10枚で金貨1枚、100枚で白金貸1枚。
銅貨10枚で銀貨1枚。
100枚で金貨1枚、1000枚で白金貸1枚。
チュートリアルで貰えるお金が金貨3枚だから、実に全財産の約3分の1をはたいてこの宿屋に泊まるわけだ。
痛いけど、宿屋を確保しておくことは大事なことだ!
「では、お名前をこちらにお書き下さい。」
日本語で書くと、自動的にこの世界の文字になるようだ。
もちろん、読む場合でも翻訳されて、読むことが出来る。
「るし様でございますね。私は当店の女将のアリシアと申します。なにか不自由な点がありましたら申し付けください。こちらがるし様のお部屋番号の鍵になっております。」
鍵を受け取り、ついでに冒険者ギルドの場所も聞いてみる。
「ギルドなら広場にありますよ。黄色の蛍光色の建物ですからすぐお分かりになると思います。」
「おぉ…。アリシアさん。何から何までありがとうございます!」
女将さんはNPCだけど、本当に人が操作してるみたいだ。
自律型NPCってやつだな…。
技術の進歩が凄いです。
早速、来た道を戻りギルドを探す。
あの危なそうな蛍光色の建物がギルドだったのか…驚きだ。
広場に着くとすぐにギルドが見つかった。
…近づきがたい…くっ…
うぅ…勇気を出してギルドに入ろう!
何があったってもう驚かないぞっ!
…って、あれ?簡単に足を踏み入れることが出来たよ?
少し拍子抜けだ。
うわぁぁ。
すごい賑やかだ!熱気がムンムンするよ!?
情報通り、酒場が併設されてる!
外装と違って中はちゃんとしてるんだね。
想像してたのとほとんど同じだぁ。
感動だよ、感動しまくりだよぉ。
なんかすごい視線を感じるけど気のせいだよね?心なしか少し賑やかさが静まったような気がするけど…。
……。気にしない、気にしない♪
早速、ギルドカウンターに向かう。
受付嬢さんだ!!可愛いっ。
結構露出度高めの服だなぁ…。
私だったら絶対着れないよぉ。
はぁ、話しかけるの緊張する…。
「えと…あの…ギルドカードの登録をしたいのですが…。こ…ここで登録出来ますか?」
はい。コミュ障発動っ。
「…っはい、出来ますよ。ギルドランクについての説明があるのですが、聞きますか?」
これは聞いておかないといけないな。
この世界のギルドがどんな仕様になってるのか気になるし。
「あ…お願いします。」
「はい。まず、ギルドカードには、ランクというものがありまして、 D C B A S SSランクとあります。Dが一番低く、SSが最高ランクとなっており、誰もがランクDからのスタートとなっております。ギルドから出されるクエストは自分のランクの1つ上のクエストまで受けることができます。例えばランクDの人はその一つ上のランク、Cランクのクエストを受けることができます。多くのクエストをクリアすることによって自分のランクを上げることができますよ。ランクを上げる時にランク昇格試験がありますので、その試験を無事乗り越えることで晴れて自分のランクをひとつ上げることができます。
次に、ギルドカードにはモンスターの討伐数が種属ごとに記載されます。討伐数は、モンスターに止めを刺した時にカウントされます。この時、他の人にモンスターの止めを刺された場合、その人の討伐数がカウントされ、自分の討伐数にはカウントされませんので、横取りにはお気をつけ下さい。また、パーティーを組まれた場合も同様なので、それでよく揉めたりますね。例えば、レア度の高いモンスターの止め誰が刺すか、ですね。レア度が高いモンスターを倒すことで自分のカードにそのモンスターの討伐数が刻まれますから。
最後に、先程の討伐数が関係ある話なのですが、週一度、太陽の日に、ギルドのランキング掲示板に総合討伐数のランキングが掲載されます。ランキングは51位から圏外となっております。特に利点はありませんが、一つあげるとすれば、有名になれる、くらいですかね。
あっ、ギルド登録料は発生しませんが、ギルドカードを紛失してしまった際には、再発行時に銀貨1枚の料金が発生しますのでお気をつけ下さい。」
なるほど、自分のランク1つ上のクエストまでしか受けることが出来ないのか。
てか、討伐数がギルドカードに記載されて、週一度にランキングとして貼り出されるとかっ!
何としてでもランキングに入らなければ。
…入れたら、カッコイイじゃないか。
まぁ、それは置いといて。
ギルド登録時にお金がかからないというのは有難い。
宿屋で痛手を負ったからね。
太陽の日っていつなんだろう。
受付嬢さんに聞いてもハテナマークを浮かべそうだな。
きっとこの世界では、当たり前に使われている曜日的なものなのだろう。
後でググッとこ。
おっと、ここで確認しとかなくてはいけないことがあったな。
「ランクを上げることによって何かいいことがあるのですか?」
「そうですね。一部のレストランでの料理が無料になったり、有名になれたり、王城にある禁断の図書館の本の閲覧が可能になりますね。」
禁断の図書館…そそりますなぁ。
「詳しい説明ありがとうございます。わかり易かったです。」
ふふふ。と受付嬢さんが笑った。
笑っても可愛いなぁ。あはははは。
「貴方は律儀な人ですね。ふふ。では、こちらの用紙に自分の名前、種族、ジョブを記入してください。」
受付嬢さんから紙を受け取り、書き込む。
名前 るし
種族 堕天使
ジョブ 剣士
「お願いします。」
記入した紙を受付嬢さんに渡す。
紙を見て軽く目を見開いていたけど、すぐに気を取り直したようで、
「ギルドカードを作成してきますので今しばらくお待ち下さい。」
と言って、パタパタと受付嬢さんが奥に行きました。
now1人です。
1人で待ってる時って何かソワソワするよね。
私の場合、挙動不審になっちゃうよ。
視線がいっぱい飛んでくるぅ…
やっぱり気のせいじゃなかったんだぁ。
受付嬢さん早く戻って来てぇぇぇ(涙目)
多くの視線に耐えて待つこと1時間。
こんなに耐えているのだから、スキル一つぐらいもらえないものなのだろうか。
たとえば【気配察知】とか。
やっと受付嬢さんが帰ってきた。
よかった~寂しかったよぉ。
「るし様。ギルドーカード発行完了致しました。長くお待たせしてすいません。今日は何故かカードを発行する人が多くて…。あ、これをどうぞ。」
銅の色のギルドカードを貰う。
あっ、名前の横にDって入ってるや。
異世界っぽい!ぽいよ!
ちなみに、
Dランクが銅色
Cランクが銅褐色
Bランクが銀色
Aランクが金色
Sランクが透明
SSランクが透明な水色
となっている。
透明な水色…ほしい…。じゅるり。
この世界を探索しつつ、ランクを上げていこうと思う。
受付嬢さん…来るの遅すぎるよ…可愛いから許すけど。
受付嬢さんにきちんとお礼を言ってギルドを出る。
宿屋に戻って今日は一旦ログアウトしよう。
現在時は22:06分。
うん。明日もあるし今日はここまでにしとこうかな。
私は推薦組だから、12月だけどもう大学受験は終わっているのだ。
なので、午前中に学校行って帰ってくるだけ。
勝ち組なのだ!
ふふふ。
明日のお昼が楽しみだ!
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