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サブイベントep1
第34変 クレアはどこに?
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(だよね、そう聞いてくるよね! でも、正直、先生のその笑顔なのに目が笑ってないって言うの怖いんでやめてくれません!?)
「そ、その、これから友達になりたいんですけど、居場所が分からなくって困ってるんです」
「友達に? フッ――」
先生は口元を手の甲で抑えながら、微かに笑った。
「君は友達を探してるんじゃなく、友達になるためにその子を探してるのかい?」
「はい、そうですが?」
「フッ、ハハ――そう、そうか、君は面白いね」
「そうですか――?」
先生がプルプルと震えながら笑っているのを見ながら、自身の考えを振り返ってみる。確かに、友達になるためにその子を探すのは不思議なのかもしれない。
(いや、でも、よく電車内で気になる異性を見つけて、あの人は誰だろう的な感じで調べるのとかって漫画であるよね!? あ、あれ――でも、こういうのってストーカーとかああいう感じのに繋がるからダメとか!? そ、そんなこと、ない……よね?)
思わずサアッと血の気が引いていく。
「あ、あの――」
「いないよ」
「は、い――?」
とりあえず、クレアの情報を聞いて悪用はしないことを示そうと声を上げたのだが、先生はひとしきり笑い終わった後、いつものようにニコリと笑いながらそう言った。
「だからさ、先生の伝承学の受講生の中に、クレアという学生はいないよ。名簿を見せる事もできるけど、見るかい?」
「あ、いや、大丈夫、です……」
(クレアがいない――ゲームと内容が違ってる?)
クレアがいない事実に少なからず衝撃を覚えながらも、この講義にいないだけで他の講義には出ている可能性もあるため、とにかくしらみつぶしに探していくしかないかと肩を落とした。
(もしかしたら、主人公であるルチアーノと友達にならなかったのが原因で伝承学の講義を受けていないのかなあ……)
「ご期待に沿えなかったようで悪いね。それで――他に質問はあるかい?」
(質問――他に? …………どうしよう、ない。ないけど、ココアはまだちょっと熱くて飲めないだろうし、せっかく出されたのに、飲まずに帰るなんて出来ないし……何か、何か――)
「そ、そういえば、さっきの講義の話なんですけど、せ、先生は【神派】ですか、【創造主派】ですか?」
「ああ、これはまた、答えにくい質問をズバッと聞いてくるね。うん、そうだねぇ……一つ忠告しておくけど、どの派閥を信仰しているのかは個人の自由で、他人に強要できるモノじゃあない。だけど、この派閥っていうのは現在、かなりの論争を生んでいる。極端な話、何派かを言った時点で他の派閥に殺されるなんてこともあり得るんだよ」
先生の言葉に、そこまで考えが回らなかった自分に恥ずかしさと申し訳なさが込み上げてくる。
「す、すみません……考えが至らずに変な質問をしてしまって――」
「ああ、別にいいよ。先生は学生に教える立場だから気にしないで。ただ、君はもう少し身の周りの危険に考えを巡らせるべきかもね……」
「?」
「悪意ってものは、どこにでもあるってことさ。それよりも、ココア、冷めたんじゃないかな?」
「あ、ありがとうございます。いただきます」
先生に促され、いつの間にかちょうどいい温度になっていた甘いココアを飲む。
(あ、美味しい……でも、悪意――か)
その言葉に、胸がざわつく。
「それで、先生はどっちの派閥かって言う質問だったね――」
「え、教えてくれるんですか?」
ココアをごくごくと飲み終え、サッサと帰ってしまおうと思っていた矢先にそんなことを言われ、思わずマグカップを強めにテーブルに打ち付けてしまう。マグカップにヒビ等の欠損はないようだが、先生にとって思い出深いマグカップ(?)らしいので変にヒヤヒヤしてしまった。
「まあ、可愛い学生からの質問だからね」
「は、はあ……ありがとうございます」
「ああ、うん、可愛いは流されちゃったか――」
(……え? も、もしかして、可愛い教え子だって言ってくれたことにもっと感動すべきところだった!?)
「ハティ先生、居眠り常習犯の私を見捨てないでくれてありがとうございます! そして、これからも何卒、何卒!! よろしくお願いします!!!」
私の全力の感謝の言葉(?)を受け、ハティ先生は何故か肩を震わせて笑っていた。
「いや、そこでキョトンとした顔しないでよ。ああ、もう、本当に君は面白いなあ……居眠り常習犯って自分で言っちゃうとか」
(居眠り常習――あ……墓穴やらかした!?)
一瞬だけ背筋が冷えたが、ハティ先生が笑ってくれているので、とりあえずは見逃してくれたようだ。
(……うん、次からは居眠りしないように頑張ろう)
「まあ、とりあえず、いい感じに笑わせてもらったし、先生はどっちの派閥かって話に戻そうか――」
そう言い、ニコリと意味深に微笑まれ、そこまで興味を持っていなかったはずの内容なのに、ドキドキと続く言葉を待ってしまう。
ゴクリ――
「……」
「……」
(…………って、沈黙長ッ!!! 先生、頼みますから笑顔のまま黙らないで下さい!! なんか、間が長すぎて居心地悪――ハッ! ももも、もしかして、さっきの居眠り云々のこと、やっぱり怒ってるとか!? そ、そそそ、それとも、先生が言うように、私、とんでもないこと聞いちゃってたとか!? これ、ヤバイやつ? まさかの死亡フラグ的な!?)
グルグルと嫌な考えが頭を回り、いつの間にか冷や汗ダラダラ喉カラカラの私の前で、ハティ先生は相変わらず笑顔のまま。
(どどど、どうしよう!? 逃げる? 逃げるべき? ここは先生ぶん殴って逃げるべきところ!?)
私の混乱は収まらぬままハティ先生が黄色い瞳を細め、ゆっくりと口を開いた。
「そ、その、これから友達になりたいんですけど、居場所が分からなくって困ってるんです」
「友達に? フッ――」
先生は口元を手の甲で抑えながら、微かに笑った。
「君は友達を探してるんじゃなく、友達になるためにその子を探してるのかい?」
「はい、そうですが?」
「フッ、ハハ――そう、そうか、君は面白いね」
「そうですか――?」
先生がプルプルと震えながら笑っているのを見ながら、自身の考えを振り返ってみる。確かに、友達になるためにその子を探すのは不思議なのかもしれない。
(いや、でも、よく電車内で気になる異性を見つけて、あの人は誰だろう的な感じで調べるのとかって漫画であるよね!? あ、あれ――でも、こういうのってストーカーとかああいう感じのに繋がるからダメとか!? そ、そんなこと、ない……よね?)
思わずサアッと血の気が引いていく。
「あ、あの――」
「いないよ」
「は、い――?」
とりあえず、クレアの情報を聞いて悪用はしないことを示そうと声を上げたのだが、先生はひとしきり笑い終わった後、いつものようにニコリと笑いながらそう言った。
「だからさ、先生の伝承学の受講生の中に、クレアという学生はいないよ。名簿を見せる事もできるけど、見るかい?」
「あ、いや、大丈夫、です……」
(クレアがいない――ゲームと内容が違ってる?)
クレアがいない事実に少なからず衝撃を覚えながらも、この講義にいないだけで他の講義には出ている可能性もあるため、とにかくしらみつぶしに探していくしかないかと肩を落とした。
(もしかしたら、主人公であるルチアーノと友達にならなかったのが原因で伝承学の講義を受けていないのかなあ……)
「ご期待に沿えなかったようで悪いね。それで――他に質問はあるかい?」
(質問――他に? …………どうしよう、ない。ないけど、ココアはまだちょっと熱くて飲めないだろうし、せっかく出されたのに、飲まずに帰るなんて出来ないし……何か、何か――)
「そ、そういえば、さっきの講義の話なんですけど、せ、先生は【神派】ですか、【創造主派】ですか?」
「ああ、これはまた、答えにくい質問をズバッと聞いてくるね。うん、そうだねぇ……一つ忠告しておくけど、どの派閥を信仰しているのかは個人の自由で、他人に強要できるモノじゃあない。だけど、この派閥っていうのは現在、かなりの論争を生んでいる。極端な話、何派かを言った時点で他の派閥に殺されるなんてこともあり得るんだよ」
先生の言葉に、そこまで考えが回らなかった自分に恥ずかしさと申し訳なさが込み上げてくる。
「す、すみません……考えが至らずに変な質問をしてしまって――」
「ああ、別にいいよ。先生は学生に教える立場だから気にしないで。ただ、君はもう少し身の周りの危険に考えを巡らせるべきかもね……」
「?」
「悪意ってものは、どこにでもあるってことさ。それよりも、ココア、冷めたんじゃないかな?」
「あ、ありがとうございます。いただきます」
先生に促され、いつの間にかちょうどいい温度になっていた甘いココアを飲む。
(あ、美味しい……でも、悪意――か)
その言葉に、胸がざわつく。
「それで、先生はどっちの派閥かって言う質問だったね――」
「え、教えてくれるんですか?」
ココアをごくごくと飲み終え、サッサと帰ってしまおうと思っていた矢先にそんなことを言われ、思わずマグカップを強めにテーブルに打ち付けてしまう。マグカップにヒビ等の欠損はないようだが、先生にとって思い出深いマグカップ(?)らしいので変にヒヤヒヤしてしまった。
「まあ、可愛い学生からの質問だからね」
「は、はあ……ありがとうございます」
「ああ、うん、可愛いは流されちゃったか――」
(……え? も、もしかして、可愛い教え子だって言ってくれたことにもっと感動すべきところだった!?)
「ハティ先生、居眠り常習犯の私を見捨てないでくれてありがとうございます! そして、これからも何卒、何卒!! よろしくお願いします!!!」
私の全力の感謝の言葉(?)を受け、ハティ先生は何故か肩を震わせて笑っていた。
「いや、そこでキョトンとした顔しないでよ。ああ、もう、本当に君は面白いなあ……居眠り常習犯って自分で言っちゃうとか」
(居眠り常習――あ……墓穴やらかした!?)
一瞬だけ背筋が冷えたが、ハティ先生が笑ってくれているので、とりあえずは見逃してくれたようだ。
(……うん、次からは居眠りしないように頑張ろう)
「まあ、とりあえず、いい感じに笑わせてもらったし、先生はどっちの派閥かって話に戻そうか――」
そう言い、ニコリと意味深に微笑まれ、そこまで興味を持っていなかったはずの内容なのに、ドキドキと続く言葉を待ってしまう。
ゴクリ――
「……」
「……」
(…………って、沈黙長ッ!!! 先生、頼みますから笑顔のまま黙らないで下さい!! なんか、間が長すぎて居心地悪――ハッ! ももも、もしかして、さっきの居眠り云々のこと、やっぱり怒ってるとか!? そ、そそそ、それとも、先生が言うように、私、とんでもないこと聞いちゃってたとか!? これ、ヤバイやつ? まさかの死亡フラグ的な!?)
グルグルと嫌な考えが頭を回り、いつの間にか冷や汗ダラダラ喉カラカラの私の前で、ハティ先生は相変わらず笑顔のまま。
(どどど、どうしよう!? 逃げる? 逃げるべき? ここは先生ぶん殴って逃げるべきところ!?)
私の混乱は収まらぬままハティ先生が黄色い瞳を細め、ゆっくりと口を開いた。
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