悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~

橘花やよい

文字の大きさ
56 / 60
第8章 すてきな夜会!

(3)楽しいダンスを!

しおりを挟む
 お嬢さまと執事のペアが向かい合う。わたしも、ロゼと手を取り合った。いつもより近い距離に、きらきらのロゼのひとみがある。かわいい……。

「リリイ、緊張してる?」
「……ちょっとだけ」

 練習はたくさんしてきたけど、大丈夫かな。

 と、そこでロゼがわたしの手を離して、頬に触れてきた。ロゼとの距離がもっと近くなる……って、えっ!?

「リリイなら、平気よ。自信をもって。わたしの自慢の執事なんだから。ね?」

 至近距離で、わたしは、ロゼを見つめた。吸い込まれそうな赤いひとみに、わたしが映ってる。

「自慢の執事……か。うん! ありがとう、ロゼ」
「ええ。楽しみましょう、リリイ!」

 どこからともなく、音楽が流れだす。なめらかなメロディーは、静かな夜にぴったり。音に身をゆだねれば、自然と身体が動く。よし、ちゃんと踊れてるんじゃない!?

「リリイ、ダンスがうまくなったわね。さすがだわ!」
「ほんと? よかった! シトリンに感謝しないとだね!」
「え? どうして?」
「練習につき合ってもらったことがあるんだ。アドバイスもくれて、助かったんだよ」

 ロゼはぽかんとして、「そうなの? いつ?」と聞いてきた。

「ロゼが使い魔をひとりで捜しに行ってた、休みの日に」
「……へえ、わたしの知らないところで、いつのまにか仲よくなっていたのね」

 ぷくっとロゼの頬がふくらむ。やきもち、かな?

「あはは、いなくなるロゼが悪いんじゃん」
「今度からは大丈夫よ。お休みの日も、リリイと一緒にいるわ」

 音楽にあわせて、ロゼがくるりとターンする。ドレスがふわっと揺れた。

『いたっ!』
『ちょっと、じゃまよ!』

 ん? なんだろう……? お嬢さま同士でぶつかる事故が、たくさん起きてるみたい?

「あら。みんな、先生に見てもらいやすい場所で踊りたくて、ポジション争いになってるのね。ご褒美がほしいのよ」
「ああ、なるほど。部屋が豪華になるご褒美ね……。ロゼは、ご褒美ほしい?」

 ロゼはすこし考えてから、首をふって、照れくさそうにささやいた。

「わたしはそれよりも、リリイと楽しく踊りたいわ」
「……うん。わたしも」

 みんなを見返すために、夜会のダンスで一番になろうって思ったこともあったけど……。でも、ほかのペアとぶつかりながら踊るのは、嫌だな。いまは、この時間を楽しみたい。ロゼも同じ気持ちなら、うれしいよ。

「うまくリードするね。任せて、ロゼお嬢さま」

 笑ってロゼの手をひいた。ほかのペアとぶつからないようにしなきゃ。

「もう、リリイったら、かっこいいわね。……ありがとう。いま、すごく幸せよ」

 ロゼが頬を染めて、ふわりと笑ってくれた。それだけで、わたしも幸せだ。

 一曲が終わるころになると、ほかのお嬢さまたちはみんな疲れた顔をしていた。でも、わたしとロゼは笑ってた。すぐにつぎの曲がはじまる。よーし、もう一曲楽しもう! ――と思ったら。

「リリイ、ちょっと抜けだしましょうか」

 ロゼはわたしの手を引いて、ダンスホールを出ちゃった。えええっ、ダンスは!?
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。  しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。  そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。  そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。  大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance! (also @ なろう)

処理中です...