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第7章 二度目の実践授業は大ピンチ!
(4)ばらばらに
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「ちょ、ちょっと!? 逃げるってなに!?」
わたしが叫んだ、その直後。
グルルルル――。
低いうなり声がした。それから、むわっと迫る獣の臭い。さっきお嬢さまが走ってきた方向から――、大きな影が、姿を現した。
「……な、なに、これ」
血走った六個の目玉が、わたしを見下ろしていた。大きな大きな、犬……、のようなもの。体はひとつ。でも、首が三つに枝わかれして、その先にそれぞれの頭。
「――魔犬だ」
シトリンが、息をのんで、ささやく。
「魔界動物の中でも、凶暴な生きもの。この森にはいないはずなのに、なんで――」
鋭い牙と爪が光った。魔犬は、その爪を、勢いよくふりかざして……。
「リリイ!」
「うわっ」
飛びつかれるような形で、わたしは倒れ込んだ。わたしの上に、ロゼがおおいかぶさっている。かばってくれたんだ。
「ロゼ! 大丈夫!?」
あわててロゼの肩に手をまわして、はっとする。手に、濡れた感覚があった。おそるおそる見れば、その手は赤く染まっていた。これって……!
「ろ、ロゼ、肩! 血が! ひどい怪我……っ!」
「……平気。悪魔は人間より体が丈夫だから……。これくらいなら、すぐ治るわ」
笑ってみせるロゼは、言葉とは反対に、顔が真っ白で声もふるえている。それでも、わたしの手を引いた。
「そこの、木の陰に、隠れるわよ……」
「う、うん。でも、どうしようロゼ、血が……っ」
「平気だから、落ち着いて、リリイ……。あの魔犬、なんなのかしら」
ロゼが血の流れる肩をおさえながら、つぶやく。
「本気で、わたしたちを狙っていたわ。さすがの先生でも、魔犬なんて危険な動物を、罠にしないはず。これは授業じゃない」
それって、たまたま、危険な魔界動物に、遭遇しちゃったってこと……?
「まずいわね。いま、わたしたちは全員、魔法を使えない。太刀打ちできないわ」
くちびるをかむロゼに、わたしの鼓動もどんどん速まる。
「このままじゃ、全員怪我……どころか、死ぬかもしれないわよ!」
え、死……?
「そんな……!」
「――シトリン! 先生を見つけてきなさい。森のどこかにいるはずですわ!」
イエローさんの声がした。イエローさんもシトリンもどこかに隠れているのか、姿は見えない。
「……承知しました!」
すこし迷うような間があってから、シトリンの鋭い声が飛ぶ。
「ロゼさんとリリイさんも、ここから逃げて、先生を探して! わたしが――、おとりになって時間を稼いであげますから!」
おとり……? ま、待ってよ!
「イエローさん! そんなの、危険すぎる!」
「でもやらなきゃ。わたしがリーダーですもの。これくらいしないと……」
「でも!」
「いいから、言うことをお聞きなさいっ!」
それ以上話す時間も惜しいからか、つづけざまに、イエローさんの声がする。
「同時に動きますわよ! ――三、二、一……!」
だめ、と引き止めようとしたわたしの腕が、横からすごい力で引っ張られた。
「走って、リリイ!」
「えっ、ちょっとロゼ!」
わたしたちは、三方向に散らばった。
シトリンは、普段のゆったりした態度からは想像できない素早さで、先生を探すために。
イエローさんは、魔犬を引きつけるために。
わたしは――、ロゼに引っ張られて、わけもわからず、走った。
わたしが叫んだ、その直後。
グルルルル――。
低いうなり声がした。それから、むわっと迫る獣の臭い。さっきお嬢さまが走ってきた方向から――、大きな影が、姿を現した。
「……な、なに、これ」
血走った六個の目玉が、わたしを見下ろしていた。大きな大きな、犬……、のようなもの。体はひとつ。でも、首が三つに枝わかれして、その先にそれぞれの頭。
「――魔犬だ」
シトリンが、息をのんで、ささやく。
「魔界動物の中でも、凶暴な生きもの。この森にはいないはずなのに、なんで――」
鋭い牙と爪が光った。魔犬は、その爪を、勢いよくふりかざして……。
「リリイ!」
「うわっ」
飛びつかれるような形で、わたしは倒れ込んだ。わたしの上に、ロゼがおおいかぶさっている。かばってくれたんだ。
「ロゼ! 大丈夫!?」
あわててロゼの肩に手をまわして、はっとする。手に、濡れた感覚があった。おそるおそる見れば、その手は赤く染まっていた。これって……!
「ろ、ロゼ、肩! 血が! ひどい怪我……っ!」
「……平気。悪魔は人間より体が丈夫だから……。これくらいなら、すぐ治るわ」
笑ってみせるロゼは、言葉とは反対に、顔が真っ白で声もふるえている。それでも、わたしの手を引いた。
「そこの、木の陰に、隠れるわよ……」
「う、うん。でも、どうしようロゼ、血が……っ」
「平気だから、落ち着いて、リリイ……。あの魔犬、なんなのかしら」
ロゼが血の流れる肩をおさえながら、つぶやく。
「本気で、わたしたちを狙っていたわ。さすがの先生でも、魔犬なんて危険な動物を、罠にしないはず。これは授業じゃない」
それって、たまたま、危険な魔界動物に、遭遇しちゃったってこと……?
「まずいわね。いま、わたしたちは全員、魔法を使えない。太刀打ちできないわ」
くちびるをかむロゼに、わたしの鼓動もどんどん速まる。
「このままじゃ、全員怪我……どころか、死ぬかもしれないわよ!」
え、死……?
「そんな……!」
「――シトリン! 先生を見つけてきなさい。森のどこかにいるはずですわ!」
イエローさんの声がした。イエローさんもシトリンもどこかに隠れているのか、姿は見えない。
「……承知しました!」
すこし迷うような間があってから、シトリンの鋭い声が飛ぶ。
「ロゼさんとリリイさんも、ここから逃げて、先生を探して! わたしが――、おとりになって時間を稼いであげますから!」
おとり……? ま、待ってよ!
「イエローさん! そんなの、危険すぎる!」
「でもやらなきゃ。わたしがリーダーですもの。これくらいしないと……」
「でも!」
「いいから、言うことをお聞きなさいっ!」
それ以上話す時間も惜しいからか、つづけざまに、イエローさんの声がする。
「同時に動きますわよ! ――三、二、一……!」
だめ、と引き止めようとしたわたしの腕が、横からすごい力で引っ張られた。
「走って、リリイ!」
「えっ、ちょっとロゼ!」
わたしたちは、三方向に散らばった。
シトリンは、普段のゆったりした態度からは想像できない素早さで、先生を探すために。
イエローさんは、魔犬を引きつけるために。
わたしは――、ロゼに引っ張られて、わけもわからず、走った。
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