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第6章 退学のピンチ!
(6)来た!
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揺り起こされたのは、もうすっかり夜も深くなったころ。「リリイ、起きて」って声に、はっとして、目を覚ます。ロゼと目が合った。
「来たの?」
「ええ。かすかに気配がしたわ」
うなずきあうと、わたしたちは足音を忍ばせて、お母さんの寝室に向かった。心臓が、どきどきと鳴りだしてる。寝室の扉を、すこしだけ開けた。お母さんはベッドで眠っているみたい。月明かりのおかげでほんのりと照らされた部屋に、おかしなところはなさそうだ。
「ふふふっ」
わ、突然お母さんが笑い出した! ……寝言? 夢のなかで、いいことがあったみたいだ。
「もう、うちのお母さん、ほんとに毎日幸せそうなんだよね、うらやましいよ」
「そうみたいね。わたし、そういうひとを見ると、つい、いじめたくなっちゃうの」
「……えええっ?」
「ふふっ、冗談よ」
悪魔の冗談って、本気なのかどうなのか、わかりにくい。……半分くらいは、本気で言ってそうかも。
「あっ。リリイ、見て!」
鋭いロゼの声で、はっとした。あれが来たのかも!?
もやもやもやもや……。
お母さんの枕元に、さっきまでなかった黒い煙が生まれていた。煙はだんだんと形をつくって、猫のシルエットになっていく。そう、猫――使い魔だ!
「リリイの作戦どおりね」
「うん。楽しい夢に,使い魔は寄ってくる……!」
今日、わたしが家に帰ってきたのは、使い魔捕獲作戦を実行するためだった。
作戦はこう。わたしのお母さんは底なしに明るくて、いい夢を毎日見てる。そんなお母さんに、あこがれのアルカナ学園の話を、たーっぷり聞かせてあげるんだ。楽しい話を聞いて眠ったお母さんなら、絶対、使い魔好みのいい夢を見る。そこにまんまとやってきた使い魔をつかまえる……! うん、作戦どおり!
ロゼのひとみが、きらりと光った。
「我、ロゼの名のもとに命ずる。あの子を捕まえて!」
どこからともなくバラのツルが生まれて、使い魔めがけて飛んでいく。使い魔は驚いたみたい。だけど、ひょいひょいっとツルをよける。うわあ、すばしっこい!
しかもツルとの追いかけっこが、うっとうしくなったのか、使い魔はなんと……。窓をするりと通り抜けて、外に飛び出した!
「すり抜けるとか、そんなのあり!?」
「もう、困った子ね! ……でも、いまは先生が見ていないし、今度こそ」
ぽんっと、ロゼの体が煙に包まれる。
「――逃がさないよ!」
聞こえたのは、いつもより低い声。煙から勢いよく飛び出したのは、男の子バージョンのロゼだった。暗くてもわかる、きらきらな王子オーラ。
(う、やっぱりかっこいい……!)
ロゼはすばやく窓を開けて、外に飛び出した。……って、待って!
「ロゼ、靴は!?」
「さっき魔法ではいた! じゃ、ぼくは先に行くね!」
男の子になったとたん、ワンピースのパジャマはシャツとズボンに変わって、足もとには靴まではいていた。魔法って便利。人間のわたしは、靴をはくために玄関にダッシュするしかないのに。悲しい……。
いや、そんなことより、追いかけなくちゃ!
ばっと部屋を飛び出して、でもちょっと心配になったから、引き返す。お母さん、大丈夫かな? さすがに、さっきの騒ぎで起きたんじゃ……?
だけど、お母さんは何事もなかったみたいに、気持ちのいい寝息を立てていた。もう、能天気にもほどがあるよ、お母さん……。
「来たの?」
「ええ。かすかに気配がしたわ」
うなずきあうと、わたしたちは足音を忍ばせて、お母さんの寝室に向かった。心臓が、どきどきと鳴りだしてる。寝室の扉を、すこしだけ開けた。お母さんはベッドで眠っているみたい。月明かりのおかげでほんのりと照らされた部屋に、おかしなところはなさそうだ。
「ふふふっ」
わ、突然お母さんが笑い出した! ……寝言? 夢のなかで、いいことがあったみたいだ。
「もう、うちのお母さん、ほんとに毎日幸せそうなんだよね、うらやましいよ」
「そうみたいね。わたし、そういうひとを見ると、つい、いじめたくなっちゃうの」
「……えええっ?」
「ふふっ、冗談よ」
悪魔の冗談って、本気なのかどうなのか、わかりにくい。……半分くらいは、本気で言ってそうかも。
「あっ。リリイ、見て!」
鋭いロゼの声で、はっとした。あれが来たのかも!?
もやもやもやもや……。
お母さんの枕元に、さっきまでなかった黒い煙が生まれていた。煙はだんだんと形をつくって、猫のシルエットになっていく。そう、猫――使い魔だ!
「リリイの作戦どおりね」
「うん。楽しい夢に,使い魔は寄ってくる……!」
今日、わたしが家に帰ってきたのは、使い魔捕獲作戦を実行するためだった。
作戦はこう。わたしのお母さんは底なしに明るくて、いい夢を毎日見てる。そんなお母さんに、あこがれのアルカナ学園の話を、たーっぷり聞かせてあげるんだ。楽しい話を聞いて眠ったお母さんなら、絶対、使い魔好みのいい夢を見る。そこにまんまとやってきた使い魔をつかまえる……! うん、作戦どおり!
ロゼのひとみが、きらりと光った。
「我、ロゼの名のもとに命ずる。あの子を捕まえて!」
どこからともなくバラのツルが生まれて、使い魔めがけて飛んでいく。使い魔は驚いたみたい。だけど、ひょいひょいっとツルをよける。うわあ、すばしっこい!
しかもツルとの追いかけっこが、うっとうしくなったのか、使い魔はなんと……。窓をするりと通り抜けて、外に飛び出した!
「すり抜けるとか、そんなのあり!?」
「もう、困った子ね! ……でも、いまは先生が見ていないし、今度こそ」
ぽんっと、ロゼの体が煙に包まれる。
「――逃がさないよ!」
聞こえたのは、いつもより低い声。煙から勢いよく飛び出したのは、男の子バージョンのロゼだった。暗くてもわかる、きらきらな王子オーラ。
(う、やっぱりかっこいい……!)
ロゼはすばやく窓を開けて、外に飛び出した。……って、待って!
「ロゼ、靴は!?」
「さっき魔法ではいた! じゃ、ぼくは先に行くね!」
男の子になったとたん、ワンピースのパジャマはシャツとズボンに変わって、足もとには靴まではいていた。魔法って便利。人間のわたしは、靴をはくために玄関にダッシュするしかないのに。悲しい……。
いや、そんなことより、追いかけなくちゃ!
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