31 / 60
第6章 退学のピンチ!
(3)猫と悪夢
しおりを挟む
どうしよう。ロゼ、怒ってるみたいだ。それも、相当。
(「貧乏」って言われたからかな……)
それに、退学させられるかもっていう状況がストレスで、怒りが爆発しちゃったのかも。校舎を出て、中庭までくると、ロゼはやっと歩くのをやめた。
「ロゼ、大丈夫?」
「……ええ。ごめんなさい。わたし、ちょっと余裕がなかったみたいね」
それきり、ロゼは黙った。
(ああもう、どうすればいいのかなぁ。問題が、色々重なってるよ……)
だけど、ひとつずつ解決するしかないよね。わたしは執事だから。ロゼのために、できることをしなきゃいけないんだ。
「……ねえ、ロゼ。使い魔を捜そうよ」
「え?」
「あの猫を捕まえれば、退学しなくて済むんでしょ。だったら、まずはそこから、解決するのはどうかな?」
「そう、ね――、でも、だめだわ」
目を閉じて鼻先を空に向けたロゼは、力なく首をふった。
「使い魔の居場所が、わからないの。魔力を追っても、見つからない」
「それって、めちゃくちゃ、遠くにいるってこと?」
「遠くというより、夢の中に隠れているのかもしれないわね」
夢の中?
「あの黒猫、ひとの夢にもぐって、悪夢を見せるのが好きなのよ」
「あ。そういえば、先生も悪夢がどうこうって、言ってたっけ……」
「ええ。楽しい夢を悪夢に変えるのが、あの子の趣味みたいなのよね」
うわあ、悪魔の使い魔にふさわしい、いじわるな猫みたいだ。
(でもなんか……、引っかかるかも……。猫、悪夢……)
「ロゼ、もうすこし、その猫について聞かせてくれない?」
「え? どうしたの、急に」
ロゼはきょとんとしてから、くちびるに指をあてて考えた。
「えっと、そうね……。あの黒猫が悪夢を見せるときは、花の香りがするのよ。植物魔法が得意なわたしと相性がいいから、この学園に連れてきたの」
「へえ……、花と悪夢……」
なんか、やっぱり、もやもやする。そういう話、わたし、どこかで聞いたことなかったっけ――……。
あっ!
「ちがう! 聞いたんじゃない! わたしが、体験したんじゃん!」
「え?」
「ロゼ! わたし、その使い魔に、悪夢を見せられたことある!」
「えええっ!?」
はじめてロゼと会った日の夜のことだ。男の子バージョンのロゼのほうね。あの日、クラスの子たちと買い物に行く夢を見た。アクセのお店に行って、楽しい夢だったんだけど――。突然「リリイにかわいいものは似合わない」って言われる悪夢に変わったんだ。
あれ、使い魔のせいだったんじゃないの? 起きたとき、布団から花の香りがしたんだ。変だなあって思ったんだよね!
「そう……。まさか、リリイも被害者だったなんて思わなかったわ、ごめんなさい……」
「あ、いいのいいの。ロゼは悪くないよ!」
しゅんとするロゼを見ていられなくて、わたしはぱちんと手を叩いた。
「そんなことより、捕まえるための作戦を立てよう!」
「そ、そうね……、うーん、悪夢を見せるために魔力を使う一瞬、あの子は夢から出てくるはず。そこを狙えたらいいんだけど」
「待ち伏せってことだね」
「そう。でも、つぎにだれの夢を狙うかがわからないと、待ち伏せもできないし」
楽しい夢を悪夢にすることが好きな使い魔。それを待ち伏せする作戦……。
(あっ、それなら、いけそうかも!)
やば、今日のわたし、さえてる!
「ねえ、ロゼ。待ち伏せできるかもよ!」
わたしがにっと笑えば、ロゼは「え?」と、首をかしげた。
「ここは、わたしに任せてよ!」
(「貧乏」って言われたからかな……)
それに、退学させられるかもっていう状況がストレスで、怒りが爆発しちゃったのかも。校舎を出て、中庭までくると、ロゼはやっと歩くのをやめた。
「ロゼ、大丈夫?」
「……ええ。ごめんなさい。わたし、ちょっと余裕がなかったみたいね」
それきり、ロゼは黙った。
(ああもう、どうすればいいのかなぁ。問題が、色々重なってるよ……)
だけど、ひとつずつ解決するしかないよね。わたしは執事だから。ロゼのために、できることをしなきゃいけないんだ。
「……ねえ、ロゼ。使い魔を捜そうよ」
「え?」
「あの猫を捕まえれば、退学しなくて済むんでしょ。だったら、まずはそこから、解決するのはどうかな?」
「そう、ね――、でも、だめだわ」
目を閉じて鼻先を空に向けたロゼは、力なく首をふった。
「使い魔の居場所が、わからないの。魔力を追っても、見つからない」
「それって、めちゃくちゃ、遠くにいるってこと?」
「遠くというより、夢の中に隠れているのかもしれないわね」
夢の中?
「あの黒猫、ひとの夢にもぐって、悪夢を見せるのが好きなのよ」
「あ。そういえば、先生も悪夢がどうこうって、言ってたっけ……」
「ええ。楽しい夢を悪夢に変えるのが、あの子の趣味みたいなのよね」
うわあ、悪魔の使い魔にふさわしい、いじわるな猫みたいだ。
(でもなんか……、引っかかるかも……。猫、悪夢……)
「ロゼ、もうすこし、その猫について聞かせてくれない?」
「え? どうしたの、急に」
ロゼはきょとんとしてから、くちびるに指をあてて考えた。
「えっと、そうね……。あの黒猫が悪夢を見せるときは、花の香りがするのよ。植物魔法が得意なわたしと相性がいいから、この学園に連れてきたの」
「へえ……、花と悪夢……」
なんか、やっぱり、もやもやする。そういう話、わたし、どこかで聞いたことなかったっけ――……。
あっ!
「ちがう! 聞いたんじゃない! わたしが、体験したんじゃん!」
「え?」
「ロゼ! わたし、その使い魔に、悪夢を見せられたことある!」
「えええっ!?」
はじめてロゼと会った日の夜のことだ。男の子バージョンのロゼのほうね。あの日、クラスの子たちと買い物に行く夢を見た。アクセのお店に行って、楽しい夢だったんだけど――。突然「リリイにかわいいものは似合わない」って言われる悪夢に変わったんだ。
あれ、使い魔のせいだったんじゃないの? 起きたとき、布団から花の香りがしたんだ。変だなあって思ったんだよね!
「そう……。まさか、リリイも被害者だったなんて思わなかったわ、ごめんなさい……」
「あ、いいのいいの。ロゼは悪くないよ!」
しゅんとするロゼを見ていられなくて、わたしはぱちんと手を叩いた。
「そんなことより、捕まえるための作戦を立てよう!」
「そ、そうね……、うーん、悪夢を見せるために魔力を使う一瞬、あの子は夢から出てくるはず。そこを狙えたらいいんだけど」
「待ち伏せってことだね」
「そう。でも、つぎにだれの夢を狙うかがわからないと、待ち伏せもできないし」
楽しい夢を悪夢にすることが好きな使い魔。それを待ち伏せする作戦……。
(あっ、それなら、いけそうかも!)
やば、今日のわたし、さえてる!
「ねえ、ロゼ。待ち伏せできるかもよ!」
わたしがにっと笑えば、ロゼは「え?」と、首をかしげた。
「ここは、わたしに任せてよ!」
10
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
笑いの授業
ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。
文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。
それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。
伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。
追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance!
(also @ なろう)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる