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アレン奪還と消された秘密⑥
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「母様……」
「お前は自分さえ良ければそれで良いのか! アレンが自分の国を奪われたままで、この国で幸せになれると思うのか!」
涙を流し怒る母様に、僕は何も言えなくなってしまう。
「真実から目を背けたら、アレンはこの国で一生後悔するとは思わないのか?」
母様の言葉に涙が込み上げて来た。
「だって……父様だって、未だに時々うなされるじゃないか。僕、知ってるんだよ。父様が、母様と一緒じゃないと夜、眠れない事を」
「亜蘭……」
僕の言葉に、母様が目を見開いた。
「僕の考えは甘っちょろいのかもしれない。でもね、みんな母様みたいに強くないんだよ。僕は母様の考えとは違う。真実から目を背けたいなら、背けたままで良いと思う。誰もが真っ向から、立ち向かえる訳じゃないんだよ!」
「そこまで!」
僕が母様に反論して睨むと、父様の声が響いた。
「多朗の言い分も、亜蘭の言い分も分かる。僕達も、少し議論に熱が入り過ぎたように思う。ただな、亜蘭。これだけは伝えておく。確かに僕は、多朗が居ないと眠れない。でも、多朗が居たからこの国を悪しき政治を行う者から救い出せた。それを後悔した事は無いよ」
そう言うと、優しく微笑んだ。
「父様……」
「それから、アレンの国の秘密は、恐らくこの国にも少なからず関係があると考えられる。アレンが出会ったという、僕に似た男にも……心当たりがある。そいつがこの国で産まれ、この国の秘術でアレンに好き勝手したのを、見逃す訳にはいかないんだよ。分かるな? 亜蘭」
諭すように話す父様に
「分からない! 僕はアレンが辛い思いをするくらいなら、何も思い出さなくて良いと思っているから!」
そう叫び、席を立った。
「アレン、行こう!」
アレンの手を引っ張り、会議室を後にした。
本当は分かっている。
アレンは隣国の本当の王族で、あの国はアレンが王になった方が良い国になるのも分かっている。
でも、そうなったら……僕達に未来は無い。
龍神の加護を持つ僕は、この国から出る事は許されない。
アレンが国王になったら、僕達は別れなくちゃならない。
母様は、アレンの為って言いながらも、アレンと別れたくない僕の気持ちを見抜いていたのだろう。
母様が僕の立場なら、迷わず別れを選んで身を引くだろうけど……。
「……ん、亜蘭!」
アレンの腕を引いて無言で歩く僕を、アレンが心配そうに顔を覗き込んでいた。
「アレン……ごめん。僕……僕……」
俯いて呟く僕に、アレンがそっと僕を抱き締めると
「亜蘭、無理しなくて良いよ」
優しく微笑むアレンの背中に、縋り付くように腕を回して抱き着いた。
「お前は自分さえ良ければそれで良いのか! アレンが自分の国を奪われたままで、この国で幸せになれると思うのか!」
涙を流し怒る母様に、僕は何も言えなくなってしまう。
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母様の言葉に涙が込み上げて来た。
「だって……父様だって、未だに時々うなされるじゃないか。僕、知ってるんだよ。父様が、母様と一緒じゃないと夜、眠れない事を」
「亜蘭……」
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「僕の考えは甘っちょろいのかもしれない。でもね、みんな母様みたいに強くないんだよ。僕は母様の考えとは違う。真実から目を背けたいなら、背けたままで良いと思う。誰もが真っ向から、立ち向かえる訳じゃないんだよ!」
「そこまで!」
僕が母様に反論して睨むと、父様の声が響いた。
「多朗の言い分も、亜蘭の言い分も分かる。僕達も、少し議論に熱が入り過ぎたように思う。ただな、亜蘭。これだけは伝えておく。確かに僕は、多朗が居ないと眠れない。でも、多朗が居たからこの国を悪しき政治を行う者から救い出せた。それを後悔した事は無いよ」
そう言うと、優しく微笑んだ。
「父様……」
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諭すように話す父様に
「分からない! 僕はアレンが辛い思いをするくらいなら、何も思い出さなくて良いと思っているから!」
そう叫び、席を立った。
「アレン、行こう!」
アレンの手を引っ張り、会議室を後にした。
本当は分かっている。
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でも、そうなったら……僕達に未来は無い。
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母様は、アレンの為って言いながらも、アレンと別れたくない僕の気持ちを見抜いていたのだろう。
母様が僕の立場なら、迷わず別れを選んで身を引くだろうけど……。
「……ん、亜蘭!」
アレンの腕を引いて無言で歩く僕を、アレンが心配そうに顔を覗き込んでいた。
「アレン……ごめん。僕……僕……」
俯いて呟く僕に、アレンがそっと僕を抱き締めると
「亜蘭、無理しなくて良いよ」
優しく微笑むアレンの背中に、縋り付くように腕を回して抱き着いた。
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