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第四章 王都

第二十八話 地下牢

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 夜になったので、地下牢に行く。

 この世界でも月は美しく輝いている。月光が入ってくる廊下を歩きながら、俺は地下牢へ向かう。階段を下り、地下牢の入口に着いた。

 「待っていたよ」

 そこにはアルがいた。アルが来る必要が無いが、【技能奪取】の使ってるところを見たいらしい。

 「よし、じゃあ、いこうか」

 そう言って俺たちは歩き出した。







 俺たちは地下牢の中に入っていく。薄暗く、気味が悪い。俺はそう思いながら、歩いていく。

 「……この先で待っている」

 とアルは静かに言った。

 「そういえば、地下牢っていう割には囚人が少ないですね」
 「ここは本当に超凶悪犯しか入れない仕組みなんだ。ここに収容されているのは、確か、全員で三十人ぐらいだったはずだよ」

 そうだったのか。通りで空の牢屋が多い訳だ。

 さらに奥を歩いて行くと、一人の影が見えた。





 そこにいたのは――





 ――美少女だった。


 「よく来てくださいました。歓迎します」

 そう言って、ほほ笑んだ。


 美しい銀髪を靡かせて、違う色の両目を眠そうに擦る。




 「サプライズとか止めた方がいいのに。第二王女が待ってるなんて驚くに決まってるじゃん」

 アルがボソッと呟く。

 「初めましてですね。私は第二王女のスノウです。どうぞ、よろしくお願いします」

 そう言って手を差し伸べてくる。俺は握手を返す。

 「【異界勇者】の卵の方に地下牢を案内するように言われています。どうぞ、こちらに」

 王女が歩き始めた。俺はそれを慌てて追う。

 「てか、第二王女様が出歩いて大丈夫なの? 警護とかもそうだけど、一番重要なのが魔力欠乏症じゃなかったけ?」
 「警護の方は影から護衛隊が見張ってます。魔力欠乏症は毎日、一定の魔力供給でどうにかなります。しかも、貴方様の純度の高い魔力を大量にストックさせてもらいましたので、後数年は大丈夫です」
 「そっか」

 アルは軽く王女と話しているが、俺はそんな気にはなれなかった。

 ここまでの美少女が近くにいて、話しをするなんて、俺には無理だ……!

 なんて、悶々と葛藤していたが、王女様から声をかけてくれた。

 「そういえば、カケル様。王城へ住むことになったんですよね」
 「え、えぇ」
 「なら、これから仲良くしていきましょう」

 ニコニコと笑顔を向けてくる。

 めっちゃ、可愛い……

 「はい。これから仲良くしましょう」

 俺がそう返すと、彼女は元気こう返した。

 「はい!」










 「さて、ここが、【獄罪の間】です。ここに収容されているのは数人しかいません。こいつらから、技能《スキル》を奪えるのなら奪ってください」

 辿り着いたのは、十字架が五つ並んでいる場所だった。全員が十字架に磔にされていた。中には美人な女もいる。しかし、全員、人生に絶望、後悔したような顔をしていた。


 「……殺すのか」


 か細い声で一人の囚人が言った。まるで、全てに絶望したような声だった。

 「いえ、殺しはしませんよ」

 そう言って、王女がこっちを向く。

 「どうぞやってください」

 俺は囚人に触れる。あっという間に、十秒が経つ。

 【特殊技能《ユニークスキル》【多重存在】を【テル】から奪いました】
 【技能《スキル》【時空属性魔術】【次元属性魔術】【並列思考】を【テル】から奪いました】

 さらに十秒触れ続ける。

 【技能《スキル》【光属性魔術】【分析】【鑑定】を【テル】から奪いました】

 さらに奪っていく。

 すると、途中でこんな表示が出た。

 【【テル】から奪える技能はありません】

 「確かに技能を奪えてるな」

 アルが言う。すると、王女が少し考えるようにして、言った。

 「では、どんどん奪って言ってください」

 俺はそいつらから、技能を奪った。


 一人ひとりから技能を奪っていて、俺はドンドン強くなっていた。


 そして、小一時間後ぐらいか。全ての罪人から技能を奪い終わり、俺は部屋に戻った。その日はぐっすりと眠った。
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