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長編
第11話 お前ってヤツは……
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翌日の朝。
朝食は昨日のレストランとはまた違ってバイキング形式のお店だった。
集合時間である7時から15分を過ぎても瀬下が、朝食会場に現れないので、SNSやメールで連絡をする。だが既読がつかず、返信もない。
俺を含め、当真くんや御堂係長もほとんど食べ終え、コーヒーをお供にミニケーキやフルーツといったデザートを堪能する。
「あとでボクが直接部屋に行ってみます」
それは助かる。それにしても瀬下のヤツ、始業時間前とはいえ、遅刻するのは社会人としてはどうかと思う。
食べ終えて、店から出ようとした時に昨夜の3人組の男達とすれ違った。昨日は酒に酔って気が大きくなっていたからなのか今日は「あははっ、昨日はどうも」と低姿勢で謝ってきたので、「いえ、こちらこそ」と返事した。
泊まっている階まで上がって、自分の部屋に戻る前に当真くんと一緒に瀬下が止まっている部屋の前でチャイムを鳴らすが、反応がない。少し強くノックし大き目に呼びかけるが、それでも出て来ない。やむなくエレベーター前の電話でフロントに連絡した。フロントから瀬下が宿泊している客室へ電話を掛けてもらったが、やはり出なかったらしく、従業員に5階まで上がってきてもらって、カギを開けてもらった。
「瀬下?」
──寝てる?
瀬下がベッドでピクリとも動かない。
「おい、瀬下ッ! 大丈夫か?」
「ふぁい⁉ ──那珂川さん、どうしたっすか?」
強く瀬下を揺すったら起きた。
どうしたじゃないだろ。死んでるかと思った。
ため息をつきながら、時間を知らせ、御堂係長にはチェックアウト時間を30分遅らせてもらうから、急いで諸々準備するように伝えた。
ちなみにまだ酒臭い息をしていたので、昨日、解散したあとにまた飲みに行ったのか近くのコンビニでお酒を買ってきたのか。どちらにせよ遅くまで浴びるように飲んだんだと思われる。
まったく……もし今日、瀬下が運転手だったら、とてもじゃないがハンドルを握らせられない。
自分の客室に戻り、部屋を片付ける。
ベッドを元通りまでのメイキングは必要ないが、部屋を見苦しくない状態くらいまでは整える。使用後のタオルを洗面所のカゴにひとまとめにし、掛け布団は軽く整える。以前、ホテルで掛布団を畳んでいたが、旅館の方ではマナー違反になることに気が付き、ホテルでも同様に畳まないように心がけるようになった。
「あ、先輩♪」
瀬下の寝坊のお陰で時間が余ってしまい、チェックアウトをした後、ロビーのソファで地元の新聞を読んでいたら、当真くんがエレベーターから出てきた。
うーん、今日もカワ……じゃなくて元気そうだ。
「先輩、ちょっとだけ海を見に行きませんか?」
そうだな……昨日は、到着が遅かったので、すぐそばに砂浜があるのに見れなかったし……。
当真くんに「じゃ行こうか」と答え、フロントに荷物を一度預けて、砂浜に向かいながら、御堂係長と瀬下が混乱しないようにSNSのグループチャットで、砂浜に行くことを書き残しておいた。
「綺麗ですね」
「そうだね」
ホテルのそばに砂浜まで降りられる階段があり、砂浜に降りて海を見渡す。
ホント綺麗すぎ……。白い砂浜に青い雲。太陽はまだ拝める高さまで昇っていないが、すごく眩しい。この瞬間にここに自分が立っていてること自体が、幻みたいに思えてくるほど夢心地な空間が目の前に広がっている。
当真くん?
ふと、気が付くと、当真くんが砂浜のちょうど満潮から干潮に向かって潮が引いたサンゴの欠片や漂流物のない真っ平らな場所に座り込んでなにかしていた。
こ、これは?
波打ち際の砂浜という無地のキャンパスに当真くんが、丸っこい字で書いたのを読んで『ゾクッ』とした。
──〝今日もいい日でありますように〟
朝食は昨日のレストランとはまた違ってバイキング形式のお店だった。
集合時間である7時から15分を過ぎても瀬下が、朝食会場に現れないので、SNSやメールで連絡をする。だが既読がつかず、返信もない。
俺を含め、当真くんや御堂係長もほとんど食べ終え、コーヒーをお供にミニケーキやフルーツといったデザートを堪能する。
「あとでボクが直接部屋に行ってみます」
それは助かる。それにしても瀬下のヤツ、始業時間前とはいえ、遅刻するのは社会人としてはどうかと思う。
食べ終えて、店から出ようとした時に昨夜の3人組の男達とすれ違った。昨日は酒に酔って気が大きくなっていたからなのか今日は「あははっ、昨日はどうも」と低姿勢で謝ってきたので、「いえ、こちらこそ」と返事した。
泊まっている階まで上がって、自分の部屋に戻る前に当真くんと一緒に瀬下が止まっている部屋の前でチャイムを鳴らすが、反応がない。少し強くノックし大き目に呼びかけるが、それでも出て来ない。やむなくエレベーター前の電話でフロントに連絡した。フロントから瀬下が宿泊している客室へ電話を掛けてもらったが、やはり出なかったらしく、従業員に5階まで上がってきてもらって、カギを開けてもらった。
「瀬下?」
──寝てる?
瀬下がベッドでピクリとも動かない。
「おい、瀬下ッ! 大丈夫か?」
「ふぁい⁉ ──那珂川さん、どうしたっすか?」
強く瀬下を揺すったら起きた。
どうしたじゃないだろ。死んでるかと思った。
ため息をつきながら、時間を知らせ、御堂係長にはチェックアウト時間を30分遅らせてもらうから、急いで諸々準備するように伝えた。
ちなみにまだ酒臭い息をしていたので、昨日、解散したあとにまた飲みに行ったのか近くのコンビニでお酒を買ってきたのか。どちらにせよ遅くまで浴びるように飲んだんだと思われる。
まったく……もし今日、瀬下が運転手だったら、とてもじゃないがハンドルを握らせられない。
自分の客室に戻り、部屋を片付ける。
ベッドを元通りまでのメイキングは必要ないが、部屋を見苦しくない状態くらいまでは整える。使用後のタオルを洗面所のカゴにひとまとめにし、掛け布団は軽く整える。以前、ホテルで掛布団を畳んでいたが、旅館の方ではマナー違反になることに気が付き、ホテルでも同様に畳まないように心がけるようになった。
「あ、先輩♪」
瀬下の寝坊のお陰で時間が余ってしまい、チェックアウトをした後、ロビーのソファで地元の新聞を読んでいたら、当真くんがエレベーターから出てきた。
うーん、今日もカワ……じゃなくて元気そうだ。
「先輩、ちょっとだけ海を見に行きませんか?」
そうだな……昨日は、到着が遅かったので、すぐそばに砂浜があるのに見れなかったし……。
当真くんに「じゃ行こうか」と答え、フロントに荷物を一度預けて、砂浜に向かいながら、御堂係長と瀬下が混乱しないようにSNSのグループチャットで、砂浜に行くことを書き残しておいた。
「綺麗ですね」
「そうだね」
ホテルのそばに砂浜まで降りられる階段があり、砂浜に降りて海を見渡す。
ホント綺麗すぎ……。白い砂浜に青い雲。太陽はまだ拝める高さまで昇っていないが、すごく眩しい。この瞬間にここに自分が立っていてること自体が、幻みたいに思えてくるほど夢心地な空間が目の前に広がっている。
当真くん?
ふと、気が付くと、当真くんが砂浜のちょうど満潮から干潮に向かって潮が引いたサンゴの欠片や漂流物のない真っ平らな場所に座り込んでなにかしていた。
こ、これは?
波打ち際の砂浜という無地のキャンパスに当真くんが、丸っこい字で書いたのを読んで『ゾクッ』とした。
──〝今日もいい日でありますように〟
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