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左江内編③

有るかも、しれない

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久々の定時上がり
疲労を訴えている身体に鞭打って、早足で帰路に着く


『晩御飯は青椒肉絲です、温めておきますね!』


俺の大好物の青椒肉絲…!!!しかも琥珀君の手作りを、暖かい状態で

久々に本人と一緒に食べられる


左「よし…伝えてみせる、絶対に」








スムーズに終える事が出来た商談の後

八雲さんに(物凄く強引に)カフェに連れて行かれて………

いつの間にか、俺の恋愛相談になっていた


引「え、本当に何もアプローチしてないんですかぁ!?ダメ過ぎますぅ!!」

左「あ、あはは…あまり大きい声で言わないでね」

引「一刻を争いますよぉ!直ぐに告白して下さい!!」

左「いやそんなに…向こうが嫌かも知れないじゃない?同居人がそんなんじゃ……」


八雲さんが、黙れと言わんばかりに綺麗なネイルを施した爪でカカカカカカッとテーブルを叩く


引「どんな経緯で住むことになったかは分かんないですけどぉ、その子は嫌そうにしてましたかぁ?」

左「………しては、ない…と思う」

引「それにぃ、いつもご飯作ってくれてるんでしょお?LIN3で献立まで行ってくれてぇ…」

左「……そう、だね」

引「しかもぉ、献立聞きましたけど…エビチリとか青椒肉絲とか何とか…全部左江内さんの大好物の中華料理じゃないですかぁ!」



そうだ、思えば琥珀君が家で料理をしてくれるようになってから

いつも食卓に並ぶのは俺が大好きな中華料理ばかりだ

……俺が中華料理好きって言った覚えは無いのに


引「愛のパワー舐めちゃダメですよぉ?好きな人の事なら何とかして調べるもんですからぁ!」

左「………う、ん」

引「…で、どうなんですぅ?少しはチャンスあると思いませんかぁ?」

左「……ある、と、…思いたい」


…チャンスが有るかも、しれない


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