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左江内編

シャワーの音が途絶えるまで

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サーサーとシャワーが流れる音がする

俺がいつも使っている風呂場で、琥珀君が体を洗っている

関節キスならぬ間接シャワー…色んな汚い感情が湧き上がるのをブンブン振り払って

水切りに皿をかけていく


左「…よし、終わった。服届けに行かないと」


タンスから一番ほつれのなく綺麗なスウェットを取り出し

パンツも過去にサイズを誤って購入してしまったものがあったから、それも持って風呂場へ向かう


風呂場に入ると、モザイクガラスの向こう側にシルエットで琥珀君の姿が見える


左「琥珀君、着替え置いておきますね」

…返事が返って来ない、シャワーの音で聞こえなかったかな?

耳を澄ますと、シャワーが流れる音と何か鼻歌のような音も聞こえる

……もしかしなくても、この音階は


琥「…~~♫、~~~♩」


wedge stoneのオリ曲『ダイヤ』じゃないか!!!



左「こ、こはくくんの、生歌だぁ………」

何度も再生を巻き戻して聞いたその部分を、本人が間近で歌っている…!!


感動して暫くの間、シャワーの音が途絶える瞬間まで聞いてしまった












あの後聞き惚れていたら、いつの間にか琥珀君が出てこようとしたのに大慌てで逃げて

リビングのソファで待っていた振りをしていた

あんなとこでただ突っ立ってたら覗きに来たと思われるだろ……!!

…正直、見たくはあったが


琥「左江内さん、お風呂ありがとうございました」

左「はい!スッキリしてくれたならよかった、で、す………」


…お風呂上がりの琥珀君は、一段と色気が増している気がする

しっとりした髪の毛、熱でピンク色に染った頬

極めつけに、俺が普段着ている紺色のスウェットを琥珀君が身につけている

小柄な琥珀君にはやっぱりダボダボしていて、袖が完全に余って手が隠れてしまっている

ズボンも裾を引き摺っているのをワシワシと掴みあげているのだ


……ヤバい、完全に、目の毒だ


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