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X2(キリストの衣)
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マケドニアの遺跡の町を逃げるホワイトジープ。
其れを追う戦闘ヘリ。
ジープを運転しているのはクリントと云う男。
(クリント、思う、)「なんで、こんな事に巻き込まれたんだ? だが、一つハッキリして居るのは、あのヘリの奴は、此のジープの積荷を狙って居る! そして、私は其れを奴に渡してはいけない、って事だ。」
##### 登場キャラクター(エネミー) 奴(メカヘッド):
奴『メカヘッド』は、世界支配を企む或る國の独裁者が、マッド・サイエンティストに製造させたロボット士官。
【その風貌は、まさにロボットなのだが、人間の情に当たるプログラムは組み込まれていない。かつての古代エジプトのエンペラー、ファラオのような仮面が頭部に被せられている。その内部はAIを搭載したチップ&ファームウェアだ。レッド&イエローライトで鋭く光るサーチアイは獲物を追い詰める。だが、実際は中身が無い、独裁者に動かされているのだ】
目的は古代スンダランド人が持って居たとされる超兵器(ラーマヤーナに記述されている)を発見し、持って帰る事。其れ故にクリントらを追って居る。攻撃ヘリを移動手段としてどこまでも追って来る。諦める事を知らないエネミー・ロボットで在る。
ヘリ、ジープに向けミサイル発射。
ジープの間近で爆発。
ジープ、崖から湖に落ちる。
ジープ、水面下へ沈む。
シーン・・・、と成る。
クリント(モノローグ)「なんてこった。一巻の終わりか。どうなるんだ? そうだ、あれが始まりだったんだ・・・。あの日、四月十九日・・・。『東マレーシア映画社』プレジデントと南海急行で会った日・・・。」
クリントは薄れる意識の中で、あの日を思い出して居た・・・・・・・・・・。
(あの日、・・・其れはこんなだった。) 二年間の潜伏生活が終わり、TARUMI*IKAWADANI@KOBEゾーンを離れる日が来た。私、クリントは、生活用品をよく購入した南京町や仕事用具仕入で世話になったNAMBAとの別れを、其の時になって寂しく思って居た。
##### 登場人物KLINT(私、クリント):
政変で逃亡を余儀無くされた男。東欧がルーツ。明石の蛸料理が好き。謎のプレジデント率いる『東マレーシア映画社』のプロジェクトに関わって居る。プレジデントは後見人でも在る。
【風貌は、東欧系でハンガリー人のようにも見える。アジア系とユダヤ系の血も引いているという。ブラウンカラーのロングヘアと蓄えられた髭が特徴だ。グリーンがかった瞳が印象的だとよく言われる。同年代の妻が居る、彼女はこの瞳に夢中だ】
プレジデントに依って『クリント』と呼ばれるが、本名非公開。二年間の日本列島潜伏を終え、旅立つ。
『四月十九日、AM五時四十五分NAMBA発、南海線空港急行内一両目第三列シートで会おう』という連絡が入ったのだ。勿論此れは通称『東マレーシア映画社』のプレジデントからだ。プレジデントは何時も唐突だ。だが、私も随分と其れに慣れて来た。其処で私は、TARUMI*IKAWADANI@KOBEゾーンからJRに搭乗した。『神戸』TO『尼崎』TO『京橋』TO『天王寺』TO『難波』・・・・・ジャポンの旧国営鉄道JRでは、此のルートでNAMBAに到着する。九百万人が行交うメガゾーンだ。NAMBAビックカメラ傍カプセルホテルで出発迄を過ごす。こうしたジャポン独特の滞在施設はヴィム・ベンダース監督ニュージャーマンSF映画『夢の果て迄も』で世界に紹介された。ヨーロピアン美女ソルベイグ・ドマルタンがまるで迷路の様なカプセルホテル通路を彷徨った。此の様なモノを思い付くアーキテクトは世界でもジャポンにしか居ないだろう。
プレジデントは予定されたシートに居た。彼の隣に座った。彼は私に、EPSONのモビリオ・ゴーグル・ディスプレイを渡した。ゴーグル・ディスプレイには一九七〇年代に撮影されたと思しき短い映画の断片が映った。二分程の、其の映像は未編集の様だ。内容は、イエズス・クリストのミラクル。その癒し。私はプレジデントに訊ねた、「何処で此の映像を?」
プレジデントは答えた、「移動しながら説明しよう。」南海線空港急行はKIX関西国際空港へ向って走る。KIXから搭乗した機はPEACH AVIATION香港行。
「香港!?」私は一瞬動揺した。プレジデントは言う、「香港にTAKAKURAが待って居る。彼は知っての通り、ロンドンのアングリカン・ライブラリーでリサーチ中だったが、其処で今君が見たフィルム映像資料を見付けたのだ。彼は一週間前に東マレーシア映画社特別通信網を介して、私に其のデジタルテレシネ映像を添付送付した。」
「ロンドン香港間フライトは約十二時間、TAKAKURAさんも大変だ。」私は苦笑した。
##### 登場人物 TAKAKURA (蔵鷹):
【風貌について言うなら、・・・アジアンダンディ。すこしまえには、ファッション雑誌にベスト・ハット・ウェアラ・アジアンダンディとして紹介されたことがある。フィリアスフォッグの持っていた様なハットからベトナム笠までかなり帽子を持っているようだ。アイウェアにも凝っている。ハイスクール時代はデザイナーになろうと思っていたが、吉村作治を読み考古学・人類学を専攻。この分野に関連してながくロンドンに滞在】
蔵は、英国紳士風の文化人類学者。考古学者。神話学者。冒険家。若い頃、世界の様々な海に潜って居た。海底に沈んだ遺跡にも詳しい。世界学会でTAKAKURAは云う、「一万二千年前に氷河期が終わった。氷河期には地球各地の温度は低かった。現在海底に沈んで居る土地にも、氷山が溶ける前は、陸地であったエリアが在る。文明の揺り篭とも呼ばれるインド亜大陸は、今よりずっと面積が大きく、現在その周辺海域に沈む宇宙山尖塔建築も、古代には人々で賑わって居た、と云う説も在る。(其の頃シシリー島と、地中海マルタ島は地続きだったのだ)
ユーチューブで話題と成って居る、エナジー発生装置『巨大シバリンガム・テクノロジー』が其の古代スーパー文明を支えた! 古代テクノロジーは測り知れない!」
文化人類学者としてのTAKAKURAは此の様にロマンチストで夢追い人でも在る。学会で相手にされ無い事も多々在り、私財を投げ打って世界リサーチも進めて居る。同時に民主主義者としての彼の著書も多い。近年、国際的にも民主主義の牙城で在るロンドンに居る事が多い。ロンドンでの根城はウエストエンドと『八十日間世界一周』の主人公フィリアス・フォッグも住んで居た紳士のストリート「サビルロウ」に在る。「サビルロウ」周辺で散歩するTAKAKURAを見掛けたと云う人は多い。マドラスに住んで居た事も有る様だ。(彼の印度趣味は、其れに由来して居る。) ウエストエンドのワンキー・レストランでも彼を見掛けた人は多い。此れは実はレストラン地下に秘密の地底列車駅が在るから、らしい。
私はプレジデントのやや強引に彼を呼び寄せようとする態度に対し、「プレジデント、あなたも酷だ」と笑いながら言ってみた。するとプレジデントも笑いながら言う、「処がそうでも無い。TAKAKURAはハイパー地底列車を使って三時間でやって来る。英国領香港時代、秘密裏にロンドン香港間ハイパー地底トンネルが建造されて居た。殆ど知る者は居無い。地底列車は両都市を三時間で繋ぐ。」 プレジデントは何時も私を驚かせる。何故、其の地底列車を、此の男は使う事が出来るのか? 訊いても彼はノーコメントだろう。まあ、其れは其れで良い。私は余計な詮索は好きでは無い。
「香港側出口は市内センターのアングリカンチャーチ地下に在る。今度ロンドンへ行く時は、クリント、君も使うと良い。」プレジデントはそう云った。
ロンドン、好きな街だ。何度も足を運んで居る。街の起源はローマ時代に迄遡る。かつては『ロンドニウム』と呼ばれた処だ。既に、其の時代から多民族都市の様相を呈して居たと云う。世界から数え切れ無いほどの商人らがテムズ下流に集まって居た。風通しの良い街だったのだ。あの街は歴史的に民主主義の守護者として先頭に立ち闘って来た。悪魔的スターリンに対し諜報活動で戦った。自由主義者達をソビエトからも受け入れた様だ。
TAKAKURAさんはアジアに於ける永続的民主主義確立を模索し、何度も、あの街に長期滞在して居るのだった・・・。トップシークレット情報によれば、スターリンに反発した映画監督エイゼンシュタインは秘密裏に、ソ連映画センターに隠されて居た『古代文明テクノロジー』と呼ばれる何かを彼の故郷リガへ持ち出した。ソ連がゴルビーに依って解放された後、若きTAKAKURAはリガのエイゼンシュタイン生家を調査したが、『古代文明テクノロジー』は既に無かった。其れは、ハンガリー・ブダペスト、ブリテン・ロンドンを経由してメキシコへ持ち出されて居た。そうだ、エイゼンシュタインの最後の映画作品は『メキシコ万歳』だった。彼はメキシコの特別な何かに気付いて居たのだ。エジプトと同様にピラミッド遺跡が残された其の大地の特別な何かに。一説には地球外テクノロジーと関係して居ると云う其の何かに。こんな事はTAKAKURAさんにとっては当り前の知識だろう。
##### 登場人物プレジデント:
『東マレーシア映画社』を率いるボス。看板は映画社だが、どうやら世界のパワーバランスに関係して居るオーガニゼーションの長の様だ。
【その風貌は・・・・・その顔は・・・・・兎だ・・・・・。カナダ西岸のバンクーバー島に居る様な野ウサギ。彼は自社開発のホログラム・マスクを常時つけていると言われている。人間なのか、動物なのか、宇宙人なのか、・・・無駄な詮索はよそう。ナイスガイであることには変わりない・・・。仮面の下のペルソナは誰も知らない】
プレジデントは云う、「香港は九十年代迄ブリティッシュガバメント傘下だった。香港ロンドン間は無数の行き来が在った。香港でかつて撮影されたフィルムがロンドン市内で発見される事は、珍しい訳では無い。其れより、其のフィルムに写っているキリストの衣、其れが問題だ。サー・ランラン・ショウは完全主義者でも有名だったが、まさか本物を見つけたとは・・・!」
福音書によれば、長く病を患っていた女性が、せめてイエス・キリストの衣に触れたい、そう願い群衆の中のキリストの衣に触れた。衣を通してイエスのパワーが溢れ出た。彼女はたちどころに癒された。其のシーンを再現した断片フィルムだ。プレジデントが其の筋の研究機関にフィルム映像を鑑定してもらった所、写って居る衣は本物だと云うのだ! だとすれば、此れは世紀の発見と成る。しかし其の、恐らく一九七〇年代のフィルムに写る衣は何処へ?
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