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ラップ
しおりを挟むラップの土台となる曲を一通り作り終えた俺は、作った曲を基にラップをすることにした。イメージとしては、二人がラップでバトルをしている感じ。曲も切り替わるところが分かりやすいように速度を速くしたりした。
「それじゃあ、イメージが付きやすいように軽く手本を見せるな。」
「うん。お兄ちゃんの歌と曲聞きたい。」
ラップが歌に入るかどうかは置いておいて、リズムに合わせて韻を踏んで言葉を並べる。ラップをやったことが無いのに手本を見せるとはどういうことだと自分でも思うが、この世界にはラップが無い以上見本がない為、俺の素人ラップしか見せることが出来ない。
かおりの期待に答える為、少しプレッシャーを感じていたが、意外とスラスラ言葉が出てきた。
「……一応ラップやってみたけど、どうだった?」
「…………」
「かりん?」
もしかして、俺のラップが下手過ぎて返す言葉が無いのか?
かおりに近付いてラップの感想を求めるも、何も答えてくれない。ただ、顔を紅くして黙っているだけ。しかも俺から顔を逸らすように顔を動かすので、中々目を合わせてくれない。
やってしまったと思ったが、少し経ってかおりが言葉を返してくれた。
「……ねぇお兄ちゃん。」
「ん? 駄目なところがあったら、言っていいんだぞ。」
「ちょっとトイレ行ってきてもいい?」
「え? 普通に行ってきていいぞ。」
俺がそう言葉を返すと、小走りで俺の部屋から出ていくかえで。
顔を紅くして黙っているのは怒っているからだと思ったが、もしかしてトイレの方を我慢しているからだったのだろうか。
かおりのさっきの様子を思い返していると、二十分近くしてからかりんが部屋に戻ってきた。
「ごめんお兄ちゃん。待たせちゃって。」
「全然大丈夫だぞ。……もしかして、我慢させちゃってた?」
「……す、少しだけ。」
「気が付かなくてごめんな。」
かえでに謝ると、かおりが何かを期待する表情でこちらを見つめてくる。
もしかして、何かあげた方がいいということだろうか。
お菓子? ゲーム? お金?
何をあげればいいか分からなかった俺は、かおりに言ってほしいことを尋ねてみた。
「それじゃあ、かおり。何か言って欲しいことはないか? 一回だけなら何でも言ってやるぞ?」
「え? 言って欲しいこと?……けっこーーじゃなくて、いつも愛してるって言って欲しいな。」
「お、おう。任せろ。」
愛しているか。
華にも時々言っているが、改めて指定されると中々恥ずかしい。
少し間を開け、呼吸を整えた俺はかおりに望まれた言葉を言うことにした。
「いつも愛してるぞ。」
「ーーお兄ちゃんもう一回トイレ。」
俺が言葉をかおりに向けると、かおりは再び俺の部屋を出ていく。
ーー恥ずかしくて部屋出たいのは俺なんだけど。
また二十分後くらいに、かおりは俺の部屋に戻ってきた。
ーーーー
ヤバイヤバイ。
格好良すぎる。
あんなの間近で聞いちゃったら、我慢できなくなるよぉ。
お兄ちゃんのラップというものを聞いた私は、トイレへ駆け込んだ。
別にお腹が痛い為じゃない。
……お兄ちゃんのラップを聞いて、溜まっていた物が抑えられなくなったのだ。
お兄ちゃんが少し恥ずかしそうに韻を弾む姿を思い出して、再び私は溜まっていた物が出る。……行動不能にするという点では、兵器としてお兄ちゃんは使えるのではないか?
そんなことを思いながらお兄ちゃんのことを考えて発散していると、気付けば二十分位経っていた。お兄ちゃんにはお腹が痛いということで通そうとしていたが、流石に長過ぎると私が今していることがバレてしまうかもしれない。
お姉ちゃんのように野獣のイメージが付きたくない私は、急いで拭き取りお兄ちゃんの部屋に戻った。
「ごめんお兄ちゃん。待たせちゃって。」
「全然大丈夫だぞ。……もしかして、我慢させちゃってた?」
え?
我慢させていたとはどういうことだろうか。
もしかして、性欲を我慢していたことがバレてる?
お兄ちゃんの顔を見ると、ラップをやっていた時と同じように少し恥ずかしげにしていた。この様子、もしかしてバレちゃってた?
隠しても印象が悪くなるだけと思った私は、正直に言うことにした。
「 ……す、少しだけ。」
「気が付かなくてごめんな。」
え?
気が付かなくてごめんな?
『気が付かなくてごめんな』ということは、もしかしてお兄ちゃんは何か私に性欲処理をしてくれるということだろうか。お兄ちゃんももしかして溜まっていた? ……お兄ちゃんはお母さんに搾り取られていた気がするけど。
いやいや、理由なんて関係ない。
ここはお兄ちゃんの優しさに甘えてさせて貰おう。
えへへ。今日学校が休みで本当に良かった。
「それじゃあ、かおり。何か言って欲しいことはないか? 一回だけなら何でも言ってやるぞ?」
え?
言って欲しいこと?
してほしいことじゃなくて?
もしかして私の勘違いだったのかと、少し落胆してしまったが、言って欲しいことを言って貰えるようなので、折角だし言って貰うことにした。
「え? 言って欲しいこと?……けっこーーじゃなくて、いつも愛してるって言って欲しいな。」
「お、おう。任せろ。」
一瞬『結婚してほしい』という言葉が脳裏をよぎったが、流石に駄目だと思った私は言葉をすり替えた。積極的になり過ぎた結果がお姉ちゃんだ。お姉ちゃんになってはいけないと、私は少しずつ慎重にお兄ちゃんと距離を縮めることにした。
「いつも愛してるぞ。」
「ーーお兄ちゃんもう一回トイレ。」
もしも結婚してほしいだったら、その場で垂れ流していたのではないのかと疑う程のお兄ちゃんの言葉の威力に、私は自分の決断を自分で褒める。
疑われてはいけないと、五分位で出ようと思ったトイレからは、結局二十分位も掛かってしまった。
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