エリート警察官僚はようやく見つけた運命の相手を甘やかしたくてたまらない!

波木真帆

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永遠の愛

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帰宅途中に<星彩庵>に寄った。お菓子には疎い私でもここは昔から知っている。
手土産が必要なときには、ここの菓子か、ワインをセレクトすることにしている。

先日は氷室に教えてもらった店でケーキとマカロンをお土産にしたが、要さんは和菓子も好きかもしれない。
そう思ったら、この店を思い出した。

いつもは限定の金平糖を目当てに行列ができているが時間帯が良かったのか、並んでいる人もほとんどいない。
目的はカステラだったが、これなら一緒に金平糖も買えそうだ。

店に入ると、珍しく店主がすぐに顔を出した。

「真壁先輩! 平日のこんな時間に来られるなんて珍しいですね」

店主の彼は私や氷室たちと同じ桜城大学法学部出身。
年齢差もあって最初は知らなかったが、彼の方が私を知っていて声をかけてくれてから、こうして店に行くとあちらから話しかけてくれるようになった。

「ああ、今日は午後休を取ったんだよ」

「先輩が午後休、ですか?」

目をぱちくりされるほど驚かれているが、それも仕方がないことなのかもしれない。
それほど今までの私は仕事だけに重きを置いていた。

有給休暇を消費するように言われてもほとんど使えずにいたが、これからは要さんと過ごすために使えるようになるだろう。もしかしたら、そのための日々だったのかもしれないとさえ思う。

「愛しい人が家で私の帰りを待っていてくれるから、君の美味しいカステラでも買っていこうと思って寄ったんだ」

「――っ!! そうなんですね! おめでとうございます!」

「ははっ、ありがとう。カステラを買いたいんだが、今の季節のおすすめとかあるのかな?」

いつもは定番しか選ばない。というか、定番しか選べなかった。
だが、先日のケーキ屋で期間限定の文字に惹かれて選んだモンブランを要さんが喜んでくれていたのを覚えていた。

「はい。今なら栗カステラがおすすめですよ。試食されますか?」

きっと需要が多いのだろう。
小さなタッパーに一口サイズに切り分けられた栗カステラをすぐに出してくれた。

甘いものはそこまで得意ではないが、ここのは甘ったるくもないから食べやすい。
だからこそ手土産に選んでいる。

「じゃあ、試食してみようか」

彼は私の言葉に嬉しそうに笑い、爪楊枝に刺した栗カステラを手渡した。
私の初めての試食に喜んでくれているらしい。

刻んだ栗の食感がカステラの柔らかな食感と相まって美味しい。

「ああ、これはいいな。これにしようか」

「はい。ありがとうございます」

「あと、人気の金平糖も一緒に買いたいんだが……」

「はい。ちょうど限定のものが残っていますよ」

彼が綺麗な丸型の缶を取り出し、中を開けて見せてくれる。
中には青と白の可愛らしい金平糖がぎっしりと詰まっていた。

「これはソーダとミルクの金平糖です。『ミルキーウェイ』という名前なんですよ」

「なるほど。天の川か……店の名前にもぴったりな商品だな」

「でも先輩が愛しい人への贈り物に、金平糖も選ばれるなんてさすがですね」

意味深な笑みを向けられるが、どういう意味かわからない。

「金平糖に何か意味があるのか?」

「ご存知なかったんですね。金平糖は長期間保存がきいて、口の中でなかなか溶けきらないことから愛しい人への贈り物の場合は<永遠の愛>を意味するんですよ。きっとお相手さん、喜ばれると思います」

永遠の愛、か……。

そんな意味があるとは全く知らなかったが、以前<星彩庵>の菓子を持って安慶名の実家に遊びに行ったとき、志良堂教授がいつも<星彩庵>では鳴宮教授のために金平糖を買うと話していたことがあった。
きっと志良堂教授はその意味をご存知だったんだろうな。

今度、志良堂教授にお会いする機会があったら、<星彩庵>で金平糖を買った話をしてみよう。
それだけで私に愛しい恋人ができたことに気づいてくれるかもしれないな。

店主の彼は栗カステラと金平糖を綺麗に包んで紙袋に入れて渡してくれた。

「おすすめの栗もなかも入れてますので、お二人でお召し上がりください」

「ありがとう。また寄らせてもらうよ」

笑顔で紙袋を受け取り、私は急いで自宅に戻った。
要さんはゆっくりと過ごしてくれているだろうか。

駐車場からすぐに自宅に向かい、鍵を開けるとしんと静まり返っている。
きっと寝ているのだろう。ジャケットをその場に脱ぎ捨て、ネクタイを緩めながら<星彩庵>の紙袋だけを持って、要さんがいる寝室に向かった。

そっと寝室の扉を開けると、大きなベッドの中央に小さな膨らみが見える。
起こさないようにゆっくりと近づいた私に、驚きの光景が飛び込んできた。

「――っ!!」

要さんが……私が脱ぎ捨てていったパジャマを、抱きしめて寝ている。
その姿を見ただけで、私の身体は一気に昂っていった。
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