53 / 93
要さんが可愛すぎる
しおりを挟む
手を洗いダイニングルームに向かうと、テーブルに綺麗に並べられた料理に迎えられる。
「大したものは作れなかったんですけど……」
「そんなことありませんよ。どれもすごく美味しそうです」
オムライスもすごく美味しかったけれど、今、目の前に並んでいるのは和食。
筑前煮とアジフライをメインに小鉢も並んでいる。
「こんなにたくさん。大変だったでしょう?」
「いえ、作っているのが楽しくて……。あの、多過ぎたら残してください。私が明日食べますから」
炊き立てのご飯をよそった茶碗を手渡されながら申し訳なさげに言ってくるが、残すはずがない。
「いつも夜はこれくらい食べてますから残したりはしませんよ。それに要さんの手料理はそれこそ残したりしません。要さんの料理を楽しみに帰ってきたんですよ」
「冬貴さん……嬉しいです」
笑顔のまま、私の対面に座る要さんに私も笑顔を送る。
「あの、じゃあ召し上がってください」
要さんの前にも同じ食事が並べられているが、彼は私に促したまま自分は箸を持とうとしない。
きっと私に先に食べて欲しいのだろう。
遠慮なく、まずは筑前煮に箸をつけた。
私が口に運ぶのを少し緊張した様子で見つめられる。
それが可愛くてたまらない。
「ん! 美味しいです!」
その言葉に要さんの表情がパーっと明るくなる。
ああ、このまま押し倒したくなるくらい可愛い。
「こんなに美味しい筑前煮は初めて食べましたよ」
「そんな……っ」
「本当です。私のために要さんが作ってくれたんですから最高に美味しいですよ。このフライも食べていいですか?」
「はい。どうぞ」
私が置かれていたソースではなく添えられたレモンを絞ってかけていると、
「冬貴さんはレモン派ですか?」
と尋ねられる。
「えっ? あ、そうですね。ソースをかけるのも好きですが、レモンがあればレモンをかけます」
「私も同じです。フライはできればレモンで食べたいんですよね」
「同じです! 食の好みが同じなのは嬉しいですね」
サクッと香ばしいフライにさっぱりとしたレモン。
自分が苦手だったとしても要さんが勧めるものなら食べてみたいと思うしチャレンジすることも楽しいだろう。
だが、最初から同じ好みなのもそれはそれで嬉しい。
どれも丁寧に作られた料理に箸が止まらず、あっという間に全ての料理を完食してしまった。
要さんはまだ三分の一ほど食事が残っている。
「すみません、食べるのが遅くて……」
「いえ。私が早く食べてしまう癖がついてしまっているだけですから。要さん、お茶淹れますね。ゆっくり食べてください」
さっとお茶を淹れ、要さんの前に置いてから、私は今までいた向かいの席ではなく、要さんの隣に腰を下ろした。
「えっ、あの……どうしたんですか?」
突然の私の行動に戸惑っているが、その様子すら可愛くて仕方がない。
「要さんが食べている間、隣で見ていたいなと思って……」
「見てても楽しくないですよ」
「大丈夫です。そばにいられるだけで楽しいですから」
「冬貴さん……」
顔を真っ赤にしながら、それを隠すようにパクッとご飯を口に入れる。小さな口がもぐもぐと動いているのが本当に可愛い。
「あ、要さん。ご飯粒ついてますよ」
「え、どこ――」
「ここです」
要さんがとってしまう前にそっと顔を近づけた。
先日は指で摘んでとってあげたご飯粒を、今度は唇でとってみた。
いつも成瀬たちが可愛い恋人にしているのと同じように。
ずっとしてみたいと思っていた夢がどんどん叶っていく。
「ふ、冬貴、さん……い、今……」
「ご馳走さまです。要さんの唇についたご飯粒は最高のデザートですね」
「――っ!!!」
私の言葉に赤かった顔がさらに赤みを増す。
本当に純情で可愛いな、要さんは。
けれど、その後要さんは無言で食べ進めてしまった。
「すみません、怒ってますか?」
流石にやり過ぎたのかと思って要さんの顔を覗き込み様子を窺った。
「怒るだなんてそんなことないですけど……」
「けど?」
「今度は、私にも最高のデザート食べさせてください。冬貴さんばっかりずるいです」
「――っ!!」
まさか要さんがそんなことを言ってくれるなんて……。
私が思っていた以上に、要さんは私を好きでいてくれているようだ。
「はい。いつでも食べてください」
「約束ですよ」
そんなやりとりができることに幸せを感じながら食事が終わり、料理をしてもらったお礼にさっと後片付けを終えた。
「要さん、デザート食べますか?」
「はい、いただきます!」
どうやらあれを楽しみにしていてくれたようだ。
「じゃあ準備しますね」
「あ、私が……」
さっと立ちあがろうとする要さんをソファーに座らせる。
「食事を作ってくれたんですからゆっくり座っていてください」
カフェオレと、マカロンを用意して要さんの前におくと、目をキラキラと輝かせてくれる。
「マカロン、一度食べてみたいと思ってたんです」
「右からラズベリー、ピスタチオ、チョコレート、バニラ、レモンです。好きなものを召し上がってください」
「わぁ、何にしようか悩みますね」
そんな姿を見つめているだけで幸せを感じる。
この時間が永遠に続けばいい、そんな気持ちでいっぱいになっていた。
「大したものは作れなかったんですけど……」
「そんなことありませんよ。どれもすごく美味しそうです」
オムライスもすごく美味しかったけれど、今、目の前に並んでいるのは和食。
筑前煮とアジフライをメインに小鉢も並んでいる。
「こんなにたくさん。大変だったでしょう?」
「いえ、作っているのが楽しくて……。あの、多過ぎたら残してください。私が明日食べますから」
炊き立てのご飯をよそった茶碗を手渡されながら申し訳なさげに言ってくるが、残すはずがない。
「いつも夜はこれくらい食べてますから残したりはしませんよ。それに要さんの手料理はそれこそ残したりしません。要さんの料理を楽しみに帰ってきたんですよ」
「冬貴さん……嬉しいです」
笑顔のまま、私の対面に座る要さんに私も笑顔を送る。
「あの、じゃあ召し上がってください」
要さんの前にも同じ食事が並べられているが、彼は私に促したまま自分は箸を持とうとしない。
きっと私に先に食べて欲しいのだろう。
遠慮なく、まずは筑前煮に箸をつけた。
私が口に運ぶのを少し緊張した様子で見つめられる。
それが可愛くてたまらない。
「ん! 美味しいです!」
その言葉に要さんの表情がパーっと明るくなる。
ああ、このまま押し倒したくなるくらい可愛い。
「こんなに美味しい筑前煮は初めて食べましたよ」
「そんな……っ」
「本当です。私のために要さんが作ってくれたんですから最高に美味しいですよ。このフライも食べていいですか?」
「はい。どうぞ」
私が置かれていたソースではなく添えられたレモンを絞ってかけていると、
「冬貴さんはレモン派ですか?」
と尋ねられる。
「えっ? あ、そうですね。ソースをかけるのも好きですが、レモンがあればレモンをかけます」
「私も同じです。フライはできればレモンで食べたいんですよね」
「同じです! 食の好みが同じなのは嬉しいですね」
サクッと香ばしいフライにさっぱりとしたレモン。
自分が苦手だったとしても要さんが勧めるものなら食べてみたいと思うしチャレンジすることも楽しいだろう。
だが、最初から同じ好みなのもそれはそれで嬉しい。
どれも丁寧に作られた料理に箸が止まらず、あっという間に全ての料理を完食してしまった。
要さんはまだ三分の一ほど食事が残っている。
「すみません、食べるのが遅くて……」
「いえ。私が早く食べてしまう癖がついてしまっているだけですから。要さん、お茶淹れますね。ゆっくり食べてください」
さっとお茶を淹れ、要さんの前に置いてから、私は今までいた向かいの席ではなく、要さんの隣に腰を下ろした。
「えっ、あの……どうしたんですか?」
突然の私の行動に戸惑っているが、その様子すら可愛くて仕方がない。
「要さんが食べている間、隣で見ていたいなと思って……」
「見てても楽しくないですよ」
「大丈夫です。そばにいられるだけで楽しいですから」
「冬貴さん……」
顔を真っ赤にしながら、それを隠すようにパクッとご飯を口に入れる。小さな口がもぐもぐと動いているのが本当に可愛い。
「あ、要さん。ご飯粒ついてますよ」
「え、どこ――」
「ここです」
要さんがとってしまう前にそっと顔を近づけた。
先日は指で摘んでとってあげたご飯粒を、今度は唇でとってみた。
いつも成瀬たちが可愛い恋人にしているのと同じように。
ずっとしてみたいと思っていた夢がどんどん叶っていく。
「ふ、冬貴、さん……い、今……」
「ご馳走さまです。要さんの唇についたご飯粒は最高のデザートですね」
「――っ!!!」
私の言葉に赤かった顔がさらに赤みを増す。
本当に純情で可愛いな、要さんは。
けれど、その後要さんは無言で食べ進めてしまった。
「すみません、怒ってますか?」
流石にやり過ぎたのかと思って要さんの顔を覗き込み様子を窺った。
「怒るだなんてそんなことないですけど……」
「けど?」
「今度は、私にも最高のデザート食べさせてください。冬貴さんばっかりずるいです」
「――っ!!」
まさか要さんがそんなことを言ってくれるなんて……。
私が思っていた以上に、要さんは私を好きでいてくれているようだ。
「はい。いつでも食べてください」
「約束ですよ」
そんなやりとりができることに幸せを感じながら食事が終わり、料理をしてもらったお礼にさっと後片付けを終えた。
「要さん、デザート食べますか?」
「はい、いただきます!」
どうやらあれを楽しみにしていてくれたようだ。
「じゃあ準備しますね」
「あ、私が……」
さっと立ちあがろうとする要さんをソファーに座らせる。
「食事を作ってくれたんですからゆっくり座っていてください」
カフェオレと、マカロンを用意して要さんの前におくと、目をキラキラと輝かせてくれる。
「マカロン、一度食べてみたいと思ってたんです」
「右からラズベリー、ピスタチオ、チョコレート、バニラ、レモンです。好きなものを召し上がってください」
「わぁ、何にしようか悩みますね」
そんな姿を見つめているだけで幸せを感じる。
この時間が永遠に続けばいい、そんな気持ちでいっぱいになっていた。
772
あなたにおすすめの小説
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
いつまでもドアマットと思うなよ
あんど もあ
ファンタジー
二年前に母を亡くしたミレーネは、後妻と妹が家にやって来てからすっかり使用人以下の扱いをされている。王宮で舞踏会が開催されるが、用意されたのは妹のドレスだけ。そんなミレーネに手を差し伸べる人が……。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる