エリート警察官僚はようやく見つけた運命の相手を甘やかしたくてたまらない!

波木真帆

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駐車場でスマホを取り出し、要さんに<あと三十分ほどで家に着きます>とメッセージを送っておいた。
このまま帰れば十分ほどで家に着くが、十八時ごろ帰ると言っていたため、きっとその時間に合わせて食事を作ってくれていることだろう。

要さんを焦らせたくはない。だから、私は余った時間で要さんへのお土産を買って帰ることにした。
要さんならどんなものを買って行っても喜んでくれるだろうが、せっかくなら美味しいものを買いたい。さて、何にしようか。これまでそんなこととは無縁だったから、いざという時に何も思いつかない。

周平さんに聞いておけばよかったと後悔するも今更どうしようもない。

どうしたものかと思っていると、スマホが振動を告げた。画面を見れば氷室からの着信だ。
きっと新海の恋人の件だろうと思い、電話をとった。

ーもしもし、氷室?

ー今、大丈夫か?

ーああ、構わないよ。

ー例の件、早速お前の部下の新海さんから連絡が来て、ビデオ通話だったが舞川さん本人とも話をした。

どうやら私が連絡先を渡してすぐに新海も帰宅したらしい。
まぁ、今日は早出していたから勤務的には問題ない。
よほど安心させたかったと見えるな。

ーそうか、それでなんだって?

ー詳しい内容は話せないが、会社を辞める方向で進めている。舞川さんは診断書もとっているし、病気申請が不当な理由で却下されているから確実に勝てるよ。すぐに終わらせる。

ーそうか、それならよかった。実はな、舞川さんも知らない事実が出てきた。

ー本人が知らない事実? なんだ、それは?

ー実は、かなりの額のデザイン料が舞川さんの知らないところで上司たちに横領されているようだ。

ー横領? それは只事じゃないな。詳しく聞かせてもらえるか?

これからしっかりとした調査に入ることを前置きした上で、周平さんから聞いた話を氷室に伝えた。

ーなるほど、それが事実ならその分はしっかり返してもらわないとな。

ーああ。まずは会社を辞めてからでも後から請求はできるんだろう?

ーもちろん。それも俺がやるよ。任せておいてくれ。

ーじゃあ調査が終わったら連絡するよ。

ーわかった。じゃあ、よろしくな。

そのまま氷室が電話を切ろうとしたところで、要さんへのお土産のことを思い出して慌てて声をかけた。

ー氷室、ちょっと待ってくれ。

ーなんだ? まだ何かあるのか?

ーその……お土産を買って帰りたいんだが、どこかおすすめのものはないか?

ーおみやげ、って……ああ、なるほどな。ははっ、お前がお土産か。

ー笑うな。

ー悪い、悪い。それだけお前が恋人のことを考えていると思ったら嬉しくなっただけだ。じゃあ、翼と真琴くんが気に入っている店をいくつか送るからその中でお前が決めたらいい。どこを選んでもハズレは無いぞ。

ー氷室と成瀬のお墨付きなら安心だな。

なんせあれだけ溺愛している恋人に贈るものだ。まずいはずがない。

電話を切るとすぐに数件の店のURLとおすすめのスイーツが丁寧に書かれていた。
相変わらず手際がいい。

私はその中でここからほど近い場所にあるケーキ屋に向かった。

選んだのは氷室おすすめのマカロンと、ショーケースを見て気になったモンブランとガトーショコラ。
ケーキは明日のおやつにでも食べて貰えばいい。

別々に箱詰めしてもらい、急いで帰途につくとちょうど十八時ごろ家に到着した。

駐車場から直接玄関に向かい、いつもなら鍵を開けて入るが今日はインターフォンを押してみた。

「は、はい」

「冬貴です」

笑顔で声をかけると「すぐに開けます」と可愛い声が聞こえて、扉が開いた。

「お帰りなさい、冬貴さん」

ほんのり頬を染めながら満面の笑みで出迎えられて、あまりの可愛さに昇天しそうになったが気を引き締めて挨拶を返す。

「――っ!! 要さん、ただいま」

「お仕事お疲れさまです」

要さんにそんな言葉をかけてもらえるだけで今日の仕事の疲れなど一気に吹き飛んでしまった。

「いい匂いがしますね」

「あ、ご飯作っておきました」

「楽しみです。これ、要さんにお土産です。食後のデザートにでも食べてください」

ケーキ屋の紙袋を渡すと目を輝かせて受け取ってくれた。

「わぁ! ここ、敬介さんが美味しいっておすすめしてくれたお店です。ありがとうございます!」

想像以上に喜んでもらえて嬉しくなる。
今度氷室に礼をしておいた方がいいかもしれない。

ジャケットを脱ぎながら、要さんの後について歩いていると要さんが振り返って手を出してくる。

「手を洗ってきてください。私がジャケットを片付けておきます」

「えっ、ありがとうございます」

全てが新婚家庭のそれに見えて嬉しくなる。
私は自分のジャケットを要さんに渡し、洗面所に向かった。

その間に要さんはランドリールームでジャケットに消臭スプレー等をしてくれたようで助かる。
愛しい人にこんな甲斐甲斐しく世話をしてもらえるなんて、私は最高に幸せだな。
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