ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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驚きを隠せない

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「ねぇねぇ、宗一郎さんも直くんにそろそろ自己紹介しなきゃ!」

「そうだったな」

食事も一段落ついたところで鳴宮くんが声をかけると、志良堂は見たこともないような笑顔を直くんに向けた。

「私は志良堂宗一郎。磯山とは学部は違ったが、大学時代からの友人でね。もう五十年近くなるかな。腐れ縁だよ」

「そんなこといって、磯山先生のこと一番頼りにしているし、仲良いんだよ」

志良堂の軽口に鳴宮くんがすぐに笑顔でフォローを入れてくれる。
そんな仲のいい二人の様子に直くんも笑顔を見せていた。

「去年仕事を定年退職したから割と時間があるんだ。だから、直くんはいつでも遊びに来てくれていいよ」

「は、はい。ありがとうございます。あ、あのお仕事って……」

そういえば、志良堂のことは話していなかったか?

「皐月と同じで、桜城大学で経済学の教授をしていたんだよ。今でもたまに大学に呼ばれて特別講座をすることはあるけどね」

「わぁ、すごいんですね」

「ははっ。直くんに褒められると嬉しいな」

直くんが志良堂に尊敬の眼差しを向ける。
それに少し嫉妬してしまう自分がいる。
この中で一番狭量なのは私かもしれない。

「僕は経済学部だったから、皐月先生の授業も志良堂先生の授業も受けてたんだよ。二人とも講義もゼミもすごく人気だから、皐月先生のゼミに入れたときは嬉しかったな」

「私も真琴くんが入ってくれて嬉しかったよ」

可愛い教え子にこんなことを言われて嬉しくないわけがないな。

「えっ、真琴さんって経済学部だったんですか? それでもパラリーガルになれるんですね」

「法律の知識は一切なかったから最初は大変だったけど、優一さんに教えてもらったり、先輩のパラリーガルの人に教えてもらって一つ一つ覚えていった感じかな」

「直くん、伊織くんと成瀬くんはそれぞれ自分の事務所を持っている弁護士なんだよ」

まだ自己紹介をしていないだろう彼らのことを絢斗がさりげなく伝えると直くんは彼らにも尊敬の眼差しを向けていた。
その二人も私の教え子だと言いたいが、ここで嫉妬を出すのは流石にみっともないな。

真琴くんは経済学部在学中から成瀬くんの元で生活しながらほぼマンツーマン状態で勉強していたし、西森くんという優秀なパラリーガルの先輩がいたからパラリーガルとしての知識を学ぶには最適の環境だっただろう。
直くんが同じようにパラリーガルを目指すとなれば法学部で絢斗の講義を受けながら、私の事務所で中谷くんについて学んだら卒業後にはどこに出しても恥ずかしくない優秀なパラリーガルになれるだろう。
いや、在学中からその手腕を発揮するかもしれないな。

数年後には昇と龍弥くん、それにカールくんもうちの事務所に入ってくるかもしれないから、その時に即戦力となってくれている直くんの力はかなり大きい。

「法律の知識はもちろん必要だけど、やる気があればどの学部からでもできる仕事だと思うよ。あ、でも直くんの場合は最初からパラリーガルになりたいっていう夢があるなら、法学部に行くのが最短だと思うけどね」

「そうなんですね。僕、これからじっくり考えます」

いい先輩に出会えて直くんも将来に向かって考えられるようになったのは嬉しいことだ。

「そういえば、もうすぐ桜守の編入試験を受けるそうだね」

「はい。試験を受けるのも久しぶりなので合格できるかドキドキしてます」

「いやいや、直くんなら大丈夫だよ。磯山から聞いたが、直くん……桜城大学の受験問題を一人で解いていたそうじゃないか?」

「「えっ?」」
「桜城大学の、受験問題?」
「一人で?」
「本当に?」

志良堂の突然の言葉に、悠真くんと真琴くんは驚いて声も出せない様子だ。
鳴宮くんも安慶名くんも、それに成瀬くんまで信じられないと言った表情を見せている。

「えっ、あの、でも全部は解けなくて……半分しかわからなかったので……そんな大したことないです」

急に注目されて緊張したのか、直くんの顔がどんどん赤らんでいく。
でも私の可愛い息子の実力はしっかりと伝えておきたい。
ここにいるものは皆その凄さがわかるものたちだ。

「半分と言っても基礎は全て完全解答だったよ。応用で躓いていたのは、直くんがまだ知らない公式を使って解く問題だけだ」

「えっ……それは、本当にすごいな」

あの・・成瀬くんの口からもすごいという言葉が出たことに、みんな驚きの色を隠せない。
直くんはそれほど優秀だということだ。

「本当にすごいよ!! 直くんなら大丈夫。絶対に桜守に受かるよ」

「は、はい。ありがとうございます! 僕、頑張ります!!」

真琴くんが興奮気味に直くんの手を取って応援すると、直くんは嬉しそうに笑っていた。
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