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初めてのタコス
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俺は直くんに食べさせたい具材を選んで注文した。
直くんが選んだ定番のものを食べつつ、俺のも食べたらここのタコスの味もわかって、次に来たときは自分で選べるようになるかもしれないからな。
多めに頼んでもどうせ全部食べ切れるし問題ない。
「おじさん。タコスソースなんだけど辛さを抑えるのもできる?」
「ああ、大丈夫だよ」
「じゃあ、普通のと辛み抑えめのものと一つずつください」
「あの子のだね。わかったよ」
貸切を頼んだ時に、俺の大事な子を連れて行くって話もしたから、おじさんはすぐにわかったみたいだ。
おじさんはその後全員から注文を受けて、直くんと同じようにいくつか辛み抑えめのタコスソースを絢斗さんと村山の母さんも頼んでいた。
カールは意外と辛いものが得意だというのは一緒に学食を食べていたからわかっていた。
だからだろう、普通に俺たちと同じソースを頼んでいた。
「カールはタコスは初めて?」
「ドイツにも一応タコス屋はあって一度食べたことはあるよ。でも見た目は、日本の方が美味しそうに見えるね。それに具材の種類も多いよ」
確かに俺もドイツに短期間住んでいたことはあるけど、ドイツ料理店以外の各国の店は定番のものしか置いていないイメージだったな。きっとここのタコスを食べたらカールのタコスへのイメージも大きく変わるだろう。
しばらくして、俺たちのテーブルに次々と料理が運ばれてくる。
「わぁ! 昇さん、なんだか周りがパリパリしてます」
「この皮が美味しいんだよ。こぼしてもいいから大きな口開けてバクっと食べたらいいからね」
「大きな口開けて……は、はい。頑張ってみます!」
直くんの口は小さいからな。
俺ならこのタコスも二口で食べ終わるけれど、直くんは絶対に無理だろう。
俺がタコスソースを入れて
「食べてごらん」
と皿を添えながら差し出すと、直くんは少し緊張した様子で口を開けた。
いつもより大きく開けた口が可愛い。
パリっといい音がして、タコスの五分の一くらいが直くんの口の中に入っていく。
タコスミートもソースもちゃんと入っているから味はわかるはずだ。
「んん! んーひー」
「美味しい?」
リスみたいにもぐもぐしながら
「ん、んっ!」
頬を染めて頷いてくれる。
ああ、もうこれだけで可愛い。
直くんはようやく口の中が空っぽになると目を輝かせながらじいちゃんをみた。
「タコス! すっごく美味しいです!」
「直くんが気に入ってくれてよかったよ。では私も食べてみようかな」
向こうでもよく食べていたというだけあって、じいちゃんは手慣れた様子でタコスにソースをかけ、大きな口を開けて一気に半分ほど齧り付いた。やっぱり元気だよな、じいちゃん。
周りに同じ歳くらいの高齢者をみたことがないからよくわからないけれど、絶対に若いと言い切れる自信がある。
「ああ、美味しいな」
じいちゃんの言葉が厨房にいるおじさんの耳にも入ったようで、声を出さずに大喜びしている様子が俺の席からよく見える。
あれだけ尊敬していると言っていた相手が自分の作ったものを食べて美味しいと言ってくれたらそれは嬉しいのも当然だろう。おじさんにとってはいい一日になったかもしれないな。
「直くん、このチキンも食べてみようか。両手で端の骨を持ってかぶりついて食べたら最高に美味しいから」
「は、はい」
外でこんな食べ方、というかそもそもこんな食べ方もほとんどしたことがないかもしれない。でもせっかくこういうお店に来た時くらいは好きに食べて美味しく感じて欲しい。
直くんは少し緊張しながら周りを見るが、絢斗さんや村山の母さんもチキンを手に持って食べていることに気づいてホッとしたように手を伸ばした。
指を汚しながらパクッと齧り付く。
その時の嬉しそうな表情を俺は迷わず写真に撮った。
「ん!」
「ごめん、直くんの可愛いところ撮っちゃった」
直くんは急にシャッター音が聞こえてびっくりしていたけど、俺が素直に気持ちを伝えると照れながらも笑顔を見せてくれた。
ああ、直くんが優しくてよかった。
「直くん、こっちのタコスも食べてみて」
俺の好きな、サイコロステーキが入っているボリュームのあるタコスだけど、オニオンソースとこの皮のパリパリと一緒に食べると最高に美味しいんだ。
こぼしてもいいように皿を添えて口の前に運ぶと、直くんも慣れてきたのかさっきよりも大きな口を開けてくれる。
「喉に詰まらないように無理はしないでいいからね」
声をかけて食べさせた。
サイコロステーキはすごく柔らかくて食べやすい。
この値段で出していいのかと心配になるくらいの肉だ。
直くんはこれも美味しそうな表情をみせて満足そうに食べ終えた。
「どうだった?」
「こっちのタコスもすっごく美味しかったです!」
よかった。俺とじいちゃんが好きなタコスは直くんにも受け入れられたようだ。
直くんが選んだ定番のものを食べつつ、俺のも食べたらここのタコスの味もわかって、次に来たときは自分で選べるようになるかもしれないからな。
多めに頼んでもどうせ全部食べ切れるし問題ない。
「おじさん。タコスソースなんだけど辛さを抑えるのもできる?」
「ああ、大丈夫だよ」
「じゃあ、普通のと辛み抑えめのものと一つずつください」
「あの子のだね。わかったよ」
貸切を頼んだ時に、俺の大事な子を連れて行くって話もしたから、おじさんはすぐにわかったみたいだ。
おじさんはその後全員から注文を受けて、直くんと同じようにいくつか辛み抑えめのタコスソースを絢斗さんと村山の母さんも頼んでいた。
カールは意外と辛いものが得意だというのは一緒に学食を食べていたからわかっていた。
だからだろう、普通に俺たちと同じソースを頼んでいた。
「カールはタコスは初めて?」
「ドイツにも一応タコス屋はあって一度食べたことはあるよ。でも見た目は、日本の方が美味しそうに見えるね。それに具材の種類も多いよ」
確かに俺もドイツに短期間住んでいたことはあるけど、ドイツ料理店以外の各国の店は定番のものしか置いていないイメージだったな。きっとここのタコスを食べたらカールのタコスへのイメージも大きく変わるだろう。
しばらくして、俺たちのテーブルに次々と料理が運ばれてくる。
「わぁ! 昇さん、なんだか周りがパリパリしてます」
「この皮が美味しいんだよ。こぼしてもいいから大きな口開けてバクっと食べたらいいからね」
「大きな口開けて……は、はい。頑張ってみます!」
直くんの口は小さいからな。
俺ならこのタコスも二口で食べ終わるけれど、直くんは絶対に無理だろう。
俺がタコスソースを入れて
「食べてごらん」
と皿を添えながら差し出すと、直くんは少し緊張した様子で口を開けた。
いつもより大きく開けた口が可愛い。
パリっといい音がして、タコスの五分の一くらいが直くんの口の中に入っていく。
タコスミートもソースもちゃんと入っているから味はわかるはずだ。
「んん! んーひー」
「美味しい?」
リスみたいにもぐもぐしながら
「ん、んっ!」
頬を染めて頷いてくれる。
ああ、もうこれだけで可愛い。
直くんはようやく口の中が空っぽになると目を輝かせながらじいちゃんをみた。
「タコス! すっごく美味しいです!」
「直くんが気に入ってくれてよかったよ。では私も食べてみようかな」
向こうでもよく食べていたというだけあって、じいちゃんは手慣れた様子でタコスにソースをかけ、大きな口を開けて一気に半分ほど齧り付いた。やっぱり元気だよな、じいちゃん。
周りに同じ歳くらいの高齢者をみたことがないからよくわからないけれど、絶対に若いと言い切れる自信がある。
「ああ、美味しいな」
じいちゃんの言葉が厨房にいるおじさんの耳にも入ったようで、声を出さずに大喜びしている様子が俺の席からよく見える。
あれだけ尊敬していると言っていた相手が自分の作ったものを食べて美味しいと言ってくれたらそれは嬉しいのも当然だろう。おじさんにとってはいい一日になったかもしれないな。
「直くん、このチキンも食べてみようか。両手で端の骨を持ってかぶりついて食べたら最高に美味しいから」
「は、はい」
外でこんな食べ方、というかそもそもこんな食べ方もほとんどしたことがないかもしれない。でもせっかくこういうお店に来た時くらいは好きに食べて美味しく感じて欲しい。
直くんは少し緊張しながら周りを見るが、絢斗さんや村山の母さんもチキンを手に持って食べていることに気づいてホッとしたように手を伸ばした。
指を汚しながらパクッと齧り付く。
その時の嬉しそうな表情を俺は迷わず写真に撮った。
「ん!」
「ごめん、直くんの可愛いところ撮っちゃった」
直くんは急にシャッター音が聞こえてびっくりしていたけど、俺が素直に気持ちを伝えると照れながらも笑顔を見せてくれた。
ああ、直くんが優しくてよかった。
「直くん、こっちのタコスも食べてみて」
俺の好きな、サイコロステーキが入っているボリュームのあるタコスだけど、オニオンソースとこの皮のパリパリと一緒に食べると最高に美味しいんだ。
こぼしてもいいように皿を添えて口の前に運ぶと、直くんも慣れてきたのかさっきよりも大きな口を開けてくれる。
「喉に詰まらないように無理はしないでいいからね」
声をかけて食べさせた。
サイコロステーキはすごく柔らかくて食べやすい。
この値段で出していいのかと心配になるくらいの肉だ。
直くんはこれも美味しそうな表情をみせて満足そうに食べ終えた。
「どうだった?」
「こっちのタコスもすっごく美味しかったです!」
よかった。俺とじいちゃんが好きなタコスは直くんにも受け入れられたようだ。
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