211 / 287
二人の夜の始まり
しおりを挟む
<side卓>
征哉くんたちが帰って早々に絢斗があのアプリのインストールをしようと直くんを誘うと、喜んで私にスマホを差し出した。直くんが遠慮することなく絢斗の誘いを受けられるようになったのはとてもいいことだ。
待たせている間に明日行くパンフレットを渡し、それに見入っている間に二人のアプリの支払いに私のカード情報を入れておいた。私が所有するブラックカードは利用限度額は一応五千万ほどとなっているが、例えば自家用ジェットを買おうとしても断られることはない。それくらいの信用は持っている。まぁ、絢斗と直くんがどれだけ散財してもそこまで使うことはないだろうがたとえ使われても懐は痛みはしないだろう。
それよりもこの情報を入れることで絢斗と直くんが何を買ったかが把握できるのが楽しい。きっと昇もそんな思いを早くしたいと望むことだろう。もうしばらくは私だけの楽しみにしておいてもらおうか。愛しい夫と可愛い息子の欲しいものを好きなだけ買ってあげられる生活を独り占めしたいのだ。
アプリをインストールして二人にスマホを返すと、早速そのアプリで商品を選び始めた。
最初に選ぶものが毅たちのマフラーを編むための毛糸だというのは少々嫉妬するところではあるが、二人で仲良く選んでいる姿を見ていられるのだから、よしとしよう。
絢斗も私の毛糸を選んでくれているようだが、絢斗の手作りは期待しないようにしている。絢斗がそう思ってくれるだけで十分なのだ。
しばらくして私たちの部屋に食事が運ばれる。
地のものをふんだんに使った料理の数々に私でさえ感動したのだから、直くんの感動はこの上ないものだったろう。
刺身や天ぷらは我が家でも、それに今日の天沢くんの店でも食べたが、山菜の天ぷらや松茸はここが初めてだろう。
私の好きな食材だが、直くんも気に入ってくれたら嬉しいものだ。
初めての料理に少し緊張している様子だったけれど、隣に昇がいるからだろう。
安心して口をつけるように微笑ましく思えた。絢斗はもちろん、直くんも美味しいと言ってくれて嬉しい。
可愛い二人を愛で日本酒を飲みながらの食事は最高に美味しかった。
「ふぅ、お腹いっぱい」
「絢斗もよく食べたな」
「うん。だってすごく美味しかったもん」
「ああ。家族水入らずで食べる旅館の食事は最高だな」
食べ終わった食器を片付けてもらい、明日の朝食時間を確認すると30分前に連絡を入れればすぐに用意してくれるそうで助かる。さすが貴船コンツェルンの保養所だな。
「ねぇ、卓さん。そろそろ温泉に入りたいな」
「――っ、そ、そうか。ならそうしようか。昇、直くんもあとは部屋でゆっくり過ごすといい。朝食はまたここで食べよう」
「はーい。パパ、あやちゃん。おやすみなさい」
「ああ。おやすみ。昇、わかってるな?」
「わ、わかってるよ。伯父さん、絢斗さん。おやすみなさい」
最後にしっかりと念を押しておいたから大丈夫だろう。これからの時間は夫夫だけの時間を楽しむとしようか。
二人を玄関まで見送り、扉が閉まったと同時に絢斗の甘い唇を奪った。
<side昇>
――卓さん、そろそろ温泉に入りたいな。
絢斗さんの言葉に伯父さんの目が光った気がした。絢斗さんからの誘いを断らせるわけにはいかない。
朝から家族の時間は十分に過ごしたのだから、そろそろ伯父さんと絢斗さんの二人っきりにしてあげないとな。
聞き分けのいい直くんを連れて部屋に戻ろうとしたところで伯父さんに最後の念押しをされたけど俺だってわかってる。直くんはまだ子どもだ。俺だって18になったとはいえ、親の力で生活している身。責任を取れない行動をするわけにはいかないとわかってる。
一緒にお風呂に入って、直くんがこれから不安に思うかもしれないことを先取りで教えてあげるだけだ。
それ以上は絶対にしないと心に決めて、俺は直くんと俺たちの部屋に戻った。
ここから朝まで二人っきりだと思うと緊張するし、興奮もするが今日のメインはあくまでも直くん。
俺の欲望を押し付けるなんてことにならないように気をつけないとな。
「俺たちも温泉に入ろうか」
「はい。着替えを用意しますね」
絢斗さんと一緒に用意したお泊まりバッグの中から下着を取り出すのを見るだけで興奮してしまう。
できるだけ見ないように、俺も自分の着替えを準備して一緒に露天風呂があるテラスに向かった。
* * *
大人たちのお部屋の様子も需要ありますか?
あったら露天風呂込みの甘々な夜を書いてみようかな。
征哉くんたちが帰って早々に絢斗があのアプリのインストールをしようと直くんを誘うと、喜んで私にスマホを差し出した。直くんが遠慮することなく絢斗の誘いを受けられるようになったのはとてもいいことだ。
待たせている間に明日行くパンフレットを渡し、それに見入っている間に二人のアプリの支払いに私のカード情報を入れておいた。私が所有するブラックカードは利用限度額は一応五千万ほどとなっているが、例えば自家用ジェットを買おうとしても断られることはない。それくらいの信用は持っている。まぁ、絢斗と直くんがどれだけ散財してもそこまで使うことはないだろうがたとえ使われても懐は痛みはしないだろう。
それよりもこの情報を入れることで絢斗と直くんが何を買ったかが把握できるのが楽しい。きっと昇もそんな思いを早くしたいと望むことだろう。もうしばらくは私だけの楽しみにしておいてもらおうか。愛しい夫と可愛い息子の欲しいものを好きなだけ買ってあげられる生活を独り占めしたいのだ。
アプリをインストールして二人にスマホを返すと、早速そのアプリで商品を選び始めた。
最初に選ぶものが毅たちのマフラーを編むための毛糸だというのは少々嫉妬するところではあるが、二人で仲良く選んでいる姿を見ていられるのだから、よしとしよう。
絢斗も私の毛糸を選んでくれているようだが、絢斗の手作りは期待しないようにしている。絢斗がそう思ってくれるだけで十分なのだ。
しばらくして私たちの部屋に食事が運ばれる。
地のものをふんだんに使った料理の数々に私でさえ感動したのだから、直くんの感動はこの上ないものだったろう。
刺身や天ぷらは我が家でも、それに今日の天沢くんの店でも食べたが、山菜の天ぷらや松茸はここが初めてだろう。
私の好きな食材だが、直くんも気に入ってくれたら嬉しいものだ。
初めての料理に少し緊張している様子だったけれど、隣に昇がいるからだろう。
安心して口をつけるように微笑ましく思えた。絢斗はもちろん、直くんも美味しいと言ってくれて嬉しい。
可愛い二人を愛で日本酒を飲みながらの食事は最高に美味しかった。
「ふぅ、お腹いっぱい」
「絢斗もよく食べたな」
「うん。だってすごく美味しかったもん」
「ああ。家族水入らずで食べる旅館の食事は最高だな」
食べ終わった食器を片付けてもらい、明日の朝食時間を確認すると30分前に連絡を入れればすぐに用意してくれるそうで助かる。さすが貴船コンツェルンの保養所だな。
「ねぇ、卓さん。そろそろ温泉に入りたいな」
「――っ、そ、そうか。ならそうしようか。昇、直くんもあとは部屋でゆっくり過ごすといい。朝食はまたここで食べよう」
「はーい。パパ、あやちゃん。おやすみなさい」
「ああ。おやすみ。昇、わかってるな?」
「わ、わかってるよ。伯父さん、絢斗さん。おやすみなさい」
最後にしっかりと念を押しておいたから大丈夫だろう。これからの時間は夫夫だけの時間を楽しむとしようか。
二人を玄関まで見送り、扉が閉まったと同時に絢斗の甘い唇を奪った。
<side昇>
――卓さん、そろそろ温泉に入りたいな。
絢斗さんの言葉に伯父さんの目が光った気がした。絢斗さんからの誘いを断らせるわけにはいかない。
朝から家族の時間は十分に過ごしたのだから、そろそろ伯父さんと絢斗さんの二人っきりにしてあげないとな。
聞き分けのいい直くんを連れて部屋に戻ろうとしたところで伯父さんに最後の念押しをされたけど俺だってわかってる。直くんはまだ子どもだ。俺だって18になったとはいえ、親の力で生活している身。責任を取れない行動をするわけにはいかないとわかってる。
一緒にお風呂に入って、直くんがこれから不安に思うかもしれないことを先取りで教えてあげるだけだ。
それ以上は絶対にしないと心に決めて、俺は直くんと俺たちの部屋に戻った。
ここから朝まで二人っきりだと思うと緊張するし、興奮もするが今日のメインはあくまでも直くん。
俺の欲望を押し付けるなんてことにならないように気をつけないとな。
「俺たちも温泉に入ろうか」
「はい。着替えを用意しますね」
絢斗さんと一緒に用意したお泊まりバッグの中から下着を取り出すのを見るだけで興奮してしまう。
できるだけ見ないように、俺も自分の着替えを準備して一緒に露天風呂があるテラスに向かった。
* * *
大人たちのお部屋の様子も需要ありますか?
あったら露天風呂込みの甘々な夜を書いてみようかな。
1,308
お気に入りに追加
2,134
あなたにおすすめの小説
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!
ありぽん
ファンタジー
[第3回次世代ファンタジーカップエントリー]
特別賞受賞 書籍化決定!!
応援くださった皆様、ありがとうございます!!
望月奏(中学1年生)は、ある日車に撥ねられそうになっていた子犬を庇い、命を落としてしまう。
そして気づけば奏の前には白く輝く玉がふわふわと浮いていて。光り輝く玉は何と神様。
神様によれば、今回奏が死んだのは、神様のせいだったらしく。
そこで奏は神様のお詫びとして、新しい世界で生きることに。
これは自分では規格外ではないと思っている奏が、規格外の力でもふもふ相棒と、
たくさんのもふもふ達と楽しく幸せに暮らす物語。
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる