12 / 79
西表島へ
しおりを挟む
借りていたレンタカーを返して離島ターミナルへと向かうと、すぐに西表島行きの船がやってきた。
「伊織さん、こちらです」
いそいそと私を船へと案内してくれる悠真がまるで私の秘書のように見えてくる。
ああ、いっそのこと彼が本当に私の秘書になってくれたら仕事も捗るのだがな。
K.Yリゾートの仕事をあんなにも楽しそうに話してくれていた悠真に辞めてくれとは絶対に言えないから仕方がない。
私がこっちにくればいいだけの話なのだから、悠真の迷惑には絶対にならないようにしなければな。
石垣から西表までは船で小一時間。
激しい揺れもなく、悠真と話をしているとあっという間に西表の港へと到着した。
同じ離島とはいえ、やはり西表は空気が違う気がする。
初めての地に愛しい人と降り立つことができるのを幸せに感じながら、私は悠真に案内されながらタクシー乗り場へと向かった。
K.Yリゾートまではここから車でそんなにはかからないようだ。
2人でタクシーに乗り込むと運転手が気軽に話しかけてきた。
「えー、砂川さん、出張ね?」
「はい。そうなんです。今回は石垣に」
「そっちのイケメンは新入社員?」
「いえ、こちらの方は――」
「初めまして。この度K.Yリゾートさんの顧問弁護士を委託されました安慶名と申します」
「べ、弁護士さん? はぁーっ、すごい。ここに住んで長いけど弁護士さんは初めて見たよ。
こんなにイケメンな上に弁護士さんね?! いやぁー、これで砂川さんも安心だねぇ」
「えっ……いえいえ、そんなことは……」
あまりにも気さくに悠真に声をかける運転手に大人げなく嫉妬してしまったけれど、相手は何も気にするどころか私を褒めてくれて逆に驚かされてしまった。
そうか、いつも礼儀正しくて優しい悠真はきっと、恋愛感情とかそういう意味ではなくてこの島の方に愛されているんだな。
嫉妬する方が恥ずかしかったな。
「K.Yリゾートさんは砂川さんはもちろん、社長さんもかなりのイケメンさんだからね。やっぱりイケメンさんが集まるのかね? 安慶名さんが西表に来るようになったらまたうちの母ちゃんが喜びそうだよ」
運転手は尚も話し続けて、ずっと私たちのことをイケメン、イケメンと言って騒いでいたが不思議と嫌な気持ちには全くならなかった。
これが島の人たちの優しさか。
こうやって島の人たちに歓迎されて島民として認められるんだろうな。
会社の前でタクシーを降りると、かなり大きな会社に驚いた。
離島の観光ツアー会社だからそこまでではないだろうと勝手に思っていたが、ここでこの規模の会社か……。
改めて倉橋さんの手腕に驚かされる。
「伊織さん、さぁどうぞ」
案内され、中に入ると
「安慶名さん、お越しいただきありがとうございます」
と奥から声をかけられた。
えっ? この声は……とそちらに目を向けると、そこには倉橋さんの姿があった。
「えっ? 倉橋さん! 倉橋さんも西表に来られていたんですか?」
実は悠真は知っていて隠していたのかと思ったが、悠真も目を丸くして驚いている。
どうやら倉橋さんは悠真にも告げずにこちらにきていたようだ。
「実は昨日砂川から連絡をもらった時、私は沖縄本島にいたんですよ」
「社長! 私、そんな話聞いてませんよ」
悠真が少し焦っている。
たった今まで私の悠真だったはずなのに、倉橋さんと出会った途端に倉橋さんの悠真になってしまったようなそんな喪失感に襲われる。
「ああ、急に決まったんだ。浅香が本島にイリゼの新ホテルを予定していてね、その場所にいいところが見つかったものだから、一緒に見に来て欲しいと頼まれて急遽沖縄に飛んだんだ」
「そうでしたか。浅香さんの……。それでは社長をわざわざこちらにお呼びだてすることになってしまって……申し訳ございません」
「社員の一大事だ。社長として当然のことだからそこは気にしなくていい」
「ありがとうございます」
やはり2人の間には私が入り込めないようなそんな雰囲気が漂っている。
悠真の気持ちを疑うことは全くないが、倉橋さんの気持ちはどうなのだろう。
「改めまして、安慶名さん。こんな遠くまでお越しいただきありがとうございます」
「いえ、ここに来るまでの間に素晴らしい自然はもうすでに堪能していますし、島民の方も気さくで倉橋さんがこちらに会社をおつくりになったのもわかる気がします」
「ふふっ。運転手さんですか? 私もここに来たばかりの頃は離島のコミュニティにうまく入れるか心配だったんですがね、西表という土地柄、自然の美しさに魅せられて移住してくる人も結構多いので、よその離島よりは懐が広い方が多いみたいですよ」
「なるほど。確かにそうかもしれませんね」
「会社の中とそれからご存じかもしれませんが私の所有する無人島にご案内いたしましょう」
「えっ? あそこに行けるのですか?」
「ええ。時期的に少し早いかもしれませんが、運が良ければ見られるかもしれません」
「楽しみですね」
そのまま私は倉橋さんに会社内を案内されることとなった。
悠真は社長である倉橋さんが直々に案内するのに自分がついて行っては迷惑だろうと私を倉橋さんに任せ、通常業務へと戻ってしまい2人だけの時間は唐突に終わりを迎えてしまった。
ひとしきり会社内を案内され、最後に社長室へと招き入れられた。
「お見せいただいた今までの契約書や従業員との雇用契約、就業規則や事業計画に関しても全く非の打ちどころがないですね。特にクレームやトラブルなどもなかったようですし今までの顧問弁護士さんはよほど優秀だったと見えます」
「以前の方は私の父の知り合いでしてね、すごくよくしていただいていたので海外に行かれると聞かされた時は愕然としましたよ。ですが、安慶名さんにお引き受けいただけるのであれば、これ以上心強いことはありませんよ。安慶名さんになら会社経営についてもいい助言をいただけそうですし」
「そう仰っていただけて光栄です。是非ともお引き受けさせていただきます」
「本当ですか? ああ、よかった。安慶名さんに断られたら困ることになると思っていましたよ」
そう言って笑顔を見せる倉橋さんを見ながら、本当に彼は経営者として素晴らしい資質の持ち主だと感じていた。
人当たりもよく交友関係は広いが、人を見極める力は素晴らしく備わっていて彼がYESと判断したものは確実にいい結果を生み出し、逆にNOと判断し彼が手を引いたものは必ず破綻する。
やはり彼には経営者として天性の才能があるといえる。
「伊織さん、こちらです」
いそいそと私を船へと案内してくれる悠真がまるで私の秘書のように見えてくる。
ああ、いっそのこと彼が本当に私の秘書になってくれたら仕事も捗るのだがな。
K.Yリゾートの仕事をあんなにも楽しそうに話してくれていた悠真に辞めてくれとは絶対に言えないから仕方がない。
私がこっちにくればいいだけの話なのだから、悠真の迷惑には絶対にならないようにしなければな。
石垣から西表までは船で小一時間。
激しい揺れもなく、悠真と話をしているとあっという間に西表の港へと到着した。
同じ離島とはいえ、やはり西表は空気が違う気がする。
初めての地に愛しい人と降り立つことができるのを幸せに感じながら、私は悠真に案内されながらタクシー乗り場へと向かった。
K.Yリゾートまではここから車でそんなにはかからないようだ。
2人でタクシーに乗り込むと運転手が気軽に話しかけてきた。
「えー、砂川さん、出張ね?」
「はい。そうなんです。今回は石垣に」
「そっちのイケメンは新入社員?」
「いえ、こちらの方は――」
「初めまして。この度K.Yリゾートさんの顧問弁護士を委託されました安慶名と申します」
「べ、弁護士さん? はぁーっ、すごい。ここに住んで長いけど弁護士さんは初めて見たよ。
こんなにイケメンな上に弁護士さんね?! いやぁー、これで砂川さんも安心だねぇ」
「えっ……いえいえ、そんなことは……」
あまりにも気さくに悠真に声をかける運転手に大人げなく嫉妬してしまったけれど、相手は何も気にするどころか私を褒めてくれて逆に驚かされてしまった。
そうか、いつも礼儀正しくて優しい悠真はきっと、恋愛感情とかそういう意味ではなくてこの島の方に愛されているんだな。
嫉妬する方が恥ずかしかったな。
「K.Yリゾートさんは砂川さんはもちろん、社長さんもかなりのイケメンさんだからね。やっぱりイケメンさんが集まるのかね? 安慶名さんが西表に来るようになったらまたうちの母ちゃんが喜びそうだよ」
運転手は尚も話し続けて、ずっと私たちのことをイケメン、イケメンと言って騒いでいたが不思議と嫌な気持ちには全くならなかった。
これが島の人たちの優しさか。
こうやって島の人たちに歓迎されて島民として認められるんだろうな。
会社の前でタクシーを降りると、かなり大きな会社に驚いた。
離島の観光ツアー会社だからそこまでではないだろうと勝手に思っていたが、ここでこの規模の会社か……。
改めて倉橋さんの手腕に驚かされる。
「伊織さん、さぁどうぞ」
案内され、中に入ると
「安慶名さん、お越しいただきありがとうございます」
と奥から声をかけられた。
えっ? この声は……とそちらに目を向けると、そこには倉橋さんの姿があった。
「えっ? 倉橋さん! 倉橋さんも西表に来られていたんですか?」
実は悠真は知っていて隠していたのかと思ったが、悠真も目を丸くして驚いている。
どうやら倉橋さんは悠真にも告げずにこちらにきていたようだ。
「実は昨日砂川から連絡をもらった時、私は沖縄本島にいたんですよ」
「社長! 私、そんな話聞いてませんよ」
悠真が少し焦っている。
たった今まで私の悠真だったはずなのに、倉橋さんと出会った途端に倉橋さんの悠真になってしまったようなそんな喪失感に襲われる。
「ああ、急に決まったんだ。浅香が本島にイリゼの新ホテルを予定していてね、その場所にいいところが見つかったものだから、一緒に見に来て欲しいと頼まれて急遽沖縄に飛んだんだ」
「そうでしたか。浅香さんの……。それでは社長をわざわざこちらにお呼びだてすることになってしまって……申し訳ございません」
「社員の一大事だ。社長として当然のことだからそこは気にしなくていい」
「ありがとうございます」
やはり2人の間には私が入り込めないようなそんな雰囲気が漂っている。
悠真の気持ちを疑うことは全くないが、倉橋さんの気持ちはどうなのだろう。
「改めまして、安慶名さん。こんな遠くまでお越しいただきありがとうございます」
「いえ、ここに来るまでの間に素晴らしい自然はもうすでに堪能していますし、島民の方も気さくで倉橋さんがこちらに会社をおつくりになったのもわかる気がします」
「ふふっ。運転手さんですか? 私もここに来たばかりの頃は離島のコミュニティにうまく入れるか心配だったんですがね、西表という土地柄、自然の美しさに魅せられて移住してくる人も結構多いので、よその離島よりは懐が広い方が多いみたいですよ」
「なるほど。確かにそうかもしれませんね」
「会社の中とそれからご存じかもしれませんが私の所有する無人島にご案内いたしましょう」
「えっ? あそこに行けるのですか?」
「ええ。時期的に少し早いかもしれませんが、運が良ければ見られるかもしれません」
「楽しみですね」
そのまま私は倉橋さんに会社内を案内されることとなった。
悠真は社長である倉橋さんが直々に案内するのに自分がついて行っては迷惑だろうと私を倉橋さんに任せ、通常業務へと戻ってしまい2人だけの時間は唐突に終わりを迎えてしまった。
ひとしきり会社内を案内され、最後に社長室へと招き入れられた。
「お見せいただいた今までの契約書や従業員との雇用契約、就業規則や事業計画に関しても全く非の打ちどころがないですね。特にクレームやトラブルなどもなかったようですし今までの顧問弁護士さんはよほど優秀だったと見えます」
「以前の方は私の父の知り合いでしてね、すごくよくしていただいていたので海外に行かれると聞かされた時は愕然としましたよ。ですが、安慶名さんにお引き受けいただけるのであれば、これ以上心強いことはありませんよ。安慶名さんになら会社経営についてもいい助言をいただけそうですし」
「そう仰っていただけて光栄です。是非ともお引き受けさせていただきます」
「本当ですか? ああ、よかった。安慶名さんに断られたら困ることになると思っていましたよ」
そう言って笑顔を見せる倉橋さんを見ながら、本当に彼は経営者として素晴らしい資質の持ち主だと感じていた。
人当たりもよく交友関係は広いが、人を見極める力は素晴らしく備わっていて彼がYESと判断したものは確実にいい結果を生み出し、逆にNOと判断し彼が手を引いたものは必ず破綻する。
やはり彼には経営者として天性の才能があるといえる。
256
あなたにおすすめの小説
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
冷血宰相の秘密は、ただひとりの少年だけが知っている
春夜夢
BL
「――誰にも言うな。これは、お前だけが知っていればいい」
王国最年少で宰相に就任した男、ゼフィルス=ル=レイグラン。
冷血無慈悲、感情を持たない政の化け物として恐れられる彼は、
なぜか、貧民街の少年リクを城へと引き取る。
誰に対しても一切の温情を見せないその男が、
唯一リクにだけは、優しく微笑む――
その裏に隠された、王政を揺るがす“とある秘密”とは。
孤児の少年が踏み入れたのは、
権謀術数渦巻く宰相の世界と、
その胸に秘められた「決して触れてはならない過去」。
これは、孤独なふたりが出会い、
やがて世界を変えていく、
静かで、甘くて、痛いほど愛しい恋の物語。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
猫カフェの溺愛契約〜獣人の甘い約束〜
なの
BL
人見知りの悠月――ゆづきにとって、叔父が営む保護猫カフェ「ニャンコの隠れ家」だけが心の居場所だった。
そんな悠月には昔から猫の言葉がわかる――という特殊な能力があった。
しかし経営難で閉店の危機に……
愛する猫たちとの別れが迫る中、運命を変える男が現れた。
猫のような美しい瞳を持つ謎の客・玲音――れお。
彼が差し出したのは「店を救う代わりに、お前と契約したい」という甘い誘惑。
契約のはずが、いつしか年の差を超えた溺愛に包まれて――
甘々すぎる生活に、だんだんと心が溶けていく悠月。
だけど玲音には秘密があった。
満月の夜に現れる獣の姿。猫たちだけが知る彼の正体、そして命をかけた契約の真実
「君を守るためなら、俺は何でもする」
これは愛なのか契約だけなのか……
すべてを賭けた禁断の恋の行方は?
猫たちが見守る小さなカフェで紡がれる、奇跡のハッピーエンド。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる